スポーツ自転車は、自分好みにカスタマイズできるのが、一番の醍醐味!という方も多いのではないでしょうか。
その中でも操作性や振動吸収性などにも関わるフロントフォーク。
このフロントフォークの交換は難しいのでしょうか?
今回は、フロントフォークの交換をしてみたい方に向けて、愛車に合うフォークの選び方や外し方、付け方をご紹介していきます。
スポーツ自転車のフォークを交換するメリット・デメリット
スポーツ自転車のフォークの外し方や付け方をお話する前に、フォーク交換をすることでどういったメリットがあるのかをご説明していきましょう。
まず、一般的にフロントフォークは、バイクの性格や操作性をかなり左右する重要パーツなので、メーカーが合わせたオリジナルの物を使うのが相性などは良いでしょう。
そのため、街乗りに使う場合にはフォーク交換の必要性はないと思われます。
しかし、レースやカスタマイズが好きな方にとっては、フロントフォークの交換は、やはり魅力的です。
見た目が変わるだけでなく、フォークのグレードが上になれば自転車そのものが軽量になります。
また、悪路の走行をする上で必要な機能として、サスペンション機能の付いたものに交換する選択肢も出てきます。
また、交換したフォークの剛性によってはコントロールにも違いが出てくるので、ダンピング性能や潤滑性能について路面からの衝撃吸収能力が上がることもあります。
このようにグレードの高いものに交換することはメリットになることもありますが、性能だけを見て購入をするということはしないようにしましょう。
スポーツ自転車歴も長くカスタマイズに長けた方なら、フォークの特性を見極めて、乗り味を自分好みに出来ますが、そうでない方が交換する場合は、現物を見て、さらに交換経験の多い店員さんに相談して選びましょう。
このように交換が難しいパーツでもあるため、フォークの選択や付け方に失敗した場合はデメリットがあります。
例えば、ストレート保持が難しくなり、下りの安定性を失うことや、ハンドルへの路面コンディションの伝わり方が変わるので接地感が変わることが挙げられます。
このようなことを考慮して交換をするようにしましょう。
自転車に合わせてフォークを選ぶ!①
マウンテンバイクなどのスポーツ自転車のフロントフォークを交換する場合、選び方や外し方に不安がある方はお店に頼むのが一番安心です。
しかし、近くにお店がない方や、自分でカスタマイズするのが趣味という方もいると思います。
そこで、自分で組むときに気を付けるポイントはなんでしょうか。
まず、自転車のフォークのスペックを確認しましょう。
スペックの確認項目は、『ステアリングコラム径』、『ブレーキマウント』、『ハブ軸の径』、『肩下寸法』の4つあります。
例えば、ステアリングコラム径であれば、「1インチ」「1-1/8インチ」「1.5インチ」のどれかということです。
他にブレーキマウントは、「Vブレーキ」「DISCブレーキ」のどちらであるかを見て、ハブ軸の径は、「QR」「20㎜」のどちらになっているかを確認しましょう。
また、肩下寸法が「フォークのコラム取り付け最下部からハブ軸中心まで」がどのくらいになっているのかを確認しておきましょう。
ステアリングコラム径は、通常はオーバーサイズ(1-1/8インチ)ですが、稀に1インチ(25.4mm)や1-8/1のものもあります。
また、Vブレーキを装備している場合の注意点は、最近のフロントフォークはほぼDISCブレーキ専用になっているしまっている点です。
つまり、VブレーキにはVブレーキ対応のフォークを選ぶ必要があるということです。
DISCブレーキマウントは、ハブ軸の径と一緒に考えてください。
また、QRは以下の2種類があります。
・インターナショナル
ロックショックスやマルゾッキなど普通はこれです。
・ポストマウント
マニトウ規格(ブレーキキャリパーはほぼこれになりつつあります。)
お使いのDISCブレーキキャリパーによって、2つの互換性は違ってきます。
しかし、近頃はシマノなどもポストマウント用キャリパーにアダプターを付けることでインターナショナルにしている場合が多いので、両方に対応するものが多いです。
自転車に合わせてフォークを選ぶ!②
フォークの選び方の続きです。
20㎜のスルーアクスルの場合は、「ポストマウント」「インターナショナル20mm」「ボクサー」と種類が様々で、QRと同じくブレーキキャリパーがポストマウントならアダプターを使って交換できます。
また、ブレーキのアダプターでわかりにくいのがDISCローターの径です。
フォークを交換するのに、6インチか8インチかを考えると複雑になってしまいます。
ホイールやブレーキは換えないと決めれば、単純に考えられます。
次にフォークのストロークです。
ストロークが大きく変わってしまうものはおすすめしません。
ストローク(肩下寸法)が変わるとヘッドアングルやBBハイトなども変わり、自転車のジオメトリーが極端に崩れるからです。
例えば、長いフォークを入れた場合、ヘッドの位置は高くなり寝てしまいますがBBはあがるので、不安定な状態になります。
ですので、極端なものには交換しないことが重要です。
次から、いよいよフォークの外し方・付け方のお話に入ります。
フォークの交換をするなら外し方から!
