ツールド東北も2017年で5年目を迎えます。
参加しようか迷って費用や宿泊地の都合がつかず断念した方や、エントリーしたものの落ちてしまった方もいらっしゃいますよね。
そんな方のために、2015年と2016年の大会を振り返って、気持ちだけでも盛り上げていきましょう。
2016年までにどんどん大規模に!ツールド東北が人気の理由
ツールド東北は、2013年に東日本大震災の復興支援を目的として始まったイベントです。
ツールド、と付いていることからも分かると思いますが、自転車のレース形式の大会で、石巻~気仙沼間など被害が大きかったコースを走ります。
ちなみにレースと言っても、タイムや順位を競うものではなくファンライドの形をとっていて、ママチャリや電動自転車で気軽に走る参加者もいるほどです。
そのため、普段あまり自転車に乗らない方や女性でも参加しやすいのが特徴です。
そんなツールド東北ですが、年々大規模になり、参加を申し込んでも倍率が高く諦める人も多いのです。
その人気の理由は、第一回ツールド東北から変わらない地元の方の温かさや、熱心なボランティアたちがまるでお祭りのように盛り上げている独特の雰囲気が挙げられるでしょう。
また、華やかな人気モデルや有名人も参加し、東北の魅力をアピールしています。
自転車好きとしては知っておきたいツールド東北について、2015年と2016年の大会を振り返ってご紹介していきます。
2015年のツールド東北を振り返る①
2016年の大会の前に、開催から3年目の「ツールド東北2015」を振り返ってみましょう。
「ツールド東北2015」は2015年9月13日、宮城県三陸沿岸の石巻市、気仙沼市、女川町、南三陸町で開催されました。
コースは「南三陸フォンド」(170キロ)、「北上フォンド」(100キロ)、「女川・雄勝フォンド」(60キロ)、「気仙沼フォンド」(211キロ)」でした。
また、気仙沼から石巻まで95キロを走る「気仙沼ワンウェイフォンド」も新設され、参加者も約3478人で非常に大規模な大会になりました。
さらに「ツールド東北 パラサイクリングプロジェクト supported by SUNTORY」として、障がいのある10人のパラサイクリストも参加しました。
キャロライン・ケネディ駐日米国大使や有名人も出走し、過去2大会を上回る盛り上がりを見せた大会になりました。
2015年のツールド東北を振り返る②
約3000人が出走した石巻専修大学をスタート地点とする「ツールド東北2015」の会場では、早朝から多くの参加者、ボランティア、記者たちでにぎわいました。
スタートラインで記念撮影を終えた参加者は30人ずつスタートし、観客の声援を受けて長い道のりを走り始めます。
集まった観客の中には子供たちも多く、子供向けの催しやステージイベントで盛り上がっていたのが印象的でした。
特に、地元の子供たちのチアリーディングダンスは可愛らしく、なかなか本格的で観客も熱心に見入っていました。
また、「ツールド東北 応“縁”飯」としてブースで販売している東北の旬を味わえる食事も、さまざまな種類があり来場者を楽しませていました。
こうした食事はブースだけではなく、エイドステーション(休憩所)で無料で振舞われ、地元の方の明るい笑顔と共に参加者を元気付けています。
ゴール後には、ヤフーと協力して同大会を主催する河北新報によるスペシャル号外新聞が配布され、参加者は「良い記念になる」と喜んでいました。
東日本大震災の復興を盛り上げる同大会は2015年の大成功により、2016年、さらに規模を大きくして開催されました。
2016年のツールド東北!グループライドで走る意義
では、次に2016年のツールド東北を振り返ります。
2016年から同大会は2日間となり、複数の参加者が『グループライド』で組んで走るなど、新しい取り組みも行われました。
テーマソングには、藤巻亮太の「LIFE」が選ばれましたが、のびやかで力強い歌声と希望にあふれた歌詞が大会のイメージにぴったりでした。
残念ながら天候は崩れてしまいましたが、2015年と変わらない盛り上がりで、改めて震災への意識の高さを感じる大会になりました。
参加者が少ないコースなどでは、和やかにコミュニケーションを取っている様子があり、より親交を深めることができたようです。
もちろん、参加者3000人以上で走るのも、ツールド東北の醍醐味を感じられて良いものですが、こうした少人数のグループで走るのも記憶に残りおすすめです。
ただし、こうしたグループで走る場合は自分のペースではなくグループのペースに合わせなくてはいけません。
