アメリカのキャノンデールというメーカーが開発したbb30ですが、性能云々よりも異音がすることで有名になってしまいました。
bbはボトムブラケットの略で、30はクランクシャフトの直径のことを表しています。
bb30はキャノンデール以外にもロードバイクの完成車に採用されていることがありますが、異音の原因は何なのでしょうか?
また、対策はあるのでしょうか?
今回は、bb30を検証してみたいと思います。
bb30はbbが混迷する原因となった
まず最初に、ボトムブラケット(bb)の規格が乱立している経緯からお話します。
bbはクランクとフレームを繋ぐパーツで、ペダルを小さな力で漕いでも、クランクがスムーズに回るようにするために重要な部分です。
以前は、bbにクランクを取り付ける部分であるシャフトの直径が、24mmのものしかありませんでした。
そこに一石を投じたのがアメリカのキャノンデールで、剛性を高めるためにシャフトの直径を30mmにサイズアップした、bb30を提唱します。
また、今までbbはフレームにネジ切りを作って、そこにグリグリとはめ込んでいく方式でしたが、bb30は直接フレームに圧入するものでした。
結果から言えば、この圧入方式がbb30の異音の大きな原因となるわけです。
当時は、フレームにねじを切らなくて良くなることで経費が削減できるとなり、各自転車メーカーが賛同して、一気にシェアを伸ばすことになります。
しかし、ロードバイク用コンポーネントで世界一のシェアを持つシマノは、これに賛同しませんでした。
シマノが従来通り24mm軸対応のクランクを作り続ける限り、当然ながら、それに各メーカーも対応していくことになります。
bb30から異音がするのはベアリングが原因
bb30は、すぐさま異音の問題に直面することになります。
クランク付近から「カチカチ」「パキパキ」音がするとのクレームが続出したのです。
今現在もそうですが、検索エンジンで「bb30」と入力すると、補助キーワードの先頭に「bb30異音」と出てくるほどですから、よほど多くの人が悩まされたのでしょう。
異音の原因は、ベアリングがむき出しになっているため、防水・防塵ができずに、すぐにグリス切れを起こすためとされています。
その後、アメリカの自転車メーカー「トレック」が開発した「bb90」は、クランクシャフトは従来の24mmのまま、bb自体の幅を90mmにサイズアップして剛性を出したものでした。
こちらも直接圧入タイプでしたので、理屈からすると異音がしておかしくなかったはずですが、こちらはそれほど異音は発生しなかったようです。
その後、ベアリングをアルミや樹脂で覆い、カードリッジ式にして、フレームに打ち込む規格が開発されます。
「PF86」や「BB386EVO」などが代表的ですが、これが現在のbbの主流になったので、混迷の歴史に一応の決着が付いた形となりました。
bb30は過渡期を迎えている
しかし、今でもキャノンデールの完成車には、全てbb30が採用されています。
そのため、キャノンデールの完成車には、シマノのクランクを装備している車種は1台もありません。
bb30のような直接圧入するタイプは、異音の原因ともなるベアリングのむき出しと共に、日を追う毎にフレームに強く圧入されていくので、フレームを痛める危険性も高いのです。
キャノンデールは、カーボンキラーと言われる超軽量アルミフレームなど、革新的な開発をしてきました。
そのため、キャノンデール愛好家にとっては、bb30の多少のデメリットは、目をつぶれることなのかもしれません。
しかし、実際にはbb30を嫌い、bbはもとより、クランクまでも他社製に交換している人が多いのは、インプレを見れば一目瞭然です。
キャノンデール車に多く採用されているFSAのクランクなどは、製品自体の性能よりも直接関係のないbb30が原因で、不当に評価を落としているように感じます。
FSAはbb30の共同開発者とも言われているので、仕方ないかもしれませんが…
また、昔の主流であった、ねじ切り方式に戻している車種も見られるようになっており、bb30が過渡期を迎えているのは間違いありません。
bb30はメリットもある。しかし異音問題の方に目が向いてしまう
ここまでbb30のデメリットばかりお話してきましたが、メリットがないわけではありません。
クランクシャフトが太いぶん、剛性が高くなるのは事実ですし、軽量化を図れます。
しかし、デメリットがあまりにも勝ちすぎているので、メリットが話題に上らないんですね。
また、bb30規格のフレームにはアダプターをかませれば、シマノなどの24mm軸のクランクが使用できます。
今は、bb30規格のフレームに直接装着して、24mmクランクが使えるbbも開発されています。
結局は、何とかしてシマノ製のクランクに変更しようとしている、世の中の流れが見えてしまっています。
例えば、bbから異音がした際に原因が分からなければ、ネットなどで検索しますよね。
そうしたときに「bb30異音」が先頭に出てきますし、ほぼ悪評のオンパレードです。
しかもインプレは、異音の原因や解消方法について書いてるものもありますが、bbやクランクの交換がメインになっていますので、だったら私も交換してしまおうという流れになるのは必然ですよね。
bb30の異音の原因はグリス切れ以外にもある
先述した通り、bb30の異音の主な原因は、ベアリングへの水やほこりの侵入によるグリス切れのようです。
良心的なショップになるとbb30の異音対策として、標準装備のワッシャーの枚数を増やしてくれている所もあるそうです。
しかし、もう少し深く考えてみると、bb30のような圧入式のbbはフレーム側のbbシェル(フレームの穴)の精度によっても隙間ができたり、ゆるんだりする可能性があります。
ネジ切り式の場合は、ネジが合わなければ入れることは不可能ですが、圧入式は多少のズレくらいなら、言葉は悪いですが半ば強引に突っ込めば入ってしまうでしょう。
また、圧入するときに細かいゴミやほこりが入るだけで、ズレが起こる可能性もあります。
さらにグリスアップなどをするときには、bbを外すわけですが、それを繰り返していれば穴が広がってしまったり、フレームが損傷する可能性もあります。
仮に異音がしなくてもグリスアップは必要ですから、結局は定期的に取り外さなくてはいけないので、根本的な解決にはならないわけです。
bb以外にも異音がする箇所がある
bb30を使用している人のインプレや話を聞いていると、異音が全くない場合もあるようです。
単なる当たり・はずれなのかもしれませんが、微妙なところです。
また、クランク周りにはbbの他にも、異音が発生する可能性がある箇所が多いので、確認しておきましょう。
bbと同じく、ベアリングを使用しているのがペダルです。
ロードバイクの場合、ペダルは後付けが多いので、しっかりと組み付けられていなかったり、グリスアップされていないと異音がする場合があります。
毎回毎回、土足で踏み付けられるのはペダルだけですから、労わってあげないといけませんね。
また、チェーンリングのナットの緩みも、異音の原因になるようです。
ネジが1本抜けていたなんてこともあるので、一度外して確認すると良いと思います。
その際、チェーンリング自体ゆがんでしまっていることもありますが、そうなったら交換するしかありません。
bb30の評価は?
皆さんは、完成車のbbがbb30だったら敬遠しますか?
そもそも、シマノ製のクランクを使用したい人は、bb30を選択しないので愚問かもしれませんが。
今回、自分で検証してみた結果としては、bb30は構造上の問題も否定できないので、ちょっと怖いかなというところです。
特にロードバイクの最初の1台となれば、極力わずらわしい部分が少ない方が良いに決まっているので、避けた方が賢明と思います。