ロードバイクはごく一部の機種を除き複数のギアを持ちますので、スピードに変化を付けられるのが1つの醍醐味でもあります。
そして、ギアは完成車を購入した場合は最初から装着されているコンポが決まっているため、段数もそれに合わせて決まっています。
あとから増やそうとする場合、大きな費用が掛かります。
そのため、最初からある程度まで決めてしまいたいものなので、今回はシマノのギアを例に挙げ、選び方を考えていきます。
ロードバイクのギアの仕組み
ロードバイクのギアはフロントが2~3速、リアが8~11速が一般的で、シマノもこの構成です。
フロントはクランクに付属する「チェーンリング」、リアは後輪のハブに取り付けられた「スプロケット」がギアの歯車になります。
ロードバイクはチェーンリングとスプロケットに掛かっているチェーンを介し、クランクを回す力を動力に替え、車輪を回転させています。
その車輪に伝わる力をコントロールするのがギアであり、伝わる力を大きくすれば車輪がより回転しますのでスピードが上がり、小さくすれば回転も少なくなりますのでスピードが落ちます。
これが「変速(ギアチェンジ)」の仕組みであり、クランク1回転当たりの車輪の回転数は、前後の歯車の歯数で決まります。
のちほど詳しくお話ししますので、ここでは簡単にご説明しますが、フロントを50の歯が付いたギアに入れ、リアを25の歯の付いたギアに入れたとします。(歯数の単位はT)
車輪の回転数は「フロントギアの歯数÷リアギアの歯数」で算出しますので、この場合は、「50T÷25T=2(回転)」ということになります。
これは「ギア比」と呼ばれるもので、ギア比を参照しやすいように、ギアを販売するメーカーは細かく歯数構成を公開しています。
ロードバイクのリアギアの段数を増やす費用は?(シマノコンポの場合)
冒頭でもお話ししましたが、完成車の場合、ロードバイクに付属するコンポが決まっており、それに合わせて段数は決まります。
それは、変速に関わるパーツは連動しているため、互換性がないと変速が上手くいかないからです。
そして、その互換性のカギを握っているのがリアの変速段数であり、シマノは変速段数が違うパーツの互換性を保証していません。
そのため、仮に最初がリア8速だとしてこれを9速、10速と上げるには、変速に携わるパーツを全部交換する必要があります。
これらのパーツは「コンポ」と呼ばれ、セットで取り扱われることが多いです。
シマノではこのコンポにグレードがあり、価格もピンきりですが、9速なら約5万円、10速なら5.5万円、11速なら最低で7万円です。
これをお店に頼めば交換の工賃なども掛かりますし、自力で行うにしても工具代が掛かりますので、費用はさらに1万~2万円の上乗せとなります。
そのため、最初から決めるのは難しいことではありますが、これも想定して最初からギアの多い完成車を選択しておく手もあります。
シマノコンポのリアギア段数の選び方
先ほどもお伝えしましたが、シマノのロードバイク用コンポのリア変速は、8速~11速まであります。
フロントを2速としてリアが8速であれば2×8=16(個)のギア比、11速は2×11=22(個)のギア比が持てることになります。
そして、8速に比べ11速は6つも多くのギア比を選択できるということになり、細かいスピードコントロールが可能になります。
また、1段のギアチェンジに対してスピードの変化が小さいので、クランクの回転数を維持しやすいのもメリットです。
ギアが重くなればクランクをまわすために大きな力がいりますし、軽くなればスピードを維持するためにクランクを多く回す必要があります。
いずれにしても脚に負担が掛かる走り方であり、ギアによる大きなスピードの変化は効率が悪いのは間違いありません。
そのため、ギアが多いと急激なスピード変化がない分、楽に走ることができ、長距離をこなせるようになります。
それを見越して、ツーリングなどをしてみたいとなれば、最初からギア数の多い機種を選ぶ方が賢明です。
シマノのロードバイク用コンポのリアギア歯数構成
前項ではリアギアの段数についてお話ししましたが、もう1つ重要な要素であるギアの歯数についてお伝えします。
リアが同じ段数のコンポでも、スプロケットの歯数は複数の構成が用意されています。
