シマノでは「シマノ製品サイト」というウェブページに、製品同士の互換表を掲載しています。
コンポは複数のグレードがありますし、定期的にモデルチェンジが行われますので、パーツ同士の互換性が分かりにくいことがあります。
特にクランクなどは、多くのパーツとの互換性を注意しなければいけないので、互換表は非常に役に立ちます。
そこで今回は、シマノのロードバイク用クランクの互換表を確認していきます。
ロードバイクのパーツの互換性とは?
まずは、ロードバイクのパーツの互換性についてお話しします。
互換性の意味を辞書で引きますと、「部品やコンポーネントを別のものに置き換えても正常に動作が行える性質」とあります。
この場合のコンポーネントは、自転車のコンポを表しているのではないですが、「構成要素」という意味ですので、コンポと考えて差し支えありません。
これをロードバイクのコンポの互換性として考えますと、コントロールレバーを引いたら変速されるという動作が滞りなく正常に行えれば、そこに関連するパーツの互換性が取れていることになります。
シマノのロードバイク用コンポの互換表はフロント駆動とリア駆動、そしてブレーキに分かれています。
今回はクランクの互換性がテーマですが、クランクはフロント変速に関わります。
自転車のクランクは広い意味で使われており、ママチャリなどはギアもペダルも一体でクランクと呼ばれることもあります。
ロードバイクはペダルを漕ぐ際に回転させる「クランクアーム」と、フロントギアである「チェーンリング」を合わせて、「クランクセット」するのが一般的です。
シマノクランクの互換表確認の際の注意点
それではここから、シマノクランクの互換表を確認していきますが、まずは互換表を見る上での注意点からお話しします。
シマノはリアの変速段数違いの互換性を保証していませんので、互換表もリア変速が同じ機種同士のものしかありません。
そのため、11速なら11速、10速なら10速同士にしか互換性がないという前提になっています。
シマノのロードバイク用コンポのリア11速は、今も昔も「デュラエース」、「アルテグラ」、「105」に限られますので、世代を超えてもまだ分かりやすいです。
しかし、10速以下は現行のコンポに加え、上記の現在11速であるコンポが以前10速以下だった世代のものまで関わってきますので、やや複雑になります。
一例をご紹介しますと、アルテグラの型番「6700」と105の型番「5700」はリア10速時代のコンポであり、現在の10速コンポである「ティアグラ」との互換性も確認していく必要があるということです。
また、シマノのクランクセットには2速と3速があり、互換表も分けて掲載されていますので、注意しなければなりません。
シマノクランクの互換表確認①リア11速コンポ
それでは、シマノクランクの互換表を確認していきましょう。
クランクセットは先ほどお伝えしたように、フロント駆動に含まれています。
フロント駆動はバイク前方から、デュアルコントロールレバー、シフター(互換表上の記号ST、SL)、フロントディレイラー(FD)、クランクセット(FC)、ボトムブラケット(BB)、チェーン(CN)となります。
互換表では、この順番で左から右にたどると互換性が分かるようになっています。
まずはリア11速コンポになりますが、現在の互換表にはデュラエース・「R9100」「R9150(電動式)」「9000」、アルテグラ・「R8000」「R8050(電動式)」「6800」、105・「R7000」「5800」の互換性が掲載されています。
その中で「互換性あり」と断言できるのは、型番の頭に「R」がついているコンポで、これは完全互換なので、コントロールレバーからチェーンまでグレード違いでも問題なしです。
しかし、この型番にRが付く新世代への移行で、クランクセットのチェーリングの間隔が微妙にずれたため、旧世代(型番にRが付かない)のフロントディレイラーとの互換性がなくなりました。
例えばデュラエースで見ますと、互換表ではフロントディレイラーの「FD-9000」から、クランクの「FC-R9100」には互換を表す線が途切れていますので、互換性がないことが分かります。
