ピナレロのドグマ65.1の歴史と由来!弱点もあった!?

ピナレロの「DOGMA(ドグマ)」といえば、自他共に認められている不動のフラッグシップモデルです。

しかし、フラッグシップモデルながら、ピナレロらしく色々と変遷をたどりながら今に至ります。

特に近年では「65.1」から「F8」への受け渡しが、ピナレロの新時代を作ったとも言われています。

そこで今回はそのターニングポイントとなった、ドグマ65.1についてお話ししていきます。

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ピナレロ・2019モデルのラインナップ

まずは、現在のピナレロのロードバイクのラインナップを確認してみましょう。

2019モデルは、「ドグマF10」がフラッグシップモデルとなります。

ドグマF8の後継モデルで、F8をさらに軽く、硬くして、恐ろしいまでの空力性能がプラスされ、「モンスターバイク」とも称されます。

そのドグマF10の技術を踏襲しながら、素材や独自の技術を盛り込み、ホビーユーザーに寄り添うセカンドグレードが「PRINCE(プリンス)」です。

最も長くピナレロのラインナップにその名を残している名車で、2019モデルは5世代目になります。

そして、F8がフラッグシップモデルだった時代のセカンドグレードで、今のプリンスと同じ立場だったのが「GAN(ガン)」です。

ここまでが、ドグマF8に端を発したピナレロの新時代と言われるモデルで、いわゆるエアロロードのカテゴリーです。

ここには、ピナレロでは「グランフォンド」モデルと位置付けている「ドグマK10」も含まれます。

そして、今回の主役でもあるドグマ65.1はF8の前のフラッグシップモデルであり、形状は既に少しエアロ寄りではあるものの、完全なエアエロロードではありません。

そのデザインを継承しているのが、2019モデルでは「RAZHA(ラザ)」になり、65.1をさらにオールラウンド化したイメージです。

ピナレロ・ドグマ65.1の歴史 ①

ここからは、ピナレロ・ドグマ65.1の歴史を振り返ります。

ドグマ65.1は、2013年にそれまでのフラッグシップモデル「ドグマ2」の後継機としてデビューします。

ドグマ2は世界初の左右非対称形のロードバイク「ドグマ60.1」の後継機で、60.1は今では当たり前と言える「アシンメトリックデザイン」の生みの親的な存在でした。

そこから、カーボン素材やフレームの仕様を見直したのが65.1であり、2013年デビューの製品名は「DOGMA 65.1 Think2」でした。

Think2というのは、ワイヤー類の受けを交換することで、電動変速と機械式変速の両方に対応するという技術で、現在でもラザに受け継がれています。

65.1は試作機で挑んだ2012年のツール・ド・フランスで「ブラドレー・ウィギンズ」に個人総合優勝をもたらし、ツールとジロ・デ・イタリアで共にステージ3勝を挙げた、「マーク・カヴェンディッシュ」の愛機でもありました。

ピナレロ・ドグマ65.1の歴史 ②

引き続きピナレロ・ドグマ65.1の歴史ですが、2シーズン目となった2014年には、油圧式ディスクブレーキ搭載の「65.1 HYDRO」が登場し、新時代を見据えるラインナップにもなりました。

ディスクスレーキモデルは2019年では、F10、K10、プリンスの3機種に拡大されており、しっかり受け継がれています。

そして、2015年モデルではドグマF8のデビューにより、フラッグシップモデルは受け渡され、2015年を持って65.1は市場を去ります。

しかし、65.1の金型を使用しカーボン素材を見直したモデルがプリンスの名を冠し、2018モデルまで残っていました。

いわゆるこれは、世界初のアシンメトリックデザインを採用したドグマ60.1から続く、「65.1の形状や技術を受け継いで行く」という意志の表れです。

プリンスは2019モデルで今までと全く違う新しいモデルになりましたが、先述通り65.1はラザにその遺伝子を残しています。

ピナレロ・ドグマ65.1の数字の意味

さて、ここまでピナレロ・ドグマ65.1の歴史を振り返ってきましたが、「65.1」という数字について疑問がある方も少なからずいらっしゃるはずですので、ご説明しておきます。

