自転車のスリックタイヤは雨に弱いと言われるが本当か?

自転車のスリックタイヤは、溝が刻まれていない表面がツルツルした感じのタイヤです。
ロードバイクに、よく採用されていますが、見た目からすれば雨の日などは、いかにも滑りそうです。

しかし、本当にそうでしょうか?
スリックタイヤ=滑りやすいのでしょうか?

興味深いテーマだと思いますので、検証してみたいと思います。

自転車のスリックタイヤが雨に弱いはウソなのか?

まず、スリックタイヤが滑ると言われて最初に考えるのは、タイヤに溝がないからということになりますよね。

自転車のタイヤに切られている溝はトレッドパターンと言って、制動力や撥水効果があるとされています。

スリックタイヤというのは、このトレッドパターンがないものです。

しかし、自転車において、この溝は撥水性に関しては、意味がないと言われています。
自転車はタイヤが細いので、水はけ用の溝がなくても十分に撥水されます。

しかもハイドロプレーニング現象も、タイヤの細さと出せる速度を考えれば自転車では、ほぼ起こらないので、まず撥水効果のために切ってある溝ではないと言えるのです。

これだけでも、スリックタイヤが雨の日に弱いという説には、疑問が生じるわけです。

また、制動力についてもタイヤの表面に溝があれば、それだけタイヤと地面の接地面積が少なくなるので、グリップ力が低下して制動力も低くなると考えられます。

そう考えれば、むしろ溝のないスリックタイヤの方が、制動性では有利と言えるのかもしれません。

MTBのようにオフロードを走ることが前提なら、ブロックタイヤを地面にめり込ませてグリップしますから、溝の意味はあります。

そのため、オンロードを走ることを想定されている自転車のタイヤに溝が切ってあるのは、デザイン性の問題、あるいは見た目に溝があることで、「いかにも滑りませんよ」をアピールするためのものであるという説が有力です。

スリックタイヤだから雨に弱いわけではない

また、スリックタイヤは主にロードバイクに装着されるため、細いタイヤは滑りやすい=スリックタイヤが滑りやすいというイメージが出来上がってしまっているとも考えられます。

確かに全く同じ材質で、全く同じ乗り方をすれば、グリップ力が強いぶん、太いタイヤの方が滑りにくくはなります。

しかし、細い・太いの次元で話をするなら、ロードバイクの主流の太さは25C(25mm相当)。
一方、ママチャリなどに使われる太めのタイヤが1.5インチだとして38.1mmです。

