自転車のブレーキ音解消に注油は厳禁!ならどうすればいい?

自転車の後輪ブレーキから、激しいブレーキ音がするのは珍しくありません。

しかし、そのブレーキ鳴きを解消するために、ブレーキ部分に注油するのは大変危険です。

この記事では、主にシティサイクルに使用されているブレーキについて、ブレーキ音の原因と、その解消方法についてお話しします。

自転車のブレーキ音を解消に注油は危険!音の原因とは?

自転車のブレーキをかけた際に、けたたましいブレーキ音が発生して困っている方も多いかと思います。

自転車のブレーキ音は、ブレーキの構造上、どうしても発生が避けられません。

しかし、きしむようなブレーキ音がうるさいからと、むやみに注油するのは危険です。

さらに、甲高いキィキィといった音は、注油しても解決しません。

では、そもそもなぜ、ブレーキ音が発生するのでしょうか。

シティサイクル、いわゆるママチャリの場合は、前後で異なるブレーキが取り付けられています。

一般的なシティサイクルには、前輪にはキャリパーブレーキ、後輪にはドラムブレーキが用いられています。

そのため、同じブレーキ音の発生という問題でも、発生の原因はそれぞれ異なります。

前輪ブレーキから音鳴りが発生する場合は、ブレーキシューの磨耗や、ブレーキシューに異物が付着している可能性が考えられます。

後輪ブレーキから音鳴りが発生するなら、ドラムブレーキのゴムバンドや内部のシューに原因があると考えられます。

しかし、バンド式ドラムブレーキの場合は、正常な状態でも激しい音鳴りを発生させるケースが非常に多く見受けられます。

油分は大敵!自転車のブレーキについて知ろう!

