多段化されているロードバイクには前後にギアの歯車が複数枚あり、チェーンを掛け替えることでギアチェンジを行います。
シマノにはギアの変速段数違いのコンポがありますので、運用する際は互換性なども注意しなければなりません。
そこで今回は、ギアと関連パーツの互換性を確認していきましょう。
ロードバイクのギアの仕組み
今回はロードバイクのギアの互換性のお話しになりますので、まずはギアの仕様や仕組みについてご説明します。
ロードバイクのギアは歯車であり、フロントがクランクに付属している「チェーンリング」、リアがホイールに取り付けられている「カセットスプロケット」になります。
シマノのギアはフロントが2~3速、リアが8~11速ですが、これはフロントにチェーンリングが2~3枚、リアはカセットスプロケットが8~11枚付いているという意味です。
それぞれの歯車は歯数が違い、フロントは歯数が多い方が重いギア、少ない方が軽いギアとなり、リアは反対になります。
ギアチェンジは、この前後の歯車に掛かっているチェーンを、変速機によって掛け替えることによって行うもので、前後の歯車の組み合わせを「ギア比」と言います。
ギア比は「フロントギアの歯数÷リアギアの歯数」で算出され、ギア比が大きいほど車輪に伝わる力が大きくなりますので、回転力が上がります。
そして、交換をする際には、ギアが取り付けられている場所のパーツとの関係や、変速機との互換性が重要になります。
シマノのリアギアとホイールの互換性
それではここから、シマノのロードバイク用ギアの互換性のお話に入りますが、リアギアからお伝えします。
リアギアであるカセットスプロケットはリアホイールに取り付けますので、ホイールとの互換性が最も重要になります。
リアギアはホイール中央にあるハブの「フリーボディ」という場所に取り付けられますが、このフリーボディの幅によって、ギアを何枚取り付けられるかが決まります。
現在市販されているほとんどのホイールは11速対応なので、フリーボディの幅も11枚分のスプロケットが装着できるようになっています。
そのため、11速のギアと対応ホイールであれば何の問題もなく装着することができます。
また、前項でお伝えしたように、シマノのリアギアには11速以外にも8、9、10速用があり、これも11速用のホイールとの互換性があります。
ただし、ギアの厚みが違いますので、そのままですとブカブカでギアが回ってしまい、まともに走れなくなりますので、隙間を埋めるスペーサーが必要になります。
その際ですが、8、9速用のカセットスプロケットは11速よりも1.85mm薄いので、1.85mmのスペーサーを1枚。
そして、10速用は11速よりも2.85mm薄くなりますので、1.85mmと1mmのスペーサーを1枚ずつ噛ませることで装着することができます。
また、稀ですがシマノの【WH-R501】のような、8速・9速・10速用のホイールもまだ市販されています。
こういったホイールはフリーボディの幅が狭く、11速のカセットスプロケットは取り付けられませんので、十分ご注意ください。
シマノのリアギアとチェーンの互換性
前項に引き続きリアギアの互換性についてのお話になりますが、次はチェーンとの関係になります。
チェーンの幅はリアギアの歯車の厚さやカセットスプロケットの間隔に合わせて作られているので、変速段数が少なくなるにつれてチェーンの歯は厚くなっていきます。
シマノでは9速、10速、11速用(MTBには12速用もあり)と、8速以下用が用意されており、それぞれ変速段数に合わせたチェーンを使用する必要があります。
チェーンの幅は微妙な差ですので使用不可能とまでは言い切れませんが、シマノでは変速数違いのギアとチェーンの互換性を保証していません。
また、フロントギアの歯の厚さもチェーンに合わせて作られているため、原則としてコンポはリアの変速段数に全てのパーツを合わせなければならなくなります。
なお、シマノのチェーンは10速用の一部を除き、ロードバイクとMTBの両方で使用できるものになっています。
シマノのリアギアとリアディレイラーの互換性
ギアチェンジは変速機(ディレイラー)が行いますので、ディレイラーとギアの互換性も確認しておかなければなりません。
リアディレイラーには2つの歯車(プーリー)が付いていて、上のプーリーがチェーンをギアに運びます。
