ロードバイクのサドルは、走りの快適さを左右する重要なパーツです。
自分に合うサドルを探し求めている方も多いですよね。
今回は、スペシャライズド製のサドルの選び方と、ローミンの最新モデルをご紹介します。
また、快適な走りのための「ボディージオメトリーフィット」についてもお伝えします。
ローミンなどの穴あきサドルが生まれた経緯
ローミンで有名なスペシャライズド製のサドルには、座面に穴があいていますよね。
それはなぜなのでしょう。
ご存知の通り、サドルはロードバイクの乗り心地やパフォーマンスに大きく影響するので、ライダーの注目度も高いものです。
ロードバイクのサドルは、ライダーと直接接触する数少ないパーツであり、実際に使ってみてはじめて、自分に合うかが分かるパーツでもあります。
そのサドルの価格は、数千円から数万円まであります。
金額に差がありますが、高価なサドルを選べば間違いないということではありません。
サドルの形には、ベーシックタイプやフラットタイプがありますが、長時間のライドでは座面の硬さから痛みが出ることもあります。
このように硬さから痛みが出るのであれば、座面が柔らかければと思うかもしれません。
しかし、柔らかくても痛みが出ることがあります。
パッドが柔らかすぎると座面で坐骨(ざこつ)が沈み、レースパンツの生地が引っ張られます。
それが血流や神経を圧迫し痛みを感じるのです。
また、柔らかいと力を入れにくく力が逃げやすいため、ペダリング効率も下がってしまいます。
そこで、痛みもなくペダリング効率も下がらないサドルということで、スペシャライズドが世界で初めて開発したのが、「座面に穴があいたデザインのサドル」だったのです。
この穴あきサドルは、今ではすっかり一般的になっていますね。
また、お尻が痛くなる原因には、サドルの位置や乗車姿勢などもあります。
この原因を解決しても痛みがあるなら、サドルに原因が考えられるので、交換することをおすすめします。
スペシャライズド製サドル!ローミン・トゥーペ・パワーの特徴
前述の通り、スペシャライズドはサドルへのこだわりをいち早く形にしました。
ここでは、ローミンを含めた3つのサドルの特徴をご紹介します。
1. ROMIN(ローミン)、ROMIN EVO(ローミンエヴォ)
横から見て後ろが盛り上がっているのがローミンです。
お尻の位置を固定しやすく、タイムトライアルなどのエアロ効果が重要で短時間で勝敗を決めるレースに最適です。
ローミンをタイムトライアル用とすると、ローミンエヴォはトライアスロン用です。
長時間のレースに対応するため、快適さが追求されています。
そして、ローミンよりも10mm前方の長さが短くなり、穴が大きくなっているので、圧迫面が減ってより快適に走行できます。
2.TOUPÉ(トゥーペ)
トゥーペは横から見るとまっすぐで、ライダーの座る姿勢に合わせて座面がしなる特性もあるので、ライド中にお尻を動かしやすいです。
製品グレードによってサドルの硬さが異なり、ライド距離などに合わせて選べます。
3.POWER(パワー)
穴が大きく設計され、お尻周りの血流や神経を圧迫せずに前傾姿勢を取れるので、プロも愛用しています。
また、ユニセックスのため、女性にもおすすめできるサドルです。
軽さと、前方が短くペダリングの際に内ももが擦れず走れることが特徴です。
後ろが少し盛り上がっていて、お尻の位置を固定できるので、効率よく走行できます。
スペシャライズド製サドルの選び方
スペシャライズド製のサドルの人気ラインナップには、ローミン・トゥーペ・パワーがありますが、その選び方においては、重要なポイントが3つあります。
1.形状を決める
乗車姿勢と目的に合うサドルを選ぶために、ライディングスタイルを考えてみましょう。
リラックスしたポジションか、アグレッシブな前傾姿勢か、ライドの目的はロングライドなのかレースなのかによって、フィットするサドルは異なります。
2.パッディングレベルを決める
次にパッディングレベル(パッド部分の厚み)ですが、クッション性を取るなら柔らかめのもの、バイクとの一体感を取るなら硬めのものがいいでしょう。
3.サイズを決める
サイズはお尻の大きさではなく、坐骨の幅で決まります。
坐骨とは、左右に1つずつあるお尻の骨のことで、椅子に座った時に座面に当たるところです。
お尻の大きさと坐骨幅は必ずしも比例しないので、お尻が大きいからといってサイズの大きなサドルを選んでしまうと、快適なライドから遠ざかってしまうこともあります。
サドルを選ぶ際には、坐骨幅を計測しましょう。
そして、快適なライドにつながるサドルを見つけるためには、スペシャライズドが推奨する「ボディージオメトリーフィット」を受けるのが近道です。
これについては最後にご紹介します。
スペシャライズドのローミン!最新モデルの特徴
