ロードバイクでカーボンフレームを扱うメーカーがとても増えました。
その理由は、レースで勝利を収めるためです。
しかし、カーボンフレームは諸刃の剣とも言えます。
軽量で衝撃吸収性に優れていますが耐久性が低いんですね。
それでは、ロードバイクのカーボンの寿命の目安はどのくらいなのでしょう。
フレームに使われるカーボン素材には種類がある?
カーボンフレームの寿命はカーボン素材の種類によって左右されます。
カーボン素材の種類のご説明をします。
カーボンの種類は「50HM1Kカーボン」のように表されます。
HMはハイモジュラスつまり高弾性を意味します。
高弾性カーボンは、大変変形しにくく、50HMとは1平方㎜あたり50トンの引張強度を持つことを意味します。
Kはカーボン繊維の本数を意味し、カーボン繊維を何本束ねた糸を使ってカーボンシートを製造したかを表し1Kは1000本のカーボン繊維を束ねた糸を使っていることを表します。
織物に例えると、12Kは毛糸などの太い糸でできたセーターで1Kは細い絹糸を編んだシルクのシャツということになります。
すなわち1Kは、硬めで薄手かつ軽く、12Kは柔らかめで厚手かつ重くなります。
ただし、1Kと12Kのどちらが優れているというわけではなく、Kが異なるシートを部位ごとに使い分けて特長を生かしています。
また、表面にカーボン繊維の模様が見えている製品は表面に化粧カーボンという、装飾のための12Kカーボンシートをかぶせていることが多いです。
カーボン素材は脆いの?
カーボン素材は脆く、カーボンフレームは寿命が短いと言われますが、実際のところはどうなのか、アルミフレームと比べて考えてみましょう。
強度は、よく硬度で評価されますが、硬度で言えば間違いなくカーボンの方が高いです。
しかし、強度は硬度だけでは表せません。
靭性も重要なポイントです。
靭性とは、素材の粘りのことです。
いくら硬度が高くても靭性が低ければ衝撃を受けたとき壊れてしまいます。
簡単に例えれば、ただ硬いだけの素材であれば重さなどの負荷には耐えられますが、ぶつかった時に衝撃を吸収できずに壊れてしまうということです。
また、カーボンは樹脂なので比重を考えてもアルミのような金属素材よりは軽いです。
そのため、強度を維持してなおかつ軽い素材ということでカーボンが使われているのです。
しかし、カーボンフレームは負荷が許容範囲を超えると折れてしまいます。
カーボンは、衝撃荷重に弱いですが素材強度を言えばアルミよりもカーボンの方が高いです。
よって、カーボンの寿命が短く脆いとは一概には言えないというのが結論です。
フレームにも使われるカーボン素材の寿命は実は長い!?
フレームに使用されるカーボンの寿命は、実はとても長く、カーボン繊維そのものの寿命は数十年~百年あるとされています。
しかし、自転車の素材として使われた場合には様々な要因により実際は数年程度の寿命です。
ここではカーボンフレームの注意点について述べていきます。
樹脂の吸湿を防ぐカーボン製品は、表面に施されたウレタン塗装によって保護されています。
そのため、表面の塗装がはがれると吸湿します。
また、塗装はフレーム内部には施されていないので水洗いする場合は注意が必要です。
決して野ざらしにならないようにして下さい。
樹脂は吸湿すると強度が低下します。
さらに吸湿したカーボンが低温になると樹脂内部で水分が凍結し、まれに破損することがありますので、注意が必要です。
カーボンは、高い強度を持っていますが衝撃を受けると内部が破損しその破損が外側からは見えないことがあります。
そのため、落車したり事故を起こしたりして大きな衝撃が加わったカーボン製品は、カーボンがはがれて浮いたような箇所や線状の亀裂がないか良くチェックし、異常がなくても専門店でチェックを受けて下さい。
カーボンは、金属素材に比べると衝撃の伝達が早いので、ぶつかった部位以外がダメージを受けている場合もあるので注意が必要です。
カーボンパーツの取り扱いの注意点
カーボンフレームの寿命はそれほど長くはないとよく言われますが、ここではカーボンパーツの取り扱いについてご説明します。
フォークコラムのように他のパーツによって締め付けられている部分以外には、キックスタンドのような外部パーツを取り付けることはできません。
また、カーボンシートポストにポストキャリアを装着することもできません。
何故かというと、カーボンは想定されていない部分の圧縮にはたいへん弱いため破損の原因になるからです。
カーボン製品を取り付ける時、締め付け方が悪いとパーツにダメージを与える場合があります。
そのため、カーボンパーツを取り付ける時は専用の固定パーツで、トルクレンチを利用して指定トルクで締め付けて下さい。
また、必ずねじ山にグリスなどの潤滑剤を塗っておかないと締め付けトルクが無意味になります。
また、トルクレンチを使用するときには、締め付け部分に摩擦増強剤を塗ると、低いトルクで充分固定できるのでおすすめです。
カーボンフレームの寿命を延ばす!?傷の修理方法!
