最近の自転車ブームでロードバイク人口も増え、いろいろな場所で乗っている人を見かけます。
そして、最近では上りの効率化を図るため、ギア比が多彩になりました。
フロントチェーンリングのコンパクト化と、リアスプロケットの多段化、及びワイド化も流れの一つです。
そんな中、ロードバイクコンポーネントのシマノは、どんな種類のスプロケットがあり、また、12-30tというスプロケットはどんな位置になるのかをご説明していきます。
スプロケット選び!12-30tはどんな人に合う?
それではどんな人が、シマノカセットスプロケット12-30tが、必要なのかを考えましょう。
例えば、10速のコンポで登りを走っているとします。
フロントがコンパクトのインナー34t、リア最大ギア28tを使っていても、クランク回転数が60回転を下回るほどしか回せない人は、登りのスピードが時速9.2を下回ってしまうので、それ以上の大きなギアが必要です。
こういう人は、28tでも重いと感じているはずです。
ところが、フロントが同じでもリア30tを導入すると、70~75回転回せるようになるので、時速10以上で走れるようになります。
たとえ筋力が弱くても、大きなギアを使って回転数を上げることができれば、足をついてしまったり、クリアできなかった激坂も、多少速く走れるようになるということです。
シマノ11速スプロケットに12-30tはない?
現在、シマノロードコンポーネントの上位3グレートは、前2速、後11速になっています。
シマノ11速コンポでカセットスプロケットが、12-30tという組み合わせは、残念ながら存在しません。
では、現行10速グレードのティアグラはどうかというと、この中にも存在しません。
12-30tは、上位3機種が10速時代のアルテグラ6700シリーズと、105の5800系11速化に伴い、10速化した当時のティアグラ4600シリーズの中には存在します。
歯数構成は、12・13・14・15・17・19・21・24・27・30でトップ側が1t間隔で、17-21tが2t間隔、24-30tが3t間隔になっています。
しかし、まだ10速コンポを使用している人は別として、11速コンポを使用している人が無理やり10速ギアを使うということは、「ギアが1段分使えなくなること」と、「シフトレバーの作動回数が、1クリック分多く動いてしまう」ことがあります。
そのため、間違ってローギア側に変速し、チェーン落下でスポークを破損してしまうリスクがあります。
さらに、ギア1枚分の厚みも違い、レバー1クリック分のワイヤー巻取り・巻き戻し量も違ってくるのでスムースに変速しません。
そのため、11速コンポには、おすすめできない組み合わせと言えます。
シマノ11速コンポでスプロケットを12-30tに近づけたい?
では、現行11速コンポでは、どんなスプロケットの種類があるでしょうか。
デュラエースは、11-25t、11-28t、11-30t、12-25t、12-28tの5種類となっています。
アルテグラは、11-25t、11-28t、11-30t、11-32t、11-34t、12-25t、14-28tの7種類です。
105は、11-28t、11-32t、12-25tの3種類です。
この中で10速の12-30tに近いカセットスプロケットは、11-30tです。
コンポーネントセットの中では、最上級のデュラエースと、その下のアルテグラに種類が集められています。
歯数構成は11・12・13・14・15・17・19・21・24・27・30の11速ですが、10速の12-30tスプロケットのトップ側に11t1枚が加わっただけの構成です。
現実から考えると、これを使うのがいいのではないかと考えますが、11tは重くて使わないため、トップは12tで中のギア構成をクロスになるようにしたい、という人もいるでしょう。
11速コンポで12-30tにしたいのなら、11速のスプロケットをチューンナップするしか方法はないでしょう。
具体的には、11-30tの24・27・30と、12-25tの23・25・28のロー側3枚を入れ替えます。
そうすると、11・12・13・14・15・17・19・21・23・25・28の11-28tと、12・13・14・15・16・17・19・21・24・27・30の12-30tという2組のスプロケットになります。
また、11-28tはオリジナル11-28tと同じ歯数構成で、12-30tではトップ側の17tまでの6枚が1t刻みのクロス構成になり、平地で1番使いたい中間速度域で「微妙なコントロール」ができるようになります。
シマノの10速コンポで12-30tスプロケットを使おう
現行、シマノの10速のティアグラには、11-25t、11-32t、11-34t、12-28tという4種類のカセットスプロケットしかありません。
では、10速だった頃の上位機種は、どんな種類のスプロケットがあったのでしょうか?