ここからは、2017年のローミンの最新モデル「S-WORKS ROMIN EVO」をご紹介します。
「S-WORKS ROMIN EVO」は、幅143mmのサイズで重量が134gとスペシャライズド製サドルの中でも最軽量なのが特徴です。
手にしてみるととても軽く、ロードバイクに付けても重いものを付けている感覚がありません。
全体を支えるベースとレールの素材はカーボン製なのでしなりにくく、長期間使用してもヘタりが少ないです。
さらに座面には、2種類の素材を採用しています。
前端から中央には、マットな素材を使い、可動性と滑りにくさを両立しています。
中央のシーティングエリアには、レーザーでのパンチング加工が施され、スイートスポットがわかりやすくなっています。
また、パディング(クッション)には、適切なクッション性を実現するため、中密度の発泡素材を厚めに使っています。
後ろの端には反りがあり、進行方向の横部分にはカーボン風テクスチャーが入れられているので、滑りにくくなっています。
また、サドルを上から見ると、大腿の内側が触れるフレア部分はアールがきつくなっています。
それは骨盤を寝かせたときに出力を最大化できるよう、股関節がのびても内転筋が接触しにくくするためです。
重心を低くし前にクラウチングした際や、ロードバイクを左右に振るダンシングでは、より軽さを体感できることでしょう。
「S-WORKS ROMIN EVO」のサドルに向くタイプと取り付け方
「エアロでアグレッシブな姿勢での長時間ライドでも快適性を持続する」、と謳ったスペシャライズドのローミンの新モデル「S-WORKS ROMIN EVO」の性能のよさは伝わったことでしょう。
そこで、このサドルに向いている方についてご説明しましょう。
S-WORKS ROMIN EVOは、骨盤の傾きが顕著になる設計で、股関節がのびた(ペダルが下死点付近にある)時に出力を得やすいのです。
そのため、
・骨盤が前方に傾いている方
・傾けた骨盤をサドル後端部に固定するように座って走る方
・骨盤の角度を変えずに乗り、前後移動の少ない方
・スピード変化を問わず、サドルの深い位置に座ってペダリングする方
・ヒルクライマーやルーラーの方
に向きます。
また、ロードバイクへの取り付け方法についてもご説明します。
横からサドルを見て全長を3分割した後、地面と中央の平らな部分が平行になるように取り付けるのが標準的です。
ただし、登録レースに出場する場合には、UCIの規定でもある「±3度の許容」を考慮することが必要になってくるので注意してください。
このサドルは、取り付けや調整に手間がかかる分、一度べストな位置がわかると大きな力を与えてくれます。
例えば、頂上まであと50mの局面で、座ったまま変速抜きにギア1枚分を踏み込めるので、サドルと骨盤と股関節の可動域がマッチしたペダリングが得られます。
その快適さはなかなか得難いものなので、ぜひ体感してみてください。
ボディジオメトリーフィットとはどういうもの?
ここまで、スペシャライズドのサドルの選び方やローミンの新モデルについてお伝えしてきました。
ですが、先ほど出てきた「ボディジオメトリーフィット」という言葉に馴染みのない方もいらっしゃると思いますので、簡単にご紹介していきます。
これは、快適性と持続性、ライダーの力を最大限に引き出すものです。
スペシャライズドのフィットセッションでは、認定を受けたフィッターがあなたの求めるエクスペリエンスと、身体に合ったエキップメント(装備)、バイクポジションを提案してくれます。
はじめに、あなたの走り方やサイクリングで目標とする到達点などをヒアリングし、あなたのニーズを掴みます。
次のフィジカルアセスメントでは、広範囲な18段階のプロセスを実行し、体の柔軟性や寸法を決定します。
これは、あなた専用のバイクポジションやエキップメントを設定するために大変重要になってきます。
また、ライドアナリシスでは走行姿勢を評価してもらえるので、あなたのポジションや装備が最適化されます。
最終的には、サドルの選択、シューズ、フットベッド、クリート調整、ハンドルバーポジションなどすべてがあなたの体に最も合う形になります。
一連の流れが終わると、フォローアップ診断の予定が組まれます。
そこでは、あなたが新ポジションに馴染んでいるかの確認や、最高のライドにするための指導などが受けられます。
ライドをより快適にしたい方は受けてみるといいですね。
快適なライドにボディジオメトリーフィットも活用しよう!
今回はスペシャライズド製のサドルについてお伝えし、ローミンの新モデルもご紹介しました。
サドルの位置を改善してもお尻が痛む方は、この機会にスペシャライズド製のサドルを検討してみてはいかがでしょうか。
また、ボディジオメトリーフィットなども併せて受けてみると、走りが大きく変わりそうですね!
積極的に活用して快適なライドを手に入れてください!