例えば、シマノのロードバイク用リア11速コンポ「アルテグラ」には、『11-25T・11-28T・11-30T・11-32T・12-25T・14-28T・11-34T』という7種類もの歯数構成があります。
数字の見方は『最少歯数-最大歯数』で、リアは歯数が多くなるほど軽いギアになります。
ご覧いただいて分かるかと思いますが、一番重いギアは差が少ないですが、軽い方が大きな差になってきますので、リアはどこまで軽いギアを持つかがカギになります。
そこで、下記にいくつかのスプロケットの構成を示し、次項で詳しくご説明します。
◆11-25T
[11・12・13・14・15・16・17・19・21・23・25]◆11-28T
[11・12・13・14・15・17・19・21・23・25・28]◆11-34T
[11・13・15・17・19・21・23・25・27・30・34]ロードバイクはリアギアの歯数構成によって走りの質が変わる
前項でお伝えしたシマノ・アルテグラのリアギアですが、同じ11速でも歯数の構成に大きな違いがあることをお分かりいただけるかと思います。
リアギアの歯数構成の理想は、歯数を1つおきにすることですが、それではリアエンドが際限なく広がり、左右のペダル間も離れすぎてしまうので、不具合が多くなります。
そのため、11速に限られた中で構成するのには、どこかに妥協しないと成り立たなくなります。
例えば、11-25Tは11~17までが1つおきで、17~25までが2つおきなので、バランスは取れていますし、ロードバイクの本分である高速域のギア(重い)が充実しているので、脚力がある方には最適です。
しかし、軽いギアは25Tまでですから、フロントギア次第とはいえ、急坂の上りなどでは厳しさを感じることもあるでしょう。
一方11-34Tは、ロードバイクでは軽すぎると言ってもよいギアを持つ反面、高速域のギアが少ないですし、全体的に歯抜けの構成にもなっています。
そのため、細かいスピードコントロールや安定したクランクの回転数は望めませんが、軽いギアをクルクルと思いきり回せますので、短距離の登坂競技であるヒルクライムなどには向きます。
ロードバイクのフロントギア
ロードバイクのフロントギアは2~3速で、シマノではレースモデルである上位グレードは2速のみ、幅広い用途に対応する下位グレードには2速用と3速用があります。
フロントギアは少ないので、細かいスピードのコントロールはリアに任せ、ざっくりと軽いか重いかを決めるのがフロントの役目です。
シマノのフロントギア(クランクセット)は、50×34T、52×36T、53×39Tが主で、アルテグラには46×36Tなどもあります。
なお、フロントはリアとは逆で歯数が多い方が重いギア、少ない方が軽いギアになります。
現在の完成車に多く採用されているのは、「コンパクトクランク」と呼ばれる50×34Tであり、軽いギアが重視される傾向にあります。
ロードバイクがまだレース専門のようなイメージだった時代は、「ノーマルクランク」の53×39Tが一般的でした。
もちろん今でもプロレーサーは使用していますし、平坦路メインのトライアスロンやトラック競技では、54T・55Tなどという重いギアも使用されます。
しかし、ロードバイクの用途が広がり、軽いギアへの需要も増えたことで、一般市場はコンパクトクランクが主流になりました。
また、最近ではその中間に当たる52×36Tの「セミコンパクトクランク」も登場しており、バランス派を中心に人気となっています。
あとはどう選ぶかですが、軽いギア比でペダルをクルクルと回す、ヒルクライムのような乗り方であればコンパクトクランクでしょう。
反対に重いギアを脚に体重を乗せながら力強く踏み込むような、最高速重視の乗り方であればノーマルクランクということなります。
最初のロードバイク選びではギアにも注目しなければならない!
今回は、ロードバイクのギアについてお話ししました。
リアの変速数を後から増やす(変える)のは簡単なことではないですし、費用もそれなりに掛かります。
そのため、将来に思いを馳せ、自分がどんな用途でどんな乗り方をするのかを考えて、最初からギア数をある程度決めてしまった方がよいでしょう。
今回はそこを意識しましたので、ギア選びの参考にしていただければ幸いです。