最近、自転車に乗っていると何かがこすれるような異音が車輪からする。
以前と比べて、ペダルが重くて前に進まない…
このような原因は、ハブにある可能性が高いです。
ハブとは、車輪の中央にある車軸(ハブシャフト)が通っている部分です。
当然の事ですが消耗品であり、定期的にメンテナンスを行った方がベストなのですが、チェーンやギアと違い、なかなかそこまでは手が回らないという方も多いでしょう。
今回は、ハブの調子が悪くなってきた場合の対応について、ご説明していきます。
自転車のハブから嫌な音が鳴りはじめた。どうすればいい?
通勤・通学、そして休日のサイクリングと、毎日の足として自転車を使われている方も多いと思います。
しかし、一見目立たないハブですが、タイヤや同様、常に回転摩耗にさらされているパーツであり、消耗頻度は高いのです。
これはクランクを繋ぐボトムブラケット、ペダルも同様です。
そのため、自転車のハブから音が鳴り始めるのは、必然なのです。
このように摩耗してから音が鳴るため、ハブから音が鳴り始めたら、点検すべきタイミングと言えます。
そのまま放置すると、故障に繋がります。
そのため、しっかり点検を行いましょう。
また、このように音が鳴っているのに点検を怠っている自転車は、整備不良車です。
年々、整備不良車・交通違反者に対する取り締まりは厳しくなってきています。
このように厳しくなってきていることからも分かるように自転車のメンテナンスは、自転車乗りの義務だと言えるでしょう。
それでは、実際にハブの音鳴りがしたら、ハブのどこの部分が悪くなっているのかについて次でご説明します。
自転車のハブのどこから音が鳴っているのか?
自転車のハブの構造について簡単にご説明しますと、一番内側からハブシャフト(車軸)、次にベアリング、そして、ハブ本体になっています。
車種によっては、内装変速機やハブダイナモを搭載しているものもあります。
このようなハブですが、音が鳴る原因は、内部パーツのどこかが変形してしまい、他のパーツとおかしな接触を起こすことで音を立ててしまうのです。
このように接触で音が鳴る一番の原因として考えられるのは、やはりベアリングのグリース切れです。
そこで、安易に「潤滑スプレーで、なんとか車軸とハブの隙間から注油すればいいんだ」と、考える方もいらっしゃるのですが、これは実は一番やってはいけません。
下手に注油などをするとグリースが溶けて流れ出てしまいます。
こうなってしまいますと、あとの祭りです。
ベアリングの消耗を早めるだけなので、自転車のメンテナンスの際に迂闊に注油したりしない用に心がけましょう。
最悪の場合、車輪が回らなくなってしまいます。
走行中に、急に車輪が回らなくなるなんて、考えるだけでも恐ろしいことでしょう。
ハブのメンテナンスは自分で出来るものなの?
結論から言いますと、大変難しいです。
スポーツタイプの自転車であれば、車輪の脱着が簡単に出来るようになっていますが、一般車(ママチャリ)ですと、それ自体が困難(特に後輪)です。
ハブシャフトの掃除とグリースアップ位は出来ますが、ベアリングの交換になりますと専用の工具が必要になってきます。
もちろん、音が出る原因が他のパーツの変形であった場合は、ハブ本体の交換が必要になってきます。
また、ハブダイナモや内装変速機の分解修理は、不可能ではありませんが大変な労力と技術が必要になります。
素人にはお手上げです。
このような状態ですと、専門店でも新品への交換を勧められることでしょう。
しかし、難しいからと言って、メンテナンスを疎かにするのはいけません。
ハブのメンテナンスを行うのが比較的楽なスポーツサイクルに乗るのであれば、年一回程度を目安としてハブのメンテナンスを行いましょう。
そうすることが最終的に性能の維持や寿命も延びるなどに繋がります。
自転車のハブを交換すると、どうなる?