そして、リアディレイラーには変速時にチェーンの張りも調整する機能があり、下のプーリーが余ったチェーンを巻き取り、常に張った状態にしてくれます。
巻き取ったチェーンは2つのプーリーの間に収納されるため、ディレイラーの動きが大きくなるほどこの部分の容量を増やす必要があります。
その容量を「キャパシティ」と言い、リアギアの最大歯数によって決まってきます。
シマノのロードバイク用には、2つのプーリー間が短いSS(ショートケージ)と、長めのGS(ロングゲージ)が用意されています。
ディレイラーによって多少のばらつきはありますが、シマノではSSは最大歯数30Tまで、GSは34Tまでが多くなっています。
なお、リアディレイラーにはフロントギアとの関係性もあり、「トータルキャパシティ」も設けられています。
これについては、次項フロントギアのご説明と一緒にさせていただきます。
シマノのフロントギアとフロントディレイラーの互換性
続いては、フロントギアの互換性を確認していきます。
先ほどお話ししました通り、リアギアの段数に合わせることが基本になりますので、リア8速なら8速用のクランク、11速なら11速用にする必要があります。
そして、フロントギアもリア同様ディレイラーとの互換性が重要になります。
フロントギアにもキャパシティがありますがリアとは少し意味が違い、フロントはディレイラーがチェーンを持ち上げる能力になります。
いわゆる、歯数の少ないインナー(内側)から歯数の多いアウター(外側)にチェーンを移動させる際に、ディレイラーがどこまで動けるかということになります。
シマノのロードバイク用フロントディレイラーの最大キャパシティは、2速が「16」、3速が「20」に設定されており、これをギアの最大歯数(アウター)と最少歯数(インナー)の差が超えてしまうと互換性がなくなります。
シマノのフロントギアの歯数構成は、2速は(アウター×インナー)50×34T、52×36T、53×39T、3速は50×39×30Tが一般的なので、フロントディレイラーのキャパシティ内には収まります。
しかし、ギアを交換の際にはこの構成以外にすることも可能ですので、キャパシティを超えない組み合わせを意識してください。
また、前項で触れましたリアディレイラーのトータルキャパシティですが、これはフロントの最大キャパシティとリアの「最大歯数-最少歯数」を足したものになります。
例えば、シマノ「デュラエース」のリアディレイラーのトータルキャパシティは「35」、フロントディレイラ―の最大キャパシティは「16」になります。
そのため、《35-16=19》この「19」がリアギアの「最大歯数-最少歯数」の限度ということになります。
デュラエースのカセットスプロケットは11-30Tが1番差が大きいギアになりますので、ちょうど19のため互換性ありとなります。
シマノ・リア11速コンポの世代間の互換性
シマノのコンポは定期的にモデルチェンジを行いますが、近年は型番の頭にロードバイクを意味する「R」が付き、新世代に突入したと言われています。
その中で互換性が保証されているリア11速コンポですが、新世代のクランクと旧世代のフロントディレイラーに互換性がなくなってしまっています。
これは新世代のクランクのフロントギアの歯車の位置が変わり、アウターとインナーの間隔が広がったためとされています。
その結果旧世代のディレイラーが届かなくなってしまったため、正常な動作が保証できず、互換性がなくなったということです。
ただし、新世代のディレイラーは旧世代のフロントギアを操作できますので、ディレイラーのみの交換は可能です。
新世代に入りシマノのリア11速コンポのフロントディレイラーは、アジャスター機能が内蔵され調整がしやすくなり変速性能も増していますので、おすすめです。
ギアは複数のパーツと連動して成り立っている!
ロードバイクのギアは多くのパーツと連動していますので、パーツ間の互換性が重要になります。
特に前後のギアの変速段数を合わせることが全てのコンポの基本ですので、そこは守るようにしてください。
シマノはコンポのパイオニアだけあり、前後のギア共に多くの歯数構成がありますので、自分に合ったギアが見つけやすいはずです。
その際にもディレイラーとの互換性に注意を払い、キャパシティという概念を忘れないようにしていただきたいと思います。