自転車のフォークを交換する際にフォークの外し方が分からないと始まりません。
そこで外し方をご紹介していきましょう。
初めにブレーキキャリパーをフロントフォークから外します。
次にトップキャップを外して、ハンドルをステムごと取り外しましょう。
もちろん、コラムスペーサーも外します。
玉押しカラーを外したら、上玉押しを金属ヘラを使って外します。
僅かな隙間に金属のヘラを滑り込ませ、少しずつヘラを左右に振りながら全体的に動かしていくことが上手に取り外すコツです。
ここで、絶対にしてはいけないことがあります。
それは、1箇所のみを持ち上げるようなことをしないことです。
このようなことに気をつけて、さらに上玉押しの内側のゴムパッキンを傷つけないように気をつけながら、多方向から少しずつ、慎重に浮かせましょう。
上のベアリングは上玉押しが外れれば指で外せます。
その後、フレームのトップチューブを持ち、フロントフォークを下に抜いてください。
フォークが抜けたら、下側のベアリング、下玉押し、パッキンも外します。
下玉押しは、フォークを逆さに置きマイナスドライバーをあて、軽くハンマーでたたけば外れます。
外す前には忘れずに、下玉受けとコラムの隙間にC-RC 556のような潤滑剤を浸透させましょう。
グリスに水分と埃・粉塵が混ざりベアリングや玉押しが汚れている場合は、ベアリングと玉押し、パッキンをパーツクリーナーで洗浄して綺麗にします。
フォークの外し方が分かったら付け方の準備!
スポーツ自転車のフォークの外し方については、ご理解いただけたでしょうか。
ここでは、新しいフォークを取り付ける際の準備についてお話しします。
交換の前に、付いていたフォークのステアリングコラム長に合わせて新しいフォークのコラムをカットしておきましょう。
コラムは長めにカットすることもありますが、その場合、スペーサーを延長した分を入れれば特に問題は発生しません。
コラムカットする際のポイントは、水平にカットすることです。
専用のガイドをつけ、金鋸でカットするとうまくいきます。
パイプカッターを使うと、カット部分が盛り上がることが多くなり、ヤスリがけが大変になってしまいます。
それ以前に、アルミコラムは何とかなってもスチールコラムのカットは困難です。
その後、専用工具を使って下玉押しを打ち変えますが、下玉押しは圧入してあるのが普通なので、専用の工具が必要です。
フレームに戻したら、ばらした時と逆の手順で組みます。
外し方同様、付け方にも注意が必要です。
これについては次の章で詳しくお話しします。
フォークの外し方と準備が出来たら新しいフォークを取り付ける!
自転車のフォークが外せてカットも終わったら、下玉押しをフォークに圧入します。
左手でフォークの又の部分を持ち、フォークの先端を床に着けないよう宙に浮かせた状態で、圧入工具を打ち込んでいきます。
下玉押しの圧入に、強い力は要りません。
フォークにダメージを与えない一番安全な方法で行いましょう。
下玉押しは、フォークコラムに合うものを使いますが、うまくいかないなら下玉押しの精度に問題があるかもしれません。
コラムの下玉押し圧入部にシリコン系のグリスを塗り、もう一度やってみましょう。
まだダメなら、下玉押しの内径を#800か#1000の紙やすりでなでてみて、それでもダメならもう少し紙やすりで削ります。
やりすぎると取り返しがつかなくなるので、あくまでもサラッと削ってください。
コラム外径よりも下玉押しを削った方が良いです。
圧入が完了したら下玉押しパッキンとベアリングをセットします。
多めの量のグリスを塗り、ヘッドチューブにフォークを取り付けます。
取り付けられたら、上側のベアリングにもたっぷりグリスを塗り、上玉押しにパッキン、玉押しカラーを付けます。
この時、下側の玉押しのずれに注意します。
そして、コラムスペーサー、ステム、トップキャップを戻せば完成です。
トップキャップは、締め込み量でベアリングの当りを調節するため、締め込みすぎず、でもしっかり取り付けます。
上手な外し方ができていれば、付けることもある程度スムーズにできるでしょう。
スポーツ自転車のフォーク交換でさらに快適な走りを!
スポーツ自転車のフォークの交換について、ご紹介しました。
お店に任せるのもいいですが、お店の方にアドバイスをもらいながらご自身でフォーク交換をしてみると、愛車に対してさらに愛着がわくことでしょう。
ただし、間違えてしまうと取り返しがつかない工程が多いです。
まだ知識が浅い方や、心配の方は専門店に相談して作業をしてもらってそこで勉強していくのがいいでしょう。
ご自身で作業をするときは、くれぐれも愛車に合ったフォークを選んでくださいね!