みなさんは、自転車のチェーンの洗浄をご自分でされていますか?
自転車屋さんに頼んでいるという方、一度ご自分で洗浄してみてはいかがでしょうか。
今回は、チェーンの洗浄を灯油で行う方法や準備、廃油処理についてご紹介します。
気に入ったら自分でも試してみてください。
チェーンの洗浄:灯油などの準備品紹介
自転車のチェーンを洗浄するにはいくつか用意しなければならないものがあります。
必要なものは「歯ブラシ(2本)」「ビニールテープ」「灯油(洗浄液でも可)」「カップ」「パーツクリーナー」「軍手」「ウェス(サイズの異なるものを1枚ずつ)」「チェーンオイル」「レジ袋」です。
軍手だけでも構いませんが、ポリエチレンかラテックスで作られた手袋をはめ、その上から軍手をはめれば手がさらに汚れにくくなります。
歯ブラシは使い古しのものか、新品を使うならなるべく安い歯ブラシを選びましょう。
一度使ったら捨ててしまうので、値段が高いともったいないですよ。
さて、チェーンを洗浄するための道具ですが、メジャーなものとしてはアメリカ製のグランジブラシが挙げられます。
針金のような鋭い毛が並んでおり、ブラシにしてはかなり大きいため、チェーンのような細かいパーツを洗うには少し不向きかもしれません。
そこで歯ブラシの出番です。
2本の歯ブラシを、ブラシとブラシが重なるように向かい合わせにしたら、ビニールテープを巻き付けましょう。
たったこれだけですが、狭い隙間にも差し込めますし、細かい部分の汚れを取るにはうってつけのツールであると言えるでしょう。
もちろん専用の洗浄機も便利ではありますが、隅々まで洗うなら歯ブラシの方が良いかもしれません。
チェーン洗浄:灯油やケミカル類の準備について
チェーンの洗浄には洗浄液が必要ですが、灯油でも構いません。
どちらかを100mlほど、適当な入れ物に注いでおきます。
この他にはチェーンルブと呼ばれるオイルとパーツクリーナー、CRC556を用意しましょう。
CRC556は灯油がない場合、代用品として使います。
チェーンに振りかけるだけで、洗浄用の油と同じ役割を果たします。
パーツクリーナーは必須ではありません。
しかし、あると作業が格段と楽になります。
作業を始める前に、チェーンの下に古いバスタオルやダンボール、ビニールシートなどを敷いておけば、灯油などが飛び散っても周囲が汚れることを阻止出来ます。
灯油を扱うため、周りに火気がないことをしっかり確認して下さい。
危険だと感じるものはあらかじめどかしておきましょう。
また、臭いもきついので、屋内で作業を進める場合は換気に気を付けて下さい。
なお、チェーンの位置は、最も車体から離れている外側が最適です。
つまりフロントはアウターに、リアはトップに入れておくのが良いでしょう。
これで準備は万端です。
いよいよ本格的な洗浄へと移ります。
チェーン洗浄:灯油で洗浄する手順
チェーンを灯油で洗浄する方法ですが、まずはチェーンを取り外して、トレイの上に置きましょう。
トレイはなるべく金属かアルミ製のものにして下さい。
プラスチックでは溶けてしまう可能性があります。
次はトレイの中にチェーンが浸るくらいの量の灯油を注ぎ、軽くトレイを揺すってやります。
灯油が飛び散りそうで嫌だと感じる人は、ペットボトルの中にチェーンと灯油を入れて、蓋をしてから上下に振るというのも有りです。
ある程度揺すったらウェスを使ってチェーンをざっと拭き上げましょう。
まだ完全に汚れは取れていませんが、一旦元の位置に取り付けます。
そうしたらチェーンクリーナーを吹き付けましょう。
すると取り切れなかった汚れや、ローラーの隙間などにこびり付いていたゴミなどが浮かび上がります。
後はチェーンを1コマ1コマ丁寧に拭いていくだけです。
パーツクリーナーが残っていると、新たな汚れとなってしまうので、きちんと隅々まで拭き取って下さい。
仕上げとして、チェーンオイルを差してあげれば作業終了となります。
ただし、灯油を使った掃除は推奨されているわけではありません。
