皆さんは、ご自身が乗る自転車のメンテナンスを定期的にしていますか?
また、近年の自転車ブームで、スポーツ自転車に乗る一般の方も増えています。
初心者の方でも、パーツメンテナンスの重要性やその方法を知ることはとても重要です。
今回は、シマノのハブを例に挙げて、メンテナンスの必要性やグリスアップの方法をお伝えします。
自転車のハブのメンテナンスの必要性と頻度
今回は、シマノのハブのグリスアップについてのお話しですが、まずハブメンテナンスの必要性からお伝えします。
ハブに限らず、自転車のパーツは、定期的なメンテナンスが必要です。
ですが、自転車は、人によって乗っている種類も違えば、乗る状況も異なります。
また、ハブについては、乗っている期間や走行距離によるメンテナンス時期の目安がないため、対応は人それぞれです。
ママチャリやシティサイクルに乗っている方はもちろん、クロスバイクやmtbなどで通勤していても、数年間1度もハブのメンテナンスをしていない方も多いです。
通勤や通学、街乗りがメインで、毎日快適に乗れていれば、自転車屋さんに行く機会があった時に見てもらう程度で大丈夫でしょう。
ですが、本格的に自転車と付き合っている人は、ハブのメンテナンスもしっかりする必要があります。
とは言っても、ロードバイクで年に10,000㎞近く走る人でも、ハブのグリスアップをするのは年に1回程度の方が多いようです。
現実的に考えると月に1回といったペースでなく、このくらいでもちょうど良いでしょう。
ただ、乗っていて違和感や重さを感じた場合は、すぐにメンテナンスを行って下さい。
シマノのハブの構造と、グリスアップに使うアイテムをご紹介!
シマノのハブは、カップ&コーン式で、ボールと玉押しが使われています。
カップ&コーン式のハブは主に、本体、軸、ボール、玉押し、ロックナットで構成されています。
このカップ&コーン式のハブのグリスアップでは、グリスを塗布した後に、玉当たりを調整します。
カップの内側の玉が絶妙に転がる事で、スムーズな回転とガタの出ない強度的にも優れた状態が生まれるからです。
しかし、長い期間乗っていればグリスがなくなり内部も汚れてきます。
それにより回転も悪くなってくるので、グリスアップする必要があるのです。
ハブメンテナンスの際は、ディグリーザー、ウェス、新しいグリスを用意しましょう。
また、スプロケットの分解には、「ハブスパナ」も必要です。
これは様々なサイズがあるので、今使っているハブに合うサイズを使いましょう。
セットで購入しておくと便利です。
また、ハブスパナは、玉押しやロックナットに最適化されているので、他のスパナと比べて薄くなっています。
これを使って玉押しを締めることで当たりを調整し、ロックナットで締めることで玉押しの位置を固定できます。
シマノのハブのグリスアップ①分解とボールの取り出し
では、ここからは、シマノのハブのグリスアップ方法を具体的にお伝えします。
はじめに、準備(分解)です。
スプロケットが付いたままでは、ハブスパナがナットを掴めないので、まずスプロケットを外します。
チェーンの付いたスプロケットリムーバーがあれば、簡単にスプロケットを固定できます。
ロックリング回しを左に回してスプロケットを外し、使用されているナットに適合したサイズのハブスパナでロックナットも外しましょう。
そこまで出来たら、シャフトを取り外して、ボールを抜いていきます。
フリーボディと反対側のロックナットを取り外し、次に玉押しを取り外します。
すると、中のボールが見え、グリスがスカスカになっている場合は、この時点で自然にボールが出てきます。
しかし、グリスが残っている場合は出てこないので、指でボールを一つずつ取り出して下さい。
この際、綿棒やピンセットなどを使うのも良いでしょう。
そして、フリーボディ側も、同じように指を入れてボールを取り出します。
もし、ハブの内部に残ってしまったボールがあったら、叩いて落としましょう。
シマノのハブのグリスアップ②クリーニングとグリス塗布
シマノのハブのグリスアップの準備はまだあります。
新しいグリスを塗る前には、ボールやハブ本体、シャフトなどのクリーニングが必要です。
まず、ボールのクリーニングですが、取り出したボールは左右それぞれでまとめ、数を確認して紛失しないようにしましょう。
ディグリーザーを吹きかけたら、ウェスで残ったグリスや汚れを落としてます。
このときにボールもサビや欠けがないかを確認し、もしあった場合には、スモールパーツを利用して交換しましょう。
次に、ハブ本体のクリーニングです。
こちらもボールと同じく、ディグリーザーを吹きかけて、ウェスで綺麗にします。
内部(ボールの当たる部分)に傷がないか確認しておきましょう。
もし、傷があった場合は、ハブ自体を交換することになります。
最後に、シャフトと玉押しのクリーニングをします。
シャフトと玉押し、ロックナットは取り外した順番に並べておきます。
玉押し部分にディグリーザーを吹きかけてウェスで綺麗にして下さい。
ここまできたら、いよいよ、カップにグリスを塗布していきます。
指先にグリスを盛って、カップ部分に塗ります。
塗りすぎないよう、カップ部分の表面に行き渡る位の量を塗りましょう。
シマノのハブにグリスを塗布したら、玉当たりの調整を!
