ロードバイクのクランクは慣れたら規格を見直すのがオススメ

ロードバイクは完成車で購入することが多いので、付属パーツは最初から自分で選んでいるわけではなく、後からカスタムをして自分好みにしていくのが基本です。

ワイヤー類やブレーキのゴムなどは消耗品なので、寿命が来れば交換の必要に迫られるということですが、中には寿命というよりも性能やデザインの向上を狙って戦略的に交換するパーツもあります。

クランクなどもその1つですので、今回はオススメの選び方を考えていきます。

ロードバイクではクランクアーム+チェーンリングを「クランクセット」として扱う

ロードバイクのクランクはペダルやギアも合わせ広い意味でとらえられているケースが多いのですが、実際にはペダルもギアも単独のパーツですので、クランクは回転している棒状のパーツのみのことを表します。

しかし、単独で使用されることは無く、ペダルやギアが有って初めて体を成すわけですから、広い意味でとらえるのは間違いではありません。

ロードバイクではフロントギアである「チェーンリング」と、棒状のパーツ「クランクアーム」を合わせて「クランクセット」として扱うことが多く、ペダルは完全に個別パーツとして扱われます。

そのため、今回の記事もクランクセットを中心にお話しさせていただきます。

クランクの役割は動力を車輪に送ることであり、自分の脚で回すことになるクランクアームは、しっかりと脚力を動力に変えてくれる必要があります。

それにはたわみが少なく変形しないものがベストであり、一概には言えないまでも、ある程度グレードの高いクランクがオススメになります。

また、クランク回しやすいかどうかという点も大切ですので、アームの長さも重要です。

そして、ギアであるチェーンリングは後輪に伝える動力を加減するものですが、単純に言えば重いか軽いかを判断して決めることになります。

詳しくは後ほどお話ししますが、上り坂が厳しいとなれば軽いギアを選択し、スピードを上げたいと考えれば重いギアを選びますので、自分の脚力との相談にもなります。

ロードバイクのクランクにおいてアームの長さが持つ意味とは?

ロードバイクの完成車におけるクランクセットは、サイズによってアームの長さが決まっている機種が多いです。

一般的には身長の10分の1が適正であるという考え方から、適応身長が170cmであれば170mm、175cm~180cmになってくると175mm以上になってくるという具合です。

しかし、最初の目安という意味では身長から割り出すという方法も良いのですが、アームの長さというのは掛けることができるパワーや、回転数にも影響があります。

そのため、走りのスキルアップにつながる可能性がありますので、ある程度慣れてきた段階で見直してみるのがオススメになります。

クランクというのは回転運動であり、アームの長さはその回転で描かれる円の半径に当たります。

そのため、アームが長くなればより大きな弧を描くことになりますので、同じ回転数であればクランクが生み出す動力は大きくなります。

長めのアーム長のクランクがオススメの場合

前項でお伝えした回転運動に加え、ロードバイクのクランクアームにはてこの原理が働きます。

てこの原理では力点から支点の距離が長いほど、少ない力でも大きな作用を生み出すことができます。

これをクランクアームに置き換えますと、両側の先端が支点と力点になりますので、アームの長さが支点と力点の距離を表すことになります。

そのため、アームが長くなると少ない力でクランクが回せるので、重いギアが選択できるようになり大きな動力を生み出しやすくなります。

こういった理論を自分の走りを当てはめて考えてみますと、オススメのクランクアームの長さが見えてくるはずです。

ペダルに力を込めて体重を乗せてクランクを回すような感覚で乗りたい方は、長めのクランクアームが適しています。

ただし、重いギアを力を込めて回すという走りは脚に非常に負担が掛かりますし、膝や足首の可動域が広がるので、痛めてしまうリスクが増えます。

そのため、脚力に自身のある方でないとオススメとは言えないので、慎重に選ぶ必要があります。

短いアーム長のクランクがオススメになる場合

一方ロードバイクのクランクアームが短くなりますと回転運動が描く弧が小さくなるので、動力の伝達力は少し落ちます。

しかし、その分ペダルを軽い感覚で回すことができるので、脚への負担が小さくなりクランクの回転数を上げることができます。

また、アームが短くなることで、ペダルが最も地面に近づく地点である「下死点」が上がりますので、その分だけサドルを上げることができます。

サドルが上がるとより深い前傾姿勢が取れますので、空気抵抗の低減になりスピードが上がります。

そして、脚への負担が少ないということは、疲労が溜まりにくいということなので、距離を延ばすことに繋がりますから、長距離を走るには短めのアームが有利と言えます。

ただし、クランクアームはあまり極端な長さにするのはオススメできませんので、長短どちらに寄せるにしても、身長の10分の1から±2.5mm~5mmまでに収めるのがよいかと思います。

ロードバイクのクランクにおいてはチェーリングの見直しもオススメ

冒頭でも少し触れましたが、クランクアームの長さと共に見直しをオススメしたいのは、フロントギアであるチェーンリングです。

チェーンリングはチェーンを介して後輪に動力を送る役目があり、フロントは歯車の歯数が多いほど大きな動力を伝えられます。

ロードバイクのフロントギアは一般的には2速であり、大きい方の歯車が進行方向に向かって外側に来るので「アウター」、小さい方の歯車が内側になりますので「インナー」と呼ばれます。

そして、このアウターとインナーの歯数によってクランクには呼び方があります。

アウター×インナーの歯数で

50×34が「コンパクトクランク」

52×36が「セミコンパクトクランク」

53×39が「ノーマルクランク」

上記以外の歯数のギアや別のアウター×インナーの組み合わせもありますが、基本は上記3パターンとなります。

現在の完成車の主流はコンパクトクランクで、レース色が濃くなってくるに連れて歯数が多くなっていく傾向にあります。

ロードバイクの今の標準はコンパクトクランク

前項でお伝えしたチェーンリングの歯数構成ですが、やはりこれもロードバイクにおける自分の走りに照らし合わせて考えることになります。

トライアスロンやタイムトライアルなど、よほど平坦に特化した競技でなければまず基本はコンパクトクランクとなります。

歯数が多くなりますと動力の伝達力はありますが、それだけ脚力も多く必要になりますので、ペダルを漕ぐ感覚が非常に重くなります。

ギアは前後の組み合わせですからフロントだけで決まるわけではないですが、ロードレースでない限りはアウターに歯数50以上のものが必要なシーンは少ないと考えられます。

また、勾配のきつい坂道の上りなどではインナーを使用することもあり、ここが36や39ですと厳しいこともあるので、34のコンパクトクランクが推奨されます。

ただし、脚力に自信がある方でもう少し重いギアが踏めると判断すれば、スピードアップの可能性がありますので、セミコンパクトやノーマルという選択もオススメになります。

今のクランクが自分にベストなのかを考える!

クランクセットはロードバイクのパーツの中では高額な部類ですし、かなり寿命が長いので、頻繁に交換するようなパーツではありません。

しかし、最初から付属しているクランクがベストチョイスであるとは限りませんので、慣れてくれば見直しも必要になり、場合によっては交換ということになるかもしれません。

その場合には、今回お伝えした要素も踏まえながら、自分の走りに合ったクランクセットをチョイスしていただければと思います。