ロードバイクのドロップハンドルは、初心者にとっては新鮮で、頼もしく感じるものですよね。
ハンドル幅は肩幅くらいが良いのですが、きちんと自分に合ったサイズのものを選ばないといけないのは何故か、ご存知でしょうか?
ハンドルの正しい選び方や、狭いハンドルのメリットについて見ていきましょう。
ロードバイクのハンドル幅の基準・肩幅の測り方
ロードバイクのハンドル幅を決める基準になる、肩幅の測り方について最初にご説明します。
測り方によっては何センチかズレが生じてしまうので注意してください。
余談ですが、シャツなどを選ぶ時の肩幅の測り方は、肩と腕のつけ根にあるくぼんだ部分から、首の裏にある出っ張った部分(頸椎点)を通り、反対の肩のつけ根までです。
ですから、なで肩なら数字が大きくなり、筋肉質な肩であれば、数字より肩幅が広く見えたりすることもあります。
肩幅は、体全体から見たバランスや、引いてみたときのイメージにも左右されるのです。
さて、ロードバイクの肩幅の測り方ですが、洋服の場合とは異なります。
家でできる簡単な測り方を一つ、ご紹介しましょう。
広いスペースに、正座でリラックスして腕を前方に伸ばしてみてください。
このとき、前には紙を敷いておきます。
前に伸ばした手を開いた状態で、すとんと紙の上に落としましょう。
そして、紙についた左右の中指の位置を記録して、その長さを測ってください。
簡単な測り方ですので大ざっぱではありますが、その長さがだいたいの肩幅です。
ハンドル幅を検証・肩幅より広いと差はあるのか
ハンドル幅は肩幅くらい、ということですが、実際にはそれより広かったり狭かったり、個人差があります。
例えば、ロードバイクのレース用には狭いほうが良く、リラックスして走りたいときは広めが良いとか、様々な意見があるのです。
そこで、肩幅サイズとそれより広いサイズの、ロードバイクに取り付けていない状態のハンドルバーを握り比べて検証してみました。
今回は、肩幅サイズのハンドルバーを仮にC-C400mmとして、C-C420mmのハンドルバーと比較してみます。
(検証には、3T ROTUNDO PROの製品を使用しました。)
まず重さ、大きさの違いを調べます。
重さを測ってみると、400mm:243gで、420mm:249gでした。
6gしか差がありません。
この点から、幅広ハンドルは重くてレースで不利だという説は、あまり気にしなくても良いでしょう。
また、大きさですが、見た目ではあまり変わりません。
ほんの少しの差で、言われれば気が付く程度です。
ハンドル幅を検証・肩幅より広いものを握ってみる
では、実際に肩幅サイズのハンドル幅とそれより広いサイズを握り比べてみましょう。
検証では、床に座って、平行にハンドルバーを握ってみました。
やはり、その差はあまり感じませんでした。
では、ペダリングしながら、使いながらだと差がはっきりしてくるのでしょうか。
この点を検証するため、ベンチ型の椅子に縦に馬乗りになって、ロードバイクに乗っている状態を再現し、再びハンドルバーを握ってみました。
実際にハンドルを握って押し込んでみたり引っ張ってみたりして、狭いと感じるか、広いと感じるか体感できるか実験してみると、ようやく差を感じることができました。
個人の握り方にもよると思いますが、筆者の場合は背中の筋肉を柔らかく使って握りたいタイプなので、肩幅より少し広いほうが力が入りやすく感じたようです。
ロードバイクにまたがった状態で、ペダリングやブレーキを行いながらの実際の走行では、他の情報が入りすぎてハンドルだけに集中できません。
ハンドルだけを外し、自由に動かしながら、背中や腕、肩の筋肉に集中して調べることによって、また違った視点で考えられるのです。
ハンドル幅についてお悩みの方は、こんなイメージトレーニングの方法もあるということを参考にしてみてください。
ロードバイクのトレンド!?ハンドル幅狭め・ハの字ハンドル
また、ロードバイクのハンドル幅が肩幅より狭いものもトレンドになりつつあります。
ロードレースなどでもよく、ハの字で狭めのハンドルを見かけますね。
例えば、アダム・ハンセンや、アンドレグライペルは、攻めの姿勢でハの字ハンドルを使っている選手です。
ハの字ハンドルを出しているメーカーをいくつかご紹介しましょう。
例えばイーストンEA70バーは、ブラケットで握るとC-C380、下ハンで握ると約C-C400です。
また、ZIPP SL88バーは、ブラケットで握って約C-C390、下ハンではC-C400くらいになっています。