この先の工程に入れば、シマノのハブのグリスアップも終盤です。
左右のカップにグリスを塗ったら、中にボールを並べます。
フリーボディとは反対側から、ボールを一つずつ入れていきます。
入れたら、玉押しで蓋をして、玉押しを押さえながらフリーボディ側のボールを入れます。
フリーボディ側も入れ終わったら、シャフトを入れて手で仮止めしましょう。
そして、ダストキャップはこの段階で元の位置に取り付けて下さい。
次は、シャフトから外さなかった方の玉押しにグリスを塗って差し込みます。
この時、ボールを落とさないように注意しつつ、車輪をひっくり返して下さい。
そして、取り外した玉押しにもグリスを塗り、シャフトにねじ込みましょう。
あとは、スペーサー、ロックナットの順に取り付けていきます。
この作業でのコツですが、玉押しを限界まで押し込んだら、4分の1くらいを一旦戻して、ロックナットと合わせるとうまくいきやすいです。
玉押しは左に、ロックナットは右に回しましょう。
がたつかないように、軽く回せる程度で構いません。
また、どんなに力を込めても多少はがたつきますが、気になる場合は、もう一度玉当たりの調整をして下さい。
玉押しとロックナットを合わせ、スプロケットを元に戻しせば、ハブのグリスアップは終了です。
ハブのグリスアップは安全性や寿命にも関係している!
シマノのハブのグリスアップが終わったら、自転車のホイールを回転させてみて下さい。
ここで、ホイールがスムーズに回れば、グリスが足りています。
実は、ハブのメンテナンスをすることは、走行距離を決めるのと同じことです。
スピードが出たり、ペダルが漕ぎやすくなるわけではありませんが、走行距離は確実に伸びます。
はじめは感じられなくても、グリスが馴染んでくれば、実感出来るようになるでしょう。
変化の規模は小さいですが、少しでも抵抗が減れば、決して無駄ではありません。
また、自転車のメンテナンスは、性能の保持だけでなく、各パーツの寿命を延ばす手段でもあります。
その中でもハブは、ブレーキ周りの次に重要な部分と言えます。
それは、点検が不十分なまま走行すれば、走行中にハブがロックされてしまい、大きな事故に繋がることも有り得るからです。
ただ、今回ここでご紹介した作業をご自身で行う場合は、自己責任になります。
ですので、自分でやる技術や自信がない場合は、専門店に持って行きプロにお願いしましょう。
その際、作業の工程をしっかり見ておいて、次回のハブメンテナンスに役立てられると良いですね。
ハブのグリスアップで自転車の安全と性能を守ろう!
今回は、シマノのハブのグリスアップについてお伝えしました。
自転車のパーツのメンテナンスは、性能の維持の他、事故の防止や寿命を延ばすことにも繋がっています。
通学や通勤、街乗りに使う方も、お店で点検してもらうと安心ですね。
また、レース志向でスポーツ自転車に乗る方は、ハブのメンテナンス方法を覚えて、年1回、ご自身で出来るようにしておくと良いでしょう。