カーボンフレームの寿命を延ばす、傷の修理方法をご紹介します。
愛車の傷は浅い傷であってもたいへん深い傷に感じますよね。
そこで、ここで傷消しにおすすめの商品QUIXXとその使い方をご説明します。
①傷口の泥、油汚れなどを落とします。
②1と書いてあるQUIXX1のポリッシュ剤を適量、フレームにつけます。
あとは付属の専用クロスで円を描くように磨きます。
結構深い傷の場合はこの作業を何度も繰り返します。
磨いているうちに傷がどんどん回復していきます。
傷がほとんど平らに磨き上げられたら表面を濡れたタオルで拭いてきれいにします。
③仕上げにQUIXX2のポリッシュ剤を適量つけて専用クロスで磨き上げます。
このQUIXXは普通の傷消しとは傷を消す仕組みが全く違います。
自動車などで使われている従来の傷消しは凸凹をコンパウンドで削り取って傷を目立たなくする方法です。
しかし、このQUIXXは凸凹の凹の部分を特殊な成分によって埋め、クリアに動かす塑性変形を利用して凸凹を消すのです。
そのため、光が当たった時も変にへこんだ感じに見えたり、フレームの色合いが変化してしまったりすることがありません。
フレームは、アルミでもクロモリでもチタンでもカーボンでも何でも使用できます。
カーボンの寿命の延びるメンテナンス
カーボンフレームの寿命の延びるメンテナンス方法をご説明します。
・なるべく直射日光の当たらないところで保管する。
直射日光を浴びると自転車は紫外線による経年劣化がおきます。
・雨の日に乗ったら、フレーム内に入った水を抜き、風通しの良い環境で乾燥させる。
カーボンパーツは錆びませんが繊維の間に水分が入ると劣化を速めます。
また、金属パーツを保護するためにも水気は極力取り除きましょう。
・サドルクランプやステムの固定は、適正トルクを守り、ネジを締めすぎない。
シートポストの差し込み口にフィニッシュラインのファイバーグリップなどを塗り、適正トルクの最低値付近でもしっかり固定できるものを使いましょう。
トルクレンチは高価ですが安心感があります。
・縁石などの突起物の近くには立てかけておかない。
突起物にぶつかって一点集中の衝撃が加わると破損することもあります。
倒れてしまいそうならば邪魔にならないところでディレーラー側(右側)を上にして寝かせておきましょう。
・自転車に乗る前は自転車を10㎝ほど持ち上げてから着地させ、どこかネジが緩んでいるような音がしていないか、フレームなどから鈍い音がしていないかなどの音を聞いて確かめる。
サドルの高さ合わせなど、ネジの締め付けなどで自信がなければ購入したお店の方に相談してみて下さい。
カーボンフレームは寿命は比較的長い
ここで言う寿命が何かの影響で破損することを省き、自然に破損する恐れのある事を言うのであれば、カーボン素材の寿命は意外に長いです。
ただし、直射日光を受け続けると当然エポキシ樹脂が劣化して寿命が短くなります。
また、必ずしも数年で寿命を迎え、破損するというものではないです。
性能の良いものですので、しっかりメンテナンスを行い、愛着を持つと寿命も長くなります。
しっかりメンテナンスをして大事に扱いましょう。