ハブから音が鳴る原因がベアリングかハブシャフトであった場合なら、それを交換するだけで済みますが、他の部分が原因であった場合は、結構大変な事になります。
現在の自転車のホイールは完組ホイールが主流であり、ハブ本体だけを交換することは基本的に嫌がられます。
メーカーによっては、受け付けてくれない場合もあります。
そのため、「ホイールごと交換するか」、「ハブ本体を通販などで入手して、自分の手でスポークを外して取り付けるか」という選択になります。
一般車の完組ホイールなら数千円ですが、ハブダイナモ・内装変速機付きのものですと、一万円を超えます。
スポーツタイプのホイールですと、モノによっては何十万円もするものもあります。
かなり痛い出費になってしまいます。
このようにハブの破損にまで発展すると大変なことが分かるでしょう。
そのため、未然にハブに負担のかからない走行をし、破損しないようにしましょう。
ハブを長持ちさせ、音が鳴らないようにするために
自転車のハブのメンテナンスや交換は一苦労、しかし、放置すれば音が鳴ってしまう。
難しい問題です。
まず、「一万円台のママチャリに、そんなに手間をかけてられるか」という方もいらっしゃるかと思います。
もっとも、そういった粗悪品は、あらゆる点でコストダウンを図っていますので、2年もせずにハブに限らず、あちこち故障して寿命を迎えてしまったりもします。
「そんな粗悪品ではなく、きちんとした自転車なんだ」とお考えの方には、やはり自分の愛車なのですから、なるべく長く乗って戴きたいものです。
そのためには、まず「水に濡らさない」ということが大切になってきます。
雨天時の走行はなるべく控え、自転車を掃除する際にも水は付けずに乾拭きするように心がけて下さい。
私は以前、サイクリングコースで少しでもよけられない水たまりがあると、必ず自転車から降りて、自転車をゆっくりと押して歩くロード乗りの方をお見掛けした事があります。
この方は、フェンダーが付いていない自転車に乗っているからと、他人や自分に水しぶきがかからないようにという配慮が真っ先にあったのでしょう。
やはり自転車乗りなら、これくらいの愛情をもって自分の自転車と向き合ってもらいたいものです。
二つ目は先にも書きましたが、ハブやクランク、ペダルなどの回転部には注油しないということです。
自転車で注油すべきなのは、チェーンや各種ワイヤー部分位です。
そして、スムーズな走行を心掛けることが大切です。
段差を無理に昇降したりしてはいけません。
ハブ内部のケーシングが破損します。
音が鳴るどころか、車輪がぐらつき始めて、大変危険です。
一方で、私も乗っているMTBなのですが、これは山道を駆け巡るのが本領です。
私が今まで書いてきたことと真逆の乗り方をするわけですから、MTB乗りの方はロードバイク以上に、メンテナンスに注意を払い、こまめなパーツ交換を心がけてください。
わざとハブから音をさせる?!
自転車のハブからする音は、今まで書いてきた故障によるものだけではなく、通常走行でも発生するものがあります。
それはラチェット音です。
ペダルを踏むのを止めて、空走させた際に鳴る「カラカラ」という音ですね。
後輪のハブに組み込まれているラチェットというパーツが空回りを起こしているために発生している音でして、この音もきちんとメンテナンスしてグリースアップすれば小さくなります。
しかし、中にはメンテナンス不足や、構造上の理由から、このラチェット音が大きいタイプのハブも存在しています。
また、このようなラチェット音の大きいホイールを、「爆音ホイール」と称して愛用している方達もいらっしゃるようです。
迷惑行為にもなりますので、わざと音を鳴らすようなことは、ぜひ止めていただきたいものです。
自転車はきちんと整備して使っていこう
以上が自転車のハブから出る音についての問題点・注意点です。
昨今は、道路交通法も改正され、自転車の車道走行、左側走行の義務化も行われています。
一方で、心無い自転車の乗り方をする人たちによって、大事故も発生しています。
そのため、自転車にも免許制度の導入も検討されているようです。
大切な交通手段である自転車が、悪者扱いされないようにするためにも、点検・整備はきちんと行い、異常があればすぐに専門店に依頼して、修理してもらい、安全な自転車に乗って、交通ルールを遵守するようにしていきましょう。