ブレーキ音のうるささの原因を知るためには、自転車のブレーキの構造について、もう少し理解を深めておく必要があります。

この章では、自転車のブレーキの仕組みについてお話しします。

前章で述べた通り、自転車のブレーキは前後で異なるブレーキを使用しています。

自転車の前輪には「キャリパーブレーキ」が用いられています。

キャリパーブレーキは、リムにブレーキシューを押し付け、その摩擦力で制動するブレーキです。

ブレーキシューは、ブレーキ本体に接続されたブレーキワイヤーが引っ張られることで、ブレーキアームの間隔が狭まり、それによりリムに押し付けられます。

一方、後輪に使用される「ドラムブレーキ」は、ハブに固定されているドラムと呼ばれるシャーレのような形をした部品があります。

種類にもよりますが、ドラムの外側にゴムバンドが付いており締めて制動するものと、内側にシューがあり制動するものがあります。

このうちどちらも、金属の部品を介してブレーキワイヤーと繋がっています。

そのため、ブレーキワイヤーが引っ張られると、制動させるパーツが引っ張られて、ブレーキがかかります。

そして、これらブレーキのメンテナンスで重要なのは、このブレーキシューやブレーキゴムに、絶対に機械油を付着させないことです。

その理由は、先に述べた制動の仕組みからも分かるように、油分が付着するとブレーキの摩擦力が大幅に低下するからです。

ブレーキ音を解消しよう!前輪のキャリパーブレーキの場合

では、ブレーキ音が発生した場合の解決方法をお話しします。

まずは、前輪のキャリパーブレーキで音鳴りが発生した場合についてです。

ほとんどの場合、キャリパーブレーキの音鳴りの原因は、ブレーキシューにあります。

ブレーキシューを見て、完全にすり減っていたなら、それを交換すれば音鳴りは解決するでしょう。

また、ブレーキシューがすり減っていない場合は、異物が付着している可能性が考えられます。

その場合は、ブレーキ本体からブレーキシューを取り外し、ブレーキシューの異物を除去します。

ブレーキシューは、六角ボルトで固定されているので、スパナが1本あれば取り外せるでしょう。

このとき、ブレーキシューの表面に油分を付着させないように気をつけて作業してください。

ブレーキシューの表面の異物を除去すると同時に、リムの掃除をするとより確実に音鳴りが解消します。

それらを行っても解決しない場合は、ブレーキシューの交換をおすすめします。

ブレーキシューは、「サイクルベースあさひ」などの自転車店で、1000円以下で購入できます。

ブレーキに注油!?後輪ドラムブレーキの場合

次は、後輪のドラムブレーキでブレーキ音が発生した場合についてです。

先程お伝えしたとおり、ドラムブレーキには種類があります。

バンド式、サーボ式、ローラー式の3種類があり、それぞれに音鳴りの解決方法が異なります。

ドラムブレーキを自転車のチェーン側から観察し、ドラムの外周をオレンジ色の帯が取り巻いているならバンド式です。

この方式のブレーキの音鳴りの解消方法については、次章で詳しくお話しします。

サーボ式のドラムブレーキには、ドラムのケース外側に、緑色をした円形のゴムの蓋があります。

サーボ式ドラムブレーキは、音鳴りがしにくい特性を持っています。

しかし、もし音鳴りが発生し、なおかつブレーキの調整を行っても解消しない場合は、ブレーキの寿命ですので、交換が必要です。

ローラー式のドラムブレーキ場合は、ドラムを覆う金属のケースに、ゴムで蓋をされた注油口があります。

ローラー式のドラムブレーキの場合、この注油口から専用のグリスを適量注入することで、音鳴りは解決します。

ここで重要な点は、必ず専用グリスを使用することです。

なぜなら、専用のグリスでなければ、ブレーキから発生する熱に耐えられないからです。

専用のグリスは、インターネットの通販などで1000円前後で購入できます。

しかし、ブレーキの識別に自信がなかったり、専用グリスの購入や注入作業に不安を感じるならば、自転車店に持ち込むことをおすすめします。

バンド式ドラムブレーキのブレーキ音の解消は難しい

この章では、問題のバンド式ドラムブレーキについてです。

バンド式ドラムブレーキは、1万円前後で販売されている安価な自転車に多く採用されています。

バンド式ドラムブレーキは、構造が簡易で低価格である反面、雨天に弱く、ブレーキ音が発生しやすいという欠点を持っています。

しかし、ローラー式のように、「注油口からグリスを注入すれば音鳴りが解決する」とはなりません。

このバンド式ドラムブレーキの音鳴りの原因は、ドラムの磨耗に原因があります。

どのようなブレーキでも、ブレーキシューなどが接する金属面は、少しずつ磨耗します。

それは、バンド式ドラムブレーキでも例外ではなく、それによりゴムバンドに磨耗によって出た金属粉が付着します。

そして、その金属粉により、ゴムバンドとドラムの摩擦が「高まった」ことで、ブレーキバンドが激しく振動した結果、けたたましい音鳴りが発生します。

つまり、音鳴りはブレーキの摩擦力が「高まった」結果として起こる現象であり、ブレーキの制動力にマイナスの影響はありません。

以上を踏まえたうえで、バンド式ドラムブレーキの音鳴りを解決するなら、ブレーキ本体を交換するか、ブロワーなどでバンド面の金属粉を除去するしか方法が対象となるでしょう。

自転車を適切に管理してブレーキ音の発生を予防しよう!

ここまで、自転車のブレーキ音を解決する方法についてお話ししました。

ですが、結局は予防原則の考えにのっとり、ブレーキ音が発生しにくいものを選び、それを適切に管理するのが一番効果的です。

そのためには、自転車を購入する際には後輪のブレーキに注目しましょう。

まず、ブレーキ音の予防として効果が高いのは、ブレーキ音が発生しても注油することで解消できる、ローラー式ドラムブレーキ付き自転車を選ぶことです。

また、自転車を雨ざらしにしないことも、ブレーキ音の発生を抑制するうえで大いに効果があります。

自転車を軒下などの雨に打たれない場所に保管し、それが難しい場合は、自転車の保護カバーを購入しましょう。

なお、ブレーキの構造の観点から言えば、雨天時に自転車を使用するのはおすすめできません。

雨天時に自転車を使用せざるを得ない場合は、水たまりや泥などを避け、走行後にはしっかり水分を飛ばしましょう。

いずれにせよ、ブレーキの音鳴りが発生してから対策を講じるより、音鳴りを発生させないようにする方が、効果対費用の面でも作業の面でも確実です。

メンテナンスが終了したら動作チェックを念入りに行う!

今回は、シティサイクルのブレーキ音の解消方法についてお話ししました。

ブレーキのメンテナンスは、簡単であるため、つい気軽に考えてしまいます。

しかし、ブレーキは自転車の安全をつかさどる非常に重要なパーツです。

自分でメンテナンスを行った後には必ず、ブレーキが正常に動作するかチェックを行いましょう。