ミニベロをドロップハンドル化するカスタマイズは珍しいことではなく、街でもネットでも良く見かけます。
また、完成車にもドロップハンドルを採用した多くのミニベロロードがありますので、理にかなった改造であることは確かです。
しかし、少なからずハードルもあるようですから、確認していきましょう。
ミニベロとは?
まず、ミニベロという自転車について簡単に説明します。
ミニベロは正式な定義はないのですが、おおむね、タイヤサイズ24インチ以下の自転車のことを指すと言われています。
ただ市販車を見ると、ミニべロに分類されているのは、ほとんどがタイヤサイズ20インチですので、今回は20インチを対象にします。
車輪径が小さいので高速走行や悪路は苦手であり、ロードバイクのような遠乗りには向いていません。
しかし、コンパクトで小回りが利くこと、漕ぎ出しが軽いので、ストップ&ゴーの多い街乗りには最適です。
折り畳み式自転車も、ホイール径は20インチのミニベロが多いですね。
各メーカーの完成車を見ていると、2つの種類に分かれていると言えます。
泥除けやキャリア、スタンドを標準装備したママチャリ寄りのスぺックを持つものと、タイヤ以外はほとんどロードバイクやMTBと変わらないスペックのスポーツ自転車タイプがあります。
今回はドロップハンドル化を目指しますが、大いに参考にできるスペックを持つミニベロがありますので、のちほどご紹介します。
ミニベロをドロップハンドル化する意味
では、ミニベロをドロップハンドル化する話ですが、冒頭にもお話したように、数多くのミニベロロードが存在しますので、無理なカスタマイズではありません。
大げさに意味など考えなくても、「もう少し前傾姿勢で乗りたい」「見た目がかっこいい」「ミニベロだけど遠出をしたい」など、この辺の理由が多いように感じます。
ドロップハンドルはロードバイクに採用されているように、スピードを出すためのハンドルなのですが、疲労軽減という側面もあります。
フラットバーに比べると持ち手が多くなりますので、手の疲れは、だいぶ軽減されます。
また、乗車姿勢が前傾になるとはいえ、フラットな部分を握ればアップライドになりますし、本家のロードでもドロップ部を握ることは少ないので、デメリットはあまりないように感じます。
カスタマイズには現状のパーツとの組み合わせや、互換性はしっかりと確認しなければいけませんので、後ほど説明します。
ミニベロをドロップハンドル化するために完成車に学ぶ
では、ミニベロをドロップハンドル化する上で、スペックを参考にしたい1台をご紹介します。
【GIOS(ジオス):PANTO(パント)】
イタリアの人気自転車メーカー・GIOS(ジオス)のミニベロです。
トップチューブが上の方に付いているダイヤモンドフレームで、もちろんドロップハンドルです。
コンポにリア10速のシマノ・ティアグラを採用しており、STIレバー装備です。
チェーンホイールは52-36Tのノーマルクランク、カセットスプロケットは11-25Tのクロスレシオですから、まるっきりロードバイクと変わらないギア比です。
タイヤも太さが1インチなので、ロードと同じキャリパーブレーキで十分ということでしょう。
フレームのジオメトリは当然違いますが、あとはどこをどう見ても、ロードバイクそのものなのです。
パントは元からドロップハンドルですが、もしこのようなスペックのミニベロであれば、フラットバーからのドロップハンドル化は至って簡単です。
ハンドルを交換して、STIレバーを取り付けるだけで完了です。
もし、STIレバーを否定したいという場合は、ブレーキレバーだけドロップハンドル用に交換して、シフターは既存のものを活かすやり方でも大丈夫です。
ミニベロのドロップハンドル化でSTIレバーを使うか否か?
ミニベロが上記のパントのように、完全なロードバイクのスペックであれば、何の苦労もいらないドロップハンドル化ですが、スペックが違うと少し考えなくてはいけません。
ドロップハンドル化にあたり、STIレバーを使う前提で話を進めますが、まず、ギアが何速あるのか確認してください。
もし、7速以下であると、シマノのSTIレバーは8速用からしかありませんので、基本は不可です。
しかし、公式ではありませんが、8速用のシフターで7速のギアを操作できているらしいので、7速以上ならSTIレバーを使用できると考えて良さそうです。
ただ、ミニベロはフロントシングルの車種も多いので、そうであれば、レバーもリア分の片側だけで良いのです。
しかし、今のSTIレバーは基本セット売りです。
そのため、フロントシングルの場合は、現状のシフターでブレーキレバーのみ、ドロップハンドル用に交換するのが賢明です。
また、お持ちのミニベロがMTB用のコンポだと、話はややこしくなります。
8速なら8速用、9速なら9速用のSTIレバーで動かせるはずなのですが、互換性が分かりませんので、無責任ではありますが、こればかりははっきり言って実際に動かしてみないと何とも言えません。
ドロップハンドル化はブレーキにも注意
ミニベロをドロップハンドル化するにあたって、もうひとつの問題はブレーキです。
何度も言いますが、ドロップハンドル化にあたって、STIレバーを使用するという前提でのお話です。
STIレバーはロードバイク用なので、基本はキャリパーブレーキを想定して作られています。
カンチブレーキは、STIレバーで引けますが、Vブレーキが微妙です。
クロスバイクのドロップハンドル化で、よく出てくるテーマですが、使える・使えないの大論争になります。
理屈的には、ワイヤーの引き幅がVブレーキの方がキャリパーよりも大きいので、まともに作動するかどうか微妙ということなんですが、普通に使えているとの報告も多いです。
また、アームの短いミニVブレーキは自転車屋さんが作業をしてくれることもあるので、問題なく使用できると判断しても良いです。
あとは、カンチブレーキですね。
Vブレーキが普及する前のMTBの主力ブレーキでしたが、今でもSTIレバーのシクロクロス車などに使用されます。
現状、Vブレーキが付いているのであれば、その台座に取り付けられますので、結局はカンチブレーキが一番のおすすめかもしれません。
ドロップハンドル化するとカスタマイズが止まらなくなるかも
ミニベロのドロップハンドル化についてお話しましたが、ちょっと煩雑になってしまったので、最後にもう一度まとめておきたいと思います。
①今のミニベロのギア数を確認
②7速以上ならSTIレバーの使用を考える
③フロントがシングルギアの場合は、ブレーキレバーのみドロップハンドル用にして、シフターは現状維持
④MTB用のコンポが装備されている場合は、STIレバーとの互換性を確認してから行う
⑤Vブレーキ装備の場合は、ミニVブレーキかカンチブレーキに交換する
大まかにまとめると、こんな感じです。
今回は「ドロップハンドルにはSTIレバー」という、私の勝手な思い込みを前提にしたカスタマイズの話をしました。
もちろん、ドロップハンドル化したからといって、必ずしもSTIレバーにこだわる必要はありませんし、そもそもSTIレバーは高価です。
また、ドロップハンドル化してしまうと、他にも色々な箇所をいじりたくなってくるものなので、完成車の価格を上回るようなカスタマイズにもなりかねません。
そのため、十分に検討してから行うようにしていただきたいと思います。
ミニベロのドロップハンドル化は正当なカスタマイズ!
今回は、ミニベロのドロップハンドル化について話をしました。
現在のミニベロの市販車は、どちらかというとスポーツ自転車風味が強いので、ドロップハンドル化は比較的容易だと思います。
ただし、互換性の保証がないカスタマイズになる可能性もあるので、その辺の覚悟は必要になります。
しかし、それも自転車をいじることの醍醐味のひとつとも言えるので、あまり危険じゃない範囲なら、やってみるのも良いと思います。