競わないとは言え、自転車に乗ると熱くなってしまう、という人には向かないイベントであるということでしょう。
自転車に乗るということより、真摯に震災と向き合うことがツールド東北の目的であるということを忘れないようにしたいものです。
2016年のツールド東北!レポートをお届け
引き続き、2016年のツールド東北のレポートをお届けします。
具体的な例があると参考になると思いますので、「牡鹿半島チャレンジグループライド」のタイムスケジュールを載せておきます。
参加者は175名のコースでした。
06:50 石巻専修大学にて受付開始
07:50 スタート地点に集合、A/B/Cで分類(事前申告により)
※グループは1組12名・並んだ順
08:15 開会式開催
08:30 出走
09:50 女川エイドステーションに到着・高政の笹かま+揚げ窯が振舞われる、給水、トイレ休憩
( 語り部さんから震災のお話)
10:10 出発
11:10 女川塚浜駐車場に到着(給水、トイレ休憩)
11:25 出発
※急坂区間に入る
12:40 おしか御番所公園休憩所 (給水、トイレ休憩)
13:00 出発
※ダウンヒル区間に入る
13:08 鮎川エイドステーションに到着・鯨炭火焼き御前が振舞われる(給水、トイレ休憩)
(語り部さんからお話)
13:55 出発
※アップダウンが続く
14:40 旧荻浜支所跡地休憩所に到着(給水、トイレ休憩) 仮設商店あり
(語り部さんのお話)
15:00 出発
※最後のアップダウン
15:45 エイドステーションに到着・海鮮串焼き、ずんだシェイクが振舞われる(給水、トイレ休憩)
(最後の急坂あり)
(語り部さんのお話)
16:13 出発
※市街地を走る
17:00 石巻専修大学にゴール
実際に走って感じたことは、いまだに震災の被害があちこちに残っているということでした。
高台のほうには新築の家も多く見られますが、沿岸部は更地のままで、市街地も路面が荒れているところがありました。
語り部さんのお話もリアルな震災時の状況を知ることができる貴重なもので、皆熱心に聞き入っていました。
長距離ライドなので、決して楽な道のりではありませんが、また来年も参加したいと確かに思える大会でした。
これから参加される人にアドバイスとしては、補給食は余裕をみて持って行ったほうが良いと思います。
エイドステーションで美味しい軽食が振舞われますが、エネルギー消費は激しいので思っている以上にお腹が減ります。
ツールド東北の問題点!2017年大会に向けて
2015年と2016年のツールド東北を振り返ってみましたが、いかがだったでしょうか。
ツールド東北の一つの特徴として、数多くの有名人が参加する華やかさがあり、女性にも人気があるということがありますが、問題点も幾つかあります。
一つ目は安全面です。
普段、自転車のレースなどにあまり参加しないような人も走るため、過去に接触事故がありました。
誘導してくれる人は多く、十分すぎるほどのサポートが感じられる大会ではありますが、規模も大きく危険なコースもあります。
参加するときは、景色に気を取られ注意を怠ることがないようにしましょう。
また、最低限の準備やトレーニングをした上で、万全の体調で走るようにしたいものです。
二つ目は、エントリーフィーが地方のイベントにしては高額で、参加できる人が限られてしまうということです。
都心部のサイクリングイベントや、本格的なレースイベントと同じような金額設定なため、交通費や宿泊費を考え参加を断念する人も多いようです。
こうしたことを問題点として感じてしまいますが、ツールド東北は被災地の方と日本全国を繋ぐ大切なイベントです。
宿泊地などの問題については、地元の方の協力により、安く民泊できるところが増えています。
今後も、震災の記憶を忘れず被害に向き合っていきたいと考える方々に、ツールド東北は愛されていくことでしょう。
ツールド東北は震災の復興支援が目的
ツールド東北は美味しい食事や楽しいステージ、参加者同士のコミュニケーションも魅力の一つです。
芸能人も大会を明るく盛り上げ、雑誌やブログでも「参加して良かった」「また来年も参加したい」という感想が多く見られます。
しかし忘れてはいけないのが、ツールド東北の本当の目的は、被災地との交流や復興の様子を直に感じることであるということです。
このことは実際に参加した多くの方が実感していることです。
今後もツールド東北が有意義な大会であり続けることを願っています。