自転車のトラック競技といえば、やはり競輪が有名ですよね。
トラックを何周もする競輪などのタイヤには何が使われているのでしょうか?
レース中にタイヤが外れることはないのでしょうか?
今回は、トラック競技用自転車のタイヤの特徴や選び方をご紹介します。
また、街乗りでパンクしたまま乗ってしまった場合のタイヤへの影響についてもお伝えします。
トラックを使って行われる自転車競技
ひとことで自転車競技と言っても、その種類は様々で、メジャーなものからあまり知られていないものまで多岐にわたっています。
一般道を使うものもありますが、今回はトラックを使って行われる競技をご紹介します。
トラック競技は、自転車競技場などで行われます。
バンクと呼ばれるトラックには、角度(カント)が付けられています。
その理由は、全速力で走っても自転車のスピードが落ちないようにするためです。
バンク1周の長さは、海外では250mが基準ですが、日本では競輪の影響もあってほとんどが400mです。
種目は、短距離種目と中・長距離種目に分かれます。
短距離種目
・タイムトライアル
(スピードを競うレース)
・スプリント
(2~4名の競技者が笛の合図でスタートし、先着者が勝者となるレース)
・競輪
(最後の1周で一気に勝負が決まる、日本発祥のレース)
中・長距離種目
・パーシュート
(2名の選手がそれぞれホーム側とバック側からスタートし、互いに対戦相手を力の限り追い抜くレース)
・スクラッチ
(最大24名で競うレースで、決められた距離を走り順位を競う個人種目)
・ポイントレース
(最大24名で競い、レース中に設けられているポイント周回の得点数で成績が決まるレース)
・マディソン
(ポイント・レースを2人1組で行う。交代しながら行うのでチームプレーが楽しめる)
トラック競技は、一つではなくいくつもののレースが存在するのです。
次は、レース中にタイヤが外れるといったことはないのか、トラック競技に使われるタイヤの特徴について見ていきます。
トラック競技用の自転車に使われるタイヤのタイプ
それでは、トラック競技に使用しているタイヤにはどんなものがあるのか見ていきましょう。
競輪では、レースでの公平性を期すために、使えるタイヤが限られています。
ソーヨーというメーカーの「レッドR2」か「ゴールドスター」の2種からしか選べません。
このどちらかを使わなければいけない決まりです。
そのため、リムセメントも必然的にソーヨー製のものを使うことになります。
ちなみに、ソーヨーの競輪用タイヤは180gという軽量なもので、値段は2万円以上します。
そして、競輪や他のトラック競技に使われる形状は、ほどんどがチューブラータイヤです。
その理由は、スピードを競うには少しでも軽い方がレースには有利だからです。
チューブラータイヤが軽くできる理由には、耐パンクベルトを入れずに作られていることが挙げられます。
でも、耐パンクベルトは必要ないのか、という疑問を持つ方もいるでしょう。
トラック競技用に作られた自転車は、ツルツルした競技場や競輪場のバンクしか走りません。
そのため、パンクすることも少なく、それによってタイヤが外れることなどは考えにくいです。
このようにパンクを考慮する必要がないので、耐パンクベルトは必要ないのです。
また、トラック競技用のタイヤの幅については、たいてい19cか22cの細いものが好まれます。
ただ、フレームの形の関係で、最近主流になってきている25cのタイヤがつけられないことが多いのが、トラック競技用自転車の残念な点です。
トラックで行う自転車競技の魅力とは?!
ここまで、トラック競技用自転車のタイヤについてお話してきました。
タイヤのお話からは少し外れることになりますが、せっかくなので、ここでは自転車で行われるトラック競技の魅力についてお伝えしようと思います。
トラック競技の魅力・見どころですが、それは、やはりスピード感です。
速さだけを追求した競技用の自転車は、シングルの固定ギアにエアロフレームが使われています。
そして、競技用であるので、ブレーキがついていないのが他の自転車と違う、大きな特徴です。
また、自転車競技を行う会場(自転車競技場)にもいくつかの種類があります。
自転車競技場を見てみると、競技で使われるバンクには、細くて赤い線(スプリンターライン)と太くて青い線(ブルーバンド)の2つがあります。
その2つの線の間にあるのが、白い線で計測線と言います。
この計測線を1周したときの距離は、250m、333.3m、400m、500mと競技場によって異なります。
日本は一般的に400mですが、海外では競技規定のためほぼ250mというのはお話した通りです。
走路ですが、アスファルトやコンクリートの他にも板張りというのがあり、どれも滑りにくいように加工してあります。
また、ロードレースは選手が一瞬で通り過ぎてしまいますが、トラックレースでは競技場を周回するので観戦しやすいです。
スピード感と観戦のしやすさがトラック競技の魅力と言えるでしょう。
シクロクロスの場合、チューブレスタイヤだと外れるおそれがある?