なるべく専用の洗剤や洗浄液を使うようにしましょう。
チェーン洗浄:汚れの落ち具合と灯油の処分
チェーンを灯油に浸けて洗浄した場合、使い終わった後の灯油はどのように処理すれば良いのでしょうか。
当たり前ですが、排水として流すのは絶対にやってはいけません。
廃油を捨てるには廃油パックというものを使い燃えるゴミとして出すか、専用の缶の中に入れてガソリンスタンドへ持って行けば良いとされています。
また、いらない紙に染み込ませてからビニール袋に入れ、燃えるゴミにするという手もありますが、チェーンが浸るほどの量の灯油を全て紙に吸い取ってもらうのは地味に大変な作業です。
一番良いのは廃油缶かと思われます。
灯油を使用する際には火に気を付ける必要があります。
とはいえ、常温で発火することはありません。
しかし、40~60℃以上の温度になると蒸気が立ち込め、そこへ火を近付ければ燃え始めます。
255℃を超えれば火の気がなくても発火するでしょう。
最も注意しなければならない季節は夏です。
炎天下に油がたっぷりと染み込んでいるゴミがあったとして、そこにポイ捨てされた煙草などが近付いたら、高確率で引火します。
夏場は特に気を付けて下さい。
スプロケットの洗浄:準備品
自転車のチェーンの洗浄を行う場合、一緒にスプロケットも洗いましょう。
必要なものを揃えれば、作業は5分程度で済みます。
とはいえ、用意するものもそんなに多くはありません。
浸透潤滑剤とパーツクリーナー、歯ブラシがあれば十分です。
どれもホームセンターで買うことが出来ます。
浸透潤滑剤は何処のブランドを使っても構いません。
常に1本置いておくと、日常生活でも役立つ時がありますよ。
デグリザーや灯油などの、洗浄に用いる油は不要です。
歯ブラシは使い古したもので良いのですが、安物を購入した方が使いやすいと感じることが多いようです。
ですが基本的に掃除を終えたら捨てるものなので、わざわざ買うほどのものでもありません。
ウェスは大きいものと小さいもの、両方を用意して下さい。
大きいウェスは床が汚れないように下に敷きます。
小さいウェスは細長く切り取ると使いやすいでしょう。
着なくなった衣類を適度な大きさに切り取ることをおすすめします。
軍手は必須ではありません。
単に手が汚れることを防ぐためのものなので、気にしないという人は素手で大丈夫です。
スプロケットの洗浄:作業のポイント
自転車のチェーンを洗浄する時は、ほとんどの場合、スプロケットの洗浄も行います。
ポイントは見えない部分にもかなりの汚れがこびり付いているので、歯の裏側を意識することです。
コツとしては、歯ブラシをスプロケットの歯の先端と垂直になるように当てましょう。
なお、スプロケットを擦るとオイルがあちこちに飛び散ります。
洗いやすい服か、汚れても構わない服で作業することをおすすめします。
パーツクリーナーを吹き付ける時はホイールを立てて、横から吹き付けましょう。
これは余計な場所にパーツクリーナーが付着しないようにするためです。
一通りクリーナーをかけたら、小さく切り取ったウェスを歯と歯の間に挟み、動かすことで汚れを取ります。
こうすれば歯ブラシでも取り切れない部分の汚れを取り除くことが出来ます。
汚れを溜め込んでしまうと動力が上手く働かなくなり、錆び付きやすくなるので、こまめに洗うようにしましょう。
もしもオイルが混ざった汚れが溜まっていたら、スプロケットを外し、灯油などを使って洗浄します。
ここまで酷い汚れになると、元の美しさを取り戻すには時間が掛かりますし、他にもいくつか工具を用意しなければなりません。
チェーン洗浄について
チェーンを洗浄する頻度は、使用状況によって変わります。
しかし、少なくとも数カ月に一度は洗浄を行うと良いでしょう。
チェーンを綺麗に保つと、チェーンの寿命が延びるだけでなく、スプロケットの摩耗を防ぐなど、駆動系のパーツの寿命を延ばす効果も期待できるのです。
なお、洗浄の際には廃油処理にはご注意くださいね。