まずは、デュラエース7900系10速で、11-21t、11-23t、11-25t、11-27t、11-28t、12-23t、12-25t、12-27tの8種類です。
次は、アルテグラ6700系10速で、11-23t、11-25t、11-28t、12-23t、12-25t、12-30tという6種類で、ここに12-30tが存在します。
そして、105ですが、グンと種類が減って、11-25t、11-28t、12-25t、12-27tの4種類、ティアグラ4600系10速で11-25t、12-28t、12-30tの3種類でここにも12-30tが存在します。
12-30tが使いたいのならば、10速時代の3機種のコンポを使い、なおかつ、アルテグラ6700かティアグラ4600のスプロケットを使うしかありません。
12-30tスプロケットに合うシマノのディレーラーは何?
今度は、変速に直接かかわるリアディレイラーは、何を選択すべきかを考えていきましょう。
まずは、シマノ10速コンポーネントのままで12-30tを使う場合を考えてみましょう。
アルテグラ6700のGSタイプのリアディレイラーは、対応スプロケットの歯数が、最大30t最小11tになっているので使用可能です。
105の5700シリーズのGSタイプが同じく最大30t最小11tで使用可能です。
そして、現行のティアグラのGSタイプが、最大32t~27tの最小14t~11tなので、最大30tのギアにした場合は最小12tで使用可能です。
12-30tを使う場合は、値段と重さを考慮して、3機種の中から選んで下さい。
次に、現行のシマノ11速のコンポでの場合を考えてみます。
まず、デュラエースですが、現行11速の9100では、最大30t最小11tで使用可能です。
次に、アルテグラですが、RD6800のGSで最大32t最小11tですので使用可能です。
RD8000のSSだと最大30t最小11tなので、SSでも充分可能です。
また、105ですが、RD5800のGSタイプは、ロー側が最大32/28となっており、トップ側が最小11なので使用可能です。
10速、11速ともにリアディレイラーをGSタイプにする場合は、リアディレーラーのケージが長くなるので新しいチェーンに交換し、長さも長くしなければなりません。
それから、使えるスプロケットも10速用リアディレイラーで、ローギア側が27tまでです。
それ以下の25t、23tのセットはSSタイプなので使えなくなります。
また、11速でも28tまでで、それ以下の25t、23tのセットもSSタイプで使えなくなります。
そのことを熟慮して導入してください。
シマノスプロケットを12-30tに替えて走りも変えよう
冒頭でご説明したように、同じ傾斜の登りでも、スプロケットの歯数構成をワイドなものに変えると、クランク回転数を速くすることができます。
結果、スプロケットを替える前より、少しでもスピードアップが望めるということが、スプロケットを12-30tに替えるメリットでしょう。
しかし、走り方も変えなければなりません。
重いギアを使っていた時は、どちらかというとトルク重視の低回転で乗っていたと思いますが、軽いギアに変えた場合は、クランク回転数を上げなければ、スピードアップは望めません。
高回転・高効率のペダリングが求められます。
そのためのペダリングの方法として、膝は外に開かず、足首はアンクリングしないで、直角から変わらないようにするペダリングが必要です。
また、足の力だけで回すのではなくて、全身、特に臀筋や上体のインナーマッスル、そして、体重も利用したペダリングをしなければならないでしょう。
シマノの10速スプロケットで12-30tや、11速スプロケットで改造を試みた12-30tを使って、走り方も変えれば今までとは違う走りが期待できるのではないでしょうか。
シマノスプロケット12-30tは貧脚の人専用のものなのか?
今は、リア11速の時代なので、シマノの旧10速のコンポで、12-30tのスプロケットを使うのは、あまり現実的ではありません。
一般の方で登りの多いコースを11速コンポの11-30tや、改造を試みた12-30tを使うのは、11-28tで苦労していた人にはとても有効な選択だと思います。
また、レースに出ていて、登りのスピードが上げられない人も、ロー側ギアが28tから30tに換えるだけで足への負担が減り、より高速回転のペダリングと、スピードアップが期待できることと言えるでしょう。