また、トラック(競技場)を使ったレースではありませんが、不整地を周回するシクロクロスという自転車競技があります。
ご存知ない方のために簡単にご説明しますと、シクロクロスとは、ロードバイクに太いタイヤを装着したシクロクロスバイクでダートトラックを駆け巡る競技のことです。
稀にmtbでも出場できるレースもあります。
シクロクロスバイクの特徴は、タイヤが太いことです。
それはレースの中で、泥、砂、草など色々なものが次々に現れるからです。
シクロクロスにとっては、タイヤの太さやエアボリューム、ブロックパターンが勝敗を分かつカギになります。
そして、サイズは700*35Cが多く、外径はロード用のタイヤと大体同じですが、1cm以上太さが増します。
また、レースを左右するもう一つの大事な要素は、空気圧の管理です。
エアボリュームは、概ね2気圧前後と、ロードバイクでは考えられない気圧です。
もちろんコースによって、上げたり下げたりします。
チューブの形式ですが、ロードバイクと同じく、チューブを入れるクリンチャー、タイヤのみをはめ込むチューブレス、張り付けるタイプのチューブラーがあります。
3種類のうち、空気圧を落とすことが出来るチューブラーがグリップ力においては一番有利です。
そのため、コーナリングでのアドバンテージが得られます。
一方、クリンチャーは悪路でチューブが破裂しやすく、チューブレスはタイヤ自体が外れるおそれがあるので危険です。
以上のことから判断すると、シクロクロスには、チューブラータイプのタイヤがいいということですね。
パンクしたまま走り続けたらリムからタイヤが外れるの?
自転車のタイヤが外れることは、ダートトラックを走るシクロクロスのレース中だけでなく、街乗りでも起こりうることです。
以前、mtbがパンクし、そしてあろうことかその状態で走ったために、タイヤがリムから外れてしまった方がいました。
ご自身では修理方法が分からず困ってしまい、修理の依頼が来たのですが、パンクしたのは後輪でタイヤがリムから外れていました。
実は、自転車のタイヤに空気が入っていない状態では、タイヤがリムに固定されていないため、走る際の衝撃などで外れてしまうのです。
タイヤが外れているので、チューブの交換が必要です。
また、外れたタイヤにも、ワイヤーが露出するなどの障害が起きています。
タイヤの内側の縁には、リムに固定されるようワイヤーが入っているのですが、普通はタイヤのゴムに包まれて見えません。
しかし、タイヤが外れた状態で無理に走ると、ゴムが切れてワイヤーが露出してしまうのです。
そのまま使い続けると、切れ目が広がり、中のチューブまで露出してしまいます。
そして、最悪の場合、タイヤのバーストが起きます。
このケースでは、安全に走るためのことを考え、タイヤとチューブを交換しました。
もっと長い距離をタイヤが外れた状態で走ってしまうと、リムが歪んだり傷ついたりしてしまい、車輪ごと交換することになってしまいます。
パンクに気づいたら、無理に乗らずにすぐに修理しましょう。
製造不良が原因でタイヤが外れることもある!メーカーとの交渉術
また、とても稀なことですが、タイヤ自体の製造不良が原因で、走行中にタイヤがホイールから外れることがあります。
私は、トラック競技ではないですが、ツーリングに出掛けた先で新品のタイヤがホイールから外れ、困った経験があります。
現地では、予備のタイヤと予備のチューブで対応し、帰宅してから外れたタイヤを確認してみました。
すると驚くことに、ビートからコードが出ていたのです。
これは明らかに不良品ではないかと思い、ダメ元で購入先の店舗にメールで問い合わせをしました。
メールには、購入コードと使用状況を明記し、画像もつけて送信しました。
この場合は、あくまでも苦情という形にはせず、報告の形で送るのがいいでしょう。
「このタイヤをこういった状況で使用したらこうなりました。できれば代替品を送っていただけるとありがたいです。」というようなニュアンスですね。
このタイヤの場合は、製造上の欠陥ということがはっきりしたので、後日メーカーから代替品を送ってもらうことができました。
きちんとしたメーカーであれば、丁寧にかつ迅速に対応してくれるはずです。
そして、当たり前ですが、タイヤをホイールに装着する前には、異状がないかよく確認することが重要です。
トラック競技用のタイヤは軽さが重視されている!
トラック競技用のタイヤは、軽さが重要ということがわかりましたね。
また、競輪などのトラック競技においてはパンクやタイヤ外れの心配はないようです。
しかし、街でパンクしたまま走った場合は、タイヤが外れることもあるので注意が必要です。
メーカーの製造不良でタイヤ外れがあった場合は、報告という形で問い合わせてみてください。