MTBは元より、最近はロードバイクにも多くなってきたのが油圧ディスクブレーキです。
メンテナンスフリーとも言われるのですが、消耗品であるパッドは定期的に交換が必要になります。
そこで今回はシマノ製の油圧ディスクブレーキを例に挙げ、パッド交換の方法や注意点についてお話ししていきます。
シマノのディスクブレーキは「油圧式」が中心
シマノは以前からディスクブレーキに積極的であり、ロードバイク用コンポの正規グレードでも2016年のデュラエースを皮切りに、これまでアルテグラと105にもディスクブレーキモデルを導入しています。
そして、それらはいずれも油圧ディスクブレーキであり、本格的にディスクブレーキ=油圧という時代になったのだと感じさせます。
機械ディスクブレーキは、従来型のリムブレーキと同じワイヤーで本体を操作しますので、ブレーキの引きが重く、ハンドル周りの取り回しもワイヤーを無理に曲げてしまったりすると、スムーズにいかないことがあります。
また、ワイヤーは引っ張られて伸びが生じますので、定期的に交換が必要になります。
しかし、油圧式はワイヤーはありませんので、レバーと本体の間に抵抗がなくレバーの引きは非常に軽くなります。
また、ワイヤーの伸びなどでブレーキの効きに影響が出ませんし、パッドとローターの間をブレーキが自動で調整してくれますので、メンテナンスが大幅に楽になります。
パッド交換とフルード(ブレーキ液)の交換は必要ですが、あとは簡単な清掃くらいで済みます。
シマノの油圧ディスクブレーキのパッド交換時期
今回はシマノ製の油圧ディスクブレーキのパッド交換のお話になりますが、まず気になるのはその時期ということになるかと思います。
寿命はありますが使用頻度によってまちまちですので、ハッキリとした数値を挙げるのは難しいところです。
しかも、ブレーキパッドは本体のキャリパーに内蔵されており普段は見えませんので、消耗している具合を目視できません。
ではどうするかといいますと、そこがシマノの配慮の素晴らしさで、ブレーキパッドが消耗してすり減ってくると、パッドを押さえてるバネがローターに当たり音がするようになっています。
そのため、明らかに普段と違う音がしてきたらパッド交換の時期と考えて、確認、交換を考えるようにしてください。
ディスクブレーキのパッドはリムブレーキに比べ割高ですし、交換費用も余計に掛かります。
仮に1年に1回交換するとなれば、結構なコストになりますので、これを機に自力で交換することをおすすめします。
シマノ製油圧ディスクブレーキのパッド交換①パッドの素材
それではここから、シマノの油圧ディスクブレーキのパッド交換についてお伝えします。
パッドの素材には樹脂製の「レジン」と、金属を配合してある「メタル」がありますので、どちらに交換するかを考えなくてはなりません。
ローターとの相性もありますので、基本的には交換前と同じ素材が好ましいですが、制動力を強くしたいということであればメタルパッドがよいでしょう。
効き方が直線的で、絶対的な制動力もレジン製より強いので効果はあるはずです。
しかし、直線的な分ローターに対しての攻撃性が高く、摩耗させてしまうというデメリットもあります。
また、ローターも金属ですから、メタルパッドでは共鳴して音が鳴ることがあります。
一方レジン製は、効き方が穏やかなので、スピードコントロールに長けています。
特に油圧式はガツンと直線的に効きがちなので、効き方が穏やかなレジン製の方が扱いやすいという方もいます。
また、ローターへの攻撃性もメタルに比べ低いので、ローターの消耗度は少なくなります。
ただ、樹脂製のため液状のものが染み込む可能性があります。
水や泥であれば乾かすだけで問題ありませんが、油が染みてしまうと滑ってしまい著しく制動力が落ちますので交換になります。
こういった要素を考えて、まずはパッドの素材を決めてください。
シマノ製油圧ディスクブレーキのパッド交換②パッドの外し方
それでは、シマノ製の油圧ディスクブレーキのパッド交換の手順をご説明していきます。
手始めにホイールを外します。
その際、できればスタンドなどを使って宙吊りにしたいところですが、スタンドがない場合は自転車を逆さまにしてください。
ホイールを外したらブレーキ本体からパッドを抜き取るために、固定してあるスナップリングをペンチで引き抜きます。
次に反対側にあるピンを六角レンチで緩めて外し、パッド全体を抜き取ります。
この時ブレーキ内が非常に汚れているはずなので、せっかくの機会ですから清掃をしましょう。
また、パッドを抜き取りますと油圧のピストンが見えますが、パッドが消耗するとローターとの距離を保つために、ピストンが前に押し出されています。
そして、このパッドが抜き取られた状態の時は、絶対にブレーキレバーを握ってはいけません。
パットがない状態でレバーを握るとピストンが前に出過ぎますので、戻らなくなってしまったり、最悪の場合は外れることもあります。
大きなトラブルに繋がりかねませんので、レバーに触れないことを心掛けてください。
シマノ製油圧ディスクブレーキのパッド交換③ピストンを戻す作業
油圧ディスクブレーキのパッド交換でブレーキ内の清掃まで終わりましたら、次はピストンを本体内に押し戻す作業をします。
前項でお話ししたように、ピストンは前に押し出されていますので、このままでは新品の分厚いパッドが隙間に収まりません。
ピストンの間にドライバーの軸を入れ、刃先でピストンを傷つけないように注意しながら、左右にゆっくりと振りながら戻していきます。
力を入れて一気に行いますとピストンが変形してしまうこともありますので、左右交互に優しく徐々に戻していく感じです。
シマノ製は本体の内壁とピストンの断面が水平になる、いわゆるツライチの状態まで持っていけば、新しいパッドを迎え入れる準備万端となります。
また、ピストンの側面もパッドの削れたカスなどが付着して汚れていますので、入念に清掃を行ってください。
シマノ製油圧ディスクブレーキのパッド交換④新しいパッドの装着
前項までお伝えした工程で油圧ディスクブレーキのパッド交換への準備は整いましたので、あとは新しいパッドをセッティングして本体に取り付けます。
まず片方のパッドの上に押さえバネを重ねます。
押さえバネは先ほどもお伝えしたように、消耗を知らせてくれる重要なパーツで、シマノ製では新品のブレーキパッドに同梱されています。
バネを重ねたらもう一枚のパッドを上に重ねて、そのまま指で挟んで持ち、ピストンの間に滑り込ませるようにして装着します。
そして、パッドピンから通していき、反対側からスナップリングで固定をして完了です。
あとはホイールを戻せば作業終了ですが、走り出す前にブレーキレバーを2、3回握って、パッドとローターの当たりを出してください。
これをしないと最初にブレーキを掛けた時にパッドとローターが接触せず、全く効かない状態になりますので、必ず行ってください。
パッド交換は自力で!
今回は、シマノの油圧ディスクブレーキのパッド交換についてお話ししました。
ブレーキパッドの交換はロードバイクに乗っている以上避けられないことですので、覚えておいて損はありません。
慣れてしまえば15~20分程度の時間で行えますし、特殊な工具もいりませんので自力で行うのが賢明です。