自転車のスプロケットを交換するとどんな効果がある?

スプロケットは、自転車の後輪に装着されているギアの歯車のことです。

多段化されている自転車では、何枚かのスプロケットが重なりあって取り付けられており、その枚数がギアの数ということになります。

特にスポーツ自転車では8~11段変速になりますので、かなり重要な役割を担っていると言えるでしょう。

最近、このスプロケットを交換したいという話を良く聞きますので、今回はその効果や交換方法についてお話していきます。

「スプロケット」とは?

スポーツ自転車では、ギアの段数の表現をリア○○速としますが、○○に入る数字が装着されているスプロケットの枚数です。

スプロケットは後輪のハブに装着されていて、その姿がカセットテープに似ていることから「カセットスプロケット」と呼ばれます。

スプロケットは後ろ側のギアの歯車で、前側のギアはクランクの先に付いている「チェーンリング」になります。

スプロケットは歯車が大きくなるほど軽いギアになりますが、チェーンリングは反対に大きな歯車が重いギアになります。

チェーンリングとスプロケットにはチェーンが掛かっており、歯車の組み合わせで後輪に掛かる力が変わります。

この歯車の組み合わせを「ギア比」と呼び、クランクを一周させたときに後輪が何回転するかを表す数字になります。

回転数が多くなればひと漕ぎで進む距離が長くなるので、スピードが上がるという仕組みです。

そのため、スプロケットやチェーンリングの枚数はこのギア比に関係してくるものであり、枚数を増やす交換をするとギア比がアップする効果があります。

スプロケットを交換する意味や効果を考える

スポーツ自転車は前側のギアであるチェーンリングは1~3枚、後側のギアであるスプロケットには7~11枚の歯車が装着されています。

今回はスプロケットがテーマになりますので、後側(リア)のギアの話を中心に進めていきます。

先述通りスプロケットは大きい歯車が軽いギアで、小さな歯車が重いギアです。

スプロケットを説明している際の数字の見方ですが、「リア11速/11-25T」という表記があったとします。

これは11枚のスプロケットが装着されていて、最も重い方のギアの歯数が11個、最も軽いギアの歯数が25個という意味です。

いわゆる、11~25の歯数の間に11枚のスプロケットがあるということです。

そのため、スプロケットの交換は、枚数を変えてギア数を変更するか、歯数の構成を変えてギア比を変化させるという話になります。

交換することで得られる効果については、後述します。

ロードバイクを例に挙げると、完成車はほぼリア8速~11速になります。

初心者向けのエントリーモデルは8速や9速のことが多く、グレードが上がるに連れて10速、11速になっていきます。

歯数は重い方のギアは大抵が11Tか12Tですが、軽い方のギアは結構幅があります。

ロードバイクでは25、28T辺りが平均的ですが、30を超えるようなものも少なくありません。

また、MTBにもなると40を超えるような軽いギアもあります。

スプロケット交換は変速段数を増やす効果がある

それでは、スプロケットを交換することで得られる効果についてお話していきます。

まずは、変速段数を増やすカスタマイズの際に、スプロケットの交換をします。

例えば最軽が11T、最重が28Tのスプロケットでも、8速と11速では歯数の構成が変わって来ます。

例えば11速は、「11,12,13,15,17,18,19,21,23,25,28」という構成になります。(目安です)

