自転車のハブステップとは、何のためにあるの?

自転車のハブステップとはいったいなんのことかご存知でしょうか?

ハブステップとは、一昔前に使われる機会が多かったハブに取り付ける棒のことを指します。

中には二人乗りのときの足起き場として使用していた方もいることでしょう。

それでは、本来のハブステップの使い方などについてご紹介していきましょう。

自転車のハブステップは何のために取り付けるもの?

自転車のハブステップと言われても分からない人は多いと思います。
そこで、今回はハブステップについて述べたいと思います。

ハブステップとは、自転車の後輪の中央にあるハブに取り付ける棒状のものです。
そう言われると二人乗りをする時に足を乗せる部分という考えが浮かぶと思いますが、本来ハブステップはそのような目的のためにあるものではないのです。

ハブステップの本来の役割はディレーラーを保護するということです。
自転車が倒れた時に、棒状の突起がディレーラーよりも先に地面に着くのでディレーラーを保護することが出来るのです。

しかし、ステップという名前の通り足を乗せるためのものという考えがあり、実際には二人乗りをするために使用されることが多いです。

そもそも、自転車の二人乗りは禁じられています。
さらに、自転車から突起物が出ていることになるので、歩行者を傷付ける恐れがあるなどハブステップそのものが危険です。

このことからハブステップを条例で禁止している自治体もあります。

自転車のハブステップでの二人乗りは違反行為になる

自転車の二人乗りはハブステップの有無に限らず禁止されていますが、これは道路交通法ではなく、各自治体の道路交通規則または道路交通法施行規則に規定されています。

例えば東京都の東京都道路交通規則では「二輪又は三輪の自転車には、運転者以外を乗車させないこと」とあります。

しかし、これには例外規定があります。
例外規定によれば6歳未満の幼児1人であれば2人乗りが許可されます。

その1「運転者が16歳以上であり、幼児用チャイルドシートを取り付けた自転車で、6歳未満の幼児1人を乗車させること」
その2「運転者が16歳以上であり、6歳未満の幼児1人を子守バンドなどで確実に背負っていること」

この条件を満たしていれば運転者以外にも自転車に乗せることが出来ます。

ただし、先にも述べた通りこれは東京都の場合で、各自治体の道路交通規則が違うので運転者以外の幼児を自転車に乗せられるかは変わってきます。

例えば大阪府では上に挙げたその1については東京都と同じですが、その2については幼児が4歳未満であることが条件になってきます。

詳細は、各都道府県の警察のホームページなどを参照したほうが良いでしょう。

自転車の二人乗りの問題は違法だけでなく、危険性も!

自転車の二人乗りが禁止されているのは、言うまでもなく二人乗りが危険だからです。
これはハブステップを使用していなくても同じです。

二人乗りをするということは自転車の本来想定されている重量の2倍の人数が乗っていることになるのです。

極端に言えば4人乗りの軽自動車に8人乗っていることになります。
それだけの体重がかかっていることになるのですから、転倒しやすく、操縦もしにくく、ブレーキも効きづらくなります。

そして、自転車にも負担がかかります。

あまり知られていませんが、自転車の荷台には種類があり、それぞれ重量制限があります。
クラス18には18㎏まで、クラス25には25㎏まで、クラス27には27㎏までの荷物が載せられます。

前項で幼児用のチャイルドシートについて述べましたが、クラス18の荷台には幼児用のチャイルドシートを取り付けることが禁じられています。

また、幼児用のチャイルドシートを取り付ける場合には、子どもの体重と幼児用のチャイルドシートの合計重量がクラス25は25㎏以下、クラス27は27㎏である必要があります。

幼児用のチャイルドシートさえ取り付けていれば子どもを自転車に乗せられる訳ではありません。

自転車の二人乗りで、事故を起こした場合

自転車にハブステップを取り付けて二人乗りをしている人を時折見かけますが、禁止されている行為であるばかりか危険な行為です。

自転車は道路交通法で定める軽車両であるため、様々な制約を受けます。
二人乗りに関して言えば、事故を起こした時に過失相殺が適応されることがあります。

過失相殺とは、被害者が損害賠償請求をする場合、被害者にも過失があった場合、裁判所が被害者の過失の割合に応じて損害賠償額の減額を命じることを言います。

二人乗りを行い事故にあった場合は、二人乗りは自転車の走行を不安定にさせる行為であり、交通事故の発生を増大させる行為なので、著しい過失とされて10%の過失割合が割り当てられ、過失相殺が行われる可能性があります。