その差約13mm、わずか1.3cmの差で滑りやすさに圧倒的な差が出るわけがないのです。

まして、名の知れた自転車メーカーのロードバイクのタイヤであれば、ゴムの性質が比較的滑りずらくなっています。

1万円程度の安価なママチャリなどでは、比較にならないほど、グリップ力が強く滑りにくいものです。

そのため、雨に濡れた地面でタイヤが滑るのは溝のせいではないですし、太さによる影響も少ないと言えるのです。

自転車のスリックタイヤの敵は砂

そもそも路面が雨で濡れていれば、ドライなコンディションより滑りやすくなるのは当たり前のことです。

また、スリックタイヤで気を付けたいのは、水分よりもむしろ砂やホコリという意見があります。

自転車は原則車道の左端を走りますが、一般的な道路は水はけを考慮されて、端が低くなっています。

そうなると、水分はもちろんのこと、砂やホコリまでも端に溜まります。

この砂やホコリが溝のないスリックタイヤには厄介で、溝があれば掻き出してくれるのですが、溝がないので滑りやすくなるというわけです。

ですから、もし普段から走っていて地面に砂やホコリが多いなと感じていれば、溝が切ってあるタイヤを考えるのも意味があるかもしれません。

また、溝は減ってくればタイヤ交換の目安になるので、溝にデザインと別の意味があるとすれば、この辺りでしょう。

いずれにしても、雨の日には色々なことに気を配って自転車に乗ることが大切です。

雨の日じゃなくても自転車が危ない状況はある

スリックタイヤが細いという前提で話をするならば、排水溝などの鉄格子のフタに、はまってしまう可能性はあります。

そういったものは、道路のど真ん中ではなく端にあるものですから、自転車が通るべき場所にあると考えられます。

特にロードバイクの23Cなどの細めのタイヤですと、はまって転倒した例は、いくつか聞いたことがあります。

また、工事現場などに引いてある鉄板やマンホールの上は、雨で濡れると滑りやすくなります。

そういった部分は乾いていたとしても、アスファルトに比べれば滑りやすいです。

自転車ではなく、歩いたとしてもマンホールなどの上は滑りますから、気を付けるのは当たり前と言えます。
ですが、自転車は速度が出ているぶん、とっさの回避が難しいので、余計に注意したいということです。

このように、路面が濡れていなかったとしても滑る状況はいくらでもあるので、スリックタイヤに限って雨の日に弱いという考えは、ますますナンセンスだと思えるわけです。

滑りにくいコンパウンドのスリックタイヤ

さて、ここまでの話を簡単にまとめてみます。
自転車のタイヤにある溝はデザインである可能性が高く、特にオンロードを走る場合には、ほとんど意味のないものだということでした。

また、タイヤの太さに関しては、太い方がグリップ力が強いぶん、滑りにくいのは確かです。
しかし、自転車のタイヤのほんの数センチしかない差が、大きな影響を及ぼすことはないと言いました。

さらにタイヤのゴムの性質により、細いタイヤでも滑りにくくすることができることもお伝えしましたが、ここでは、そこをもう少し掘り下げてみたいと思います。

タイヤの性質のことを、タイヤ業界ではコンパウンドと呼びます。

様々な材料を混ぜて作るために、配合によって性質を変えることができたりするそうです。

タイヤメーカーには、雨で路面状況がウエットなときに使用するタイヤの発注もくるわけですから、スリックタイヤに滑りにくいコンパウンドのタイヤがあるのは、当然と言っても良いでしょう。

おすすめのスリックタイヤ

では、おすすめの雨の日のウエットな路面に強いと言われているスリックタイヤをご紹介しましょう。

【Panaracer(パナレーサー):RACE A EVO3 (レースAエボ3)】
参考価格:¥4,600

あらゆる自転車のタイヤを扱っているパナレーサーですが、ロードバイク用タイヤは、用途によってタイプが分かれています。

このタイヤは、転がり抵抗・耐パンク性・乗り心地など、すべてにバランスの取れたオールラウンダータイプです。

ZSGデュアルコンパウンドで強力なグリップ力を実現していて、パナレーサーのMTB用タイヤにも同じコンパウンドが使用されています。

【Continental(コンチネンタル):GRANDPRIX 4000SII タイヤとチューブ2本セット】
参考価格:¥10,000

コンチネンタルの1番人気のタイヤです。

ブラックチリコンパウンドは、ナノカーボン粒子をベースとなっているラバー素材に配合して、高いグリップ力と摩擦抵抗うを実現しています。

チューブもセットになっているので、お得感があります。

【Michelin(ミシュラン):POWER COMPETITION(パワーコンペティション)2本】
参考価格:¥10,000

世界中のレストランに、星を付けることでも有名なミシュランのスリックタイヤです。

オートバイのMoto GPで培ったレースコンパウンドを投入して、従来品よりも35%グリップ力を向上させたものです。

スリックタイヤは滑りやすくありません

今回は、自転車のスリックタイヤの話をしました。

スリックタイヤ=滑りやすいは間違った認識であったと確認できたのが、大きな収穫だったと思います。

また、トレッドパターンにもあまり意味がないことも分かりましたし、そういったデザインや飾りに惑わされないで、タイヤを選ぶのが大切だと思いました。

あとは当たり前のことですが、雨の日はどんな自転車でも滑りやすいので、注意が必要ということですね。