一方8速は「11,12,13,15,19,23,25,28」というイメージです。

変速段数を増やすということはそれだけ使えるギアが増えるということで、上記の例で11速は歯数間の差が最大で3です。

また、15~21Tの中間のギアが多くなっているのも、使い勝手が良いです。

極端なギアは保険の意味でもないと困るのですが、通常時は真ん中付近のギアが良く使われます。

そのため、11速は良く使われる中間のギアが充実しているので、細かいスピードコントロールが可能になります。

一方、8速は歯数間の差が最大4ありますし、中間のギアから差が大きくなってくるので、「ガクンガクン」という変速のイメージです。

なお、スプロケットの枚数を増やす際は、ホイールのハブに何枚歯車を装着できるかを確認する必要があります。

現在市販されているホイールは「全て」最大11枚のスプロケットが装着できるものですが、以前は10枚(10速)までしか装着出来ないものが主流でした。

そのため、まだそういったホイールが残っていますので、必ず確認してください。

スプロケットの交換はスピードと軽さアップに効果あり

スプロケットは自転車のスピードアップ効果と、ペダルを漕ぐ軽さを求める際にも交換を考えることになります。

これはギア比の問題なのでチェーンリングも関係してきますが、まずはスプロケットの歯数構成を見直します。

現在のスプロケが11-25Tだとすると、これは重い方のギアが充実していることになります。
重いギアはペダルを漕ぐと大きな力が車輪に加わり、より多く回転するのでスピードは上がります。

しかし、強い力が必要なので、坂の上りなどではかなりキツいです。

そうなると、スピードは少し犠牲にしても、もう少し楽に漕げる軽いギアが欲しいということになります。

これは個人の脚力によっても違ってきますが、市販の完成車には32Tや34Tのような軽いギアが付属していることもあります。

また、反対にそこまで軽いギアの必要性を感じない場合は、中間のギアが充実する11-25Tや12-25Tに交換すると満足するはずです。

スプロケットの交換はギア比を変えるという意味でもある

スプロケットの交換で歯数構成を変えるのは、ギア比を変化させ、スピードのアップダウン効果があります。

そこで、ここではギア比についてお話しておきます。

ギア比は先述しましたが、前後ギアの歯車の組み合わせで、クランクを一周回したときに車輪が何回転するかを示す数値です。

前側のギアであるチェーンリングは、ロードバイクでは2枚=2速が一般的で、歯数構成は「50-34T」か「53-36T」が多くなります。

ギア比は(チェーンリングの歯数)÷(スプロケットの歯数)で計算されます。

仮にチェーンリングが50-34T、スプロケットが11-28Tだったとすると、ギア比は以下のようになります。

最軽ギア比:(チェーンリング最軽34)÷(スプロケット最軽28)=1.21

最重ギア比:(チェーンリング最重50)÷(スプロケット最重11)=4.54

最大で約3回転以上の差があるということですから、ギア比がいかに自転車のスピードに大きく関わってくるのかが分かると思います。

チェーンリングは2枚ですから、あまり変化は付けられませんので、やはりギア比のカギはスプロケットが握っていると言えるでしょう。

スプロケット交換時には「ディレイラー」にも注意する

スプロケットの交換は自転車の変速に大きな効果があるわけですが、交換時の注意点をもうひとつお話しておきます。

変速はハンドルに付いているシフターから命令が伝わると、ワイヤーが「ディレイラー」という変速機を動かします。

そのディレイラーがチェーンを保持したまま歯車間を行き来して、チェーンを掛け替えるのが変速の仕組みです。

ディレイラーは可動域が決まっているので、スプロケットの歯車の大きさによっては適合出来ないものが出てきます。

そのため、スプロケットの交換時には、ディレイラーも確認することが必要です。

特に現在軽い方のギアが28T以下で、これを30T以上にする場合は要注意です。

大まかですが、30T以上のスプロケットを使用する場合には、可動域が大きいSG(ロングケージ)のディレイラーが必要になります。

しかし、28T以下のスプロケットに組み合わされているのは、可動域の小さいSS(ショートゲージ)のディレイラーです。

そのため、交換が必要になるのですが、これはメーカーによっても違いますので、その都度確認をしてください。

スプロケットの交換はスピードに大きな影響が出る!

今回は自転車のギアである、スプロケットの交換についてお話しました。

交換することで得られる主な効果は、重い方にも軽い方にも両方使えるギア比が増えることと、細かいスピードの変化がつけられるようになることです。

特にスピードの変化は顕著なので、今回紹介した注意点も考慮していただき、スプロケットを見直してみてはいかがでしょうか?