二人乗りをしていて同乗者が怪我をした場合は、基本的に運転は運転者が行っているので同乗者には落ち度はないように思われますが、二人乗りは同乗者にとっても危険な行為であり、被害者側の過失や好意同乗減額が問題になる場合があります。

好意同乗減額とは、好意で自動車や自転車に同乗させてあげて事故にあい、同乗者に怪我を負わせた運転者に対して、好意で乗せてあげたのだから損害賠償額を減額するという考え方です。

このように、自転車の二人乗りをして事故にあった場合は、一人で自転車に乗って事故にあった場合よりも損害賠償額などで不利になる可能性があります。

自転車のハブステップの代わりになるものは?

ここまで述べてきた通り、自転車の二人乗りは危険であり、禁じられています。
しかし、ハブステップの本来の目的である、ディレーラーを保護する目的でハブステップを使用しようと考えている方もいることでしょう。

そこで、ディレーラーガードというアイテムが存在します。
これはその名の通りディレーラーとエンドを保護するためのものです。

スポーツ自転車の場合、リアディレーラーはフレームエンドの取り付け穴に直接取り付ける方法が多く採用されています。
この方法では転倒などでディレーラーが変形した場合、ディレーラー取り付け部のフレームまで変形してしまいます。

フレームがスチールの場合、変形したフレームは力を入れて元に戻しますが、曲げるとストレスがかかるので何度も戻すことは出来ません。

また、アルミフレームの場合は一度変形すると戻せないので、ディレーラー取り付け部は分離式になっており、変形した場合は交換します。

有名ブランドのスポーツ自転車ではフレームのディレーラー取り付け部は分離式になっていますが、安価なものではアルミフレームでも分離できない一体式のものが多いです。

また、Dahon RouteやTern Link B7などの有名ブランドの折りたたみ自転車でも安価なものではディレーラー取り付け部が分離できないものがあります。

このような車体の場合、ディレーラーガードを取り付けることでディレーラーだけでなく、フレームを保護することになるのです。

自転車のハブステップの取り付けは、おすすめできない

ハブステップに乗るということは本来想定されていない部分に体重がかかるということで、後輪の軸の劣化を招きます。
また、歩行者を傷付ける可能性もあります。

こういった事例は実際に発生していて、警察を中心に取り付けそのものの禁止を呼びかける動きが出てきたようです。

現在のところハブステップを取り付けることは禁じられていませんが、危険性が高いため警察に注意される可能性が高いです。

現在でもハブステップは販売されていますが、ハブステップの取り付けやハブステップ付きの自転車の修理は受け付けてくれないところもあります。
更にハブステップを付けているとメーカーの保証も受けられないこともあります。

和歌山県自転車軽自動車協同組合は、組合加盟店でハブステップを販売しないことを決めています。
ただし、先ほども述べたように禁止されているわけではないので、量販店や部品販売店では取り扱っています。

ハブステップには何のメリットもないどころか、歩行者に対する危険性も高いです。

ディレーラーを保護するものとしてはディレーラーガードがありますので、ハブステップを取り付けない方が良いとも言えます。

また、自転車の二人乗りは危険な行為です。
運転もしづらくなり、何よりも転倒の危険性が非常に高くなります。

好意で人を乗せてあげたつもりが、同乗者まで事故に巻き込んでしまう可能性が非常に高くなります。
安全運転を心がけましょう

ハブステップについて

自転車のハブステップについてご紹介しました。

一昔前は、このハブステップを使用し、二人乗りをされる方も多かったようですが、今では、警察の取り締まりもありほとんど見かけなくなりました。

ですが、ハブステップは今でも販売店で手に入れることも可能です。

変速機を守るために取り付けたい、と考えているならば変速機を保護するためのディレラーガードを取り付けましょう。