この数字はフレーム素材に使用されているカーボンの特性を表しており、65.1は「65HM1K」の略として製品名に使用されています。

HMは「高弾性(ハイモジュラス)」という意味で、変形しにくい高剛性のカーボン素材のことを指します。

65HMというのは、65T(トン)の引っ張り強度を持つという意味で、1㎝のカーボンを2cmに引き伸ばすのに65トンの力が必要、ということです。

30Tを超えてくる辺りからやや硬めとなりますので、65Tは飛び抜けて高い剛性で、とても硬いフレームを作ることができる素材です。

また、1Kというのはカーボン繊維の束の数のことで、Kは1000本です。

すなわち、1Kというのは「1000本で一束の繊維を使用している」という意味で、一番少ない本数ですから、隙間ができないように、きめの細かい糸で編み込んであります。

そのため薄く軽量で、ガチガチに編み込んであるので硬くなります。

当時のピナレロの他のロードバイクは、30HM12K(12000本)が多かったので、「65HM1K」の65.1は、とにかくガチガチに硬く軽量なフレームであったということが分かります。

ドグマ65.1に採用されていたハイモジュラスカーボンの弱点

前項では、ピナレロ・ドグマ65・1の数字の意味をお伝えしましたが、相当なハイモジュラスカーボンであり、硬いフレームであったことが想像できます。

ただ、硬い高弾性のカーボン素材というのは、逆に強度が下がり破断しやすくなります。

以前にテレビCMでも放送されていましたが、花びらを凍らせるとパリパリになって、手で握っただけで粉々に砕けてしまいます。

しかし、常温であれば手で握っただけでは変形することはあっても、粉々になることはまずありません。

これを素材に置きかえれば、凍らせた状態の花びらが高弾性のカーボンであり、常温のものが弾性を控えた素材、ということになります。

この場合、変形するよりも粉々になってしまう方が強度は低いことになりますので、高弾性のカーボンは強度に問題があるという理論が成立します。

65.1からF8へのモデルチェンジは、もちろん他にも理由があったとは思います。

しかし、F8から使用されるカーボン素材が、強度を意識して弾性率を少し下げたものになりましたので、この理由も大きな要因と言えるでしょう。

ピナレロでドグマ65.1の遺伝子を継ぐバイク

それでは最後に、2019モデルで唯一と言える、ドグマ65.1の遺伝子を引き継ぐ「ラザ」をご紹介します。

ドグマF10を始めとする新時代のモデルとの明らかな違いは、ピナレロの象徴でもある「ONDA(オンダ)」のフロントフォークの形状です。

ラザのフォークは65.1譲りで、人間の脚を意識したような複雑なうねりが特徴です。

一方、今のONDAフォークは、緩やかな曲線でデザイン自体もシンプルになりました。

もちろん性能に問題はないのですが、デザイン性はラザに採用されている伝統的な形状の方が、より多くのファンを獲得しています。

また、ラザの完成車は機械式変速ですが、これも65.1の遺伝子を引き継ぎ、Think2システムを採用しているので電動変速にも対応します。

そして、ラザには「EZ-fit」という女性向けのサイズ設定がされたモデルがあり、単にコンパクトなサイズというわけではなく、専用設計になっています。

これも、「ピナレロの伝統を引き継ぐラザを、より多くのユーザーに届けたい」という意思の表れであり、65.1の直系モデルに相応しい仕様かと思います。

ドグマ65.1はピナレロの伝統を継ぐモデル!

今回は、ピナレロのドグマ65.1についてお話ししました。

ピナレロの伝統を継承したモデルとして、歴史に間違いなく名を残す存在でしょう。

今では中古品でしか手に入る可能性は無いかと思いますが、硬いバイクを好む方は、間違いなく一考してもよいレベルです。