ただ、リア11速はこのフロントディレイラーとクランクの互換性だけに気を付ければ、あとは新世代と旧世代が混じっても運用は可能です。
シマノクランクの互換表確認②リア10速、9速コンポ
前項に引き続きシマノのクランクを互換表で確認しますが、次はリア10速と9速のコンポです。
まず、リア10速用のコンポは要注意で、シマノの現役10速コンポ「ティアグラ」の最新モデル「4700」は、同じティアグラでありながら、前世代「4600」との互換性すらありません。
もちろんアルテグラ(6700)、105(5700)の10速時代のコンポとも互換性はありませんので、どこか1つのパーツでもティアグラの4700系にしたら、全てを交換しなければなりません。
どうせならモデルチェンジを意識して、最新の状態に交換したいものです。
例えば、「ティアグラはシマノのモデルチェンジの周期からして2019年に行われる可能性が高いから、10速コンポはそこまで待ってからカスタム」というように考えます。
なお、10速からはフロント3速のコンポもありますが、こちらもティアグラの4700系だけは他と互換性を持ちません。
続いてリア9速ですが、互換表には現在の9速コンポ「ソラ」の現世代(R3000)と前世代(3500)のみが掲載されています。
ソラはR3000への移行でフロントディレイラーの仕様が大きく変わりましたので、コントロールレバーとは世代を超えた互換性がなくなりました。
しかし、クランクは互換性が保たれましたので、どちらの世代でも組み合わせることが可能です。
シマノクランクの互換表確認③リア8速コンポ
ここまでシマノのクランクの互換表を確認していますが、最後はリア8速のコンポになります。
リア8速のコンポは互換表に「クラリス」の現世代(R2000)と旧世代(2400)、そして、まだクラリスという名前が付いていなかった時代(2300)の3モデルが掲載されています。
クラリスは現世代にモデルチェンジされた段階で、クランクが上位モデルと同じ2ピースになりました。
それに伴って使用できるBB(ボトムブラケット)も変わりましたので、現世代のクランクと旧世代のBBに互換性がなくなりました。
また、コントロールレバーも現世代より仕様が変更されましたので、現世代のレバーと旧世代(2400、2300両方)のフロントディレイラーには互換性がありません。
ただし、フロントディレイラーとクランクには新旧世代に関わらず互換性があります。
すなわち、8速のフロント駆動はコントロールレバーとディレイラーの世代を合わせさえすれば、クランクは世代を問わず正常に作動することになります。
シマノクランクの互換表では確認できない互換性
この記事ではシマノクランクの他パーツとの互換性を、互換表を基に確認してきましたが、互換表では確認できない互換性もあります。
フロントディレイラーには「キャパシティ」というものがあり、これを超えてしまうと、変速に不具合が出る可能性があります。
フロントディレイラーのキャパシティは、インナーからアウターにチェーンを持ち上げる能力のことであり、ギアの歯数差が大きく、落差が激しくなると無理が生じるので、設けられている数値です。
シマノのフロントディレイラーの最大キャパシティは2速用で「16」、3速用で「20」ですので、ギアのアウターとインナーの差がこれに収まる必要があります。
シマノの一般的なギアの歯数構成は、2速が50×34T、53×39T、3速が50×39×30Tなので、キャパシティの範囲内に収まっています。
しかし、交換をすればその歯数構成が変わる可能性もありますので、その際は最大キャパシティに十分注意してください。
シマノが互換性を保証していない組み合わせは全て自己責任!
シマノの互換表の見方のカギは、リア11速であればグレードと世代を超えた互換性、10速以下は世代間の互換性になります。
一番簡単のなのは世代を揃えることですが、コンポは何かと高額ですからそう簡単な話ではないので、互換性を気にしながら上手くミックスしていくことも重要です。
その際ですが、互換性がない組み合わせで使用して万が一トラブルがあっても、お店やメーカーは一切保証してくれませんので、シマノの互換表に従うのが賢明です。