近年、ロードバイクのこうしたハの字ハンドルは増えてきつつあります
その他にも、3Tでは、ずいぶん前からハの字ハンドルを販売しています。
また、イーストンは2016年モデルからMCDシリーズはすべてハの字になってます。
このように多数のメーカーがハの字ハンドルに注目してきていることから、注目度が良く分かりますね。
3Tやイーストンのハンドルバーは、使い勝手が良く見た目もシャープでかっこいいので、もし、こうしたハンドルにご興味があれば、試してみてください。
そのうえ、エアロ効果があるため使いやすいと感じる範囲でハンドル幅を狭くすることは、平地の高速域で効果が期待できるとされています。
ただ、ハンドルバー選びは奥が深いので、単にハンドル幅が狭い広いという点だけでは、自分に合っているか判断できないものです。
そのことについて、これからご説明していきます。
ハンドルバーの選び方!肩幅以外で見ておきたいポイント
肩幅と、それより狭い・広いハンドル幅のサイズを比べていきましたが、ハンドル幅の選び方について、少しお話していきます。
ロードバイクのハンドルバーは、購入した後でサイズの変更はできませんので、慎重に選びましょう。
例えば自分に合わない広すぎるハンドルバーを使うと、肩や腕が開いた状態になり、力が入ってしまいます。
また、逆に狭すぎる場合は、腕が内側に入り身体を縮めた状態になりますので、バランスが悪くなってしまうのです。
両方とも、疲れやすくなる原因となりますので、ちょうど良い幅を見極めることは大切です。
また、他にも気を付けなくてはいけないことが二つあります。
一つ目は、リーチです。
リーチとは上ハンドルの奥行きのことです。
これは、ブラケット(ブレーキと変速レバーが一体化になった部分)から、ハンドルの横に伸びているバーの位置までの距離を指します。
このリーチが長いと直進するとき安定して走ることができ、短いとハンドリングがクイックになる効果があります。
腕の長さ、手の大きさ、体の柔軟性に合わせてサイズ選びをしてみましょう。
サイズの種類はノーマルリーチ、ショートリーチの2種類です。
ロードバイクのハンドルバー選び!リーチとドロップも見よう
ロードバイクのハンドルバーの選び方について、リーチのお話の続きをしていきます。
まず、一つ目のポイントは、ハンドル幅同様にリーチも、自分に合うものを選ぶことです。
リーチが長すぎると、走行している時の変化にすぐに対応する余裕がなくなり、操作しづらく感じる方もいます。
また、もし乗車ポジションはそのままでグリップ位置だけを近くしたいなら、ショートリーチがおすすめです。
ショートリーチには、前傾姿勢のときに下ハンドルを握ったときにも、近い位置をキープでき、走りやすいというメリットもあります。
さらに、ハンドルバーを選ぶ時見ていただきたいポイントの二つ目は、ドロップの形状です。
ドロップとは、ハンドル上部から下ハンドルまでの深さ、曲がりの角度を表します。
このドロップが深いほど攻撃的な前傾姿勢がをとることができ、より柔軟性がある人に向いています。
また、ブラケットから下ハンドルまでの距離も長くなります。
ドロップの標準は125mmくらいですが、深いディープのものは140mmもあります。
ロードバイクの初心者の方には、ディープよりは標準のものが良いでしょう。
こだわると、きりがないハンドルバー選びですが、自分で選ぶのが大変だと感じる方もいると思います。
そんな方は、ショップでフィッティングを受けてみると良いかもしれません。
例えばスペシャライズドでは、「ボディジオメトリーフィット」というフィッティングを行っています。
人間工学に基づき、それぞれの身体、力に合ったポジショニングをしてくれるサービスです。
ハンドルバーは肩幅サイズ、という大ざっぱな選び方ではなく、トータル的に見てくれますので、本格的に始めたい方は利用してみると良いでしょう。
ハンドルバーは幅だけではなく、リーチやドロップも調べよう
ハンドルバーを選ぶ時、肩幅くらいが基準で、それより広いか狭いかは、自分の使いやすさを重視して選ぶと良いでしょう。
また、ハンドル幅以外にも、リーチやドロップなど、ハンドル形状に着目すると、より疲れにくい、使いやすいものを選ぶことができます。
細かくこだわって選びたい場合は、トータルバランスも見てくれるショップのフィッティングもあります。
ただ、自分でいろいろと選ぶのもロードバイクの楽しみの一つですので、この記事を参考にして、お気に入りのハンドルバーを見つけてみてください。