トップシェアのシマノコンポでクロスバイクの快適性を高める

クロスバイクに乗っていると、ブレーキの効きが悪いと感じたり、坂の上りで重苦しさを感じたりすることがあるかと思います。

それらは「コンポ」というパーツ群を交換することで、解消できる可能性があります。

そこで今回は、コンポではトップシェアであるシマノ製を例にあげ、クロスバイクのカスタムを考えてみます。

シマノにクロスバイク専用のコンポは確認できない

「コンポ」とは自転車を前に動かすための機構に関わるパーツと、ブレーキの総称のことをいいます。

前に動かすための機構を「ドライブトレイン」といって、具体的なパーツはシフトレバー、クランク、前後のディレイラー(変速機)、前後のギア(チェーンリング、カセットスプロケット)、チェーンなどです。

ロードバイクやMTBには専用のコンポがあり、シマノではグレードを設け、セット一式で完成車に装備されることが多くなります。

しかし、クロスバイクは両者の中間的な位置付けのため自由度が高く、サイズや仕様が合えばどちらのコンポでも使用できます。

そのため、専用のコンポはほとんど見られず、完成車にもロードバイク用やMTB用のものが装備されています。

また、シマノのコンポはグレードが上がるに連れて価格も上がりますので、全体的に抑えめの価格であるクロスバイクの完成車には、下位グレードのコンポが装備されていることが多いです。

また、クロスバイクは走り自体を追求したり堪能するロードバイクやMTBと違い、生活に密着した街乗り車という趣が強いので、走りの質に関わるコンポは必要十分なレベルでよいという考え方もあります。

クロスバイクのコンポはギアの数に違いがある

クロスバイクはロードバイクとMTBの中間的な存在ですが、完全な中間というよりはどちらかに寄る傾向にあります。

そのため、シマノのコンポもミックスされているわけではなく、どちらかのコンポがセットで導入されているイメージです。

両者の大きな違いは、まずはギアの数です。

MTB寄りのクロスバイクはMTBの標準であるフロントが3速、リアが8速、9速の24~27段変速が多くなります。

ロードバイク寄りのクロスバイクはフロントが2速、リアが8~10速の16~20段変速になります。

MTBは山の中や砂利道、そして急坂など、厳しい環境で走ることを想定されていますので、様々なシーンに対応すべくギア数が多くなっています。

特にフロントは、上り用に軽いギアがもう1枚付いていると考えてください。

一方ロードバイクは、舗装された平坦路をスピードを出して走ることが想定されていますので、速度を出すための重いギアが充実している分、フロントから軽いギアを1枚省いています。

これは自分の用途や乗り方で決めることですが、割と過酷な路面状況が想定されるのであれば軽めのギアが多い方が良いのでフロント3速、平坦な舗装路がメインなら2速で十分かと思います。

シマノのロードバイク用コンポをクロスバイクで使用①フラットバー用

クロスバイクにはロードバイク用、MTB用どちらのコンポも使用できますが、ロードバイクのコンポを採用する場合には注意が必要です。

ロードバイクのコンポは基本的にドロップハンドル用ですので、変速とブレーキのレバーが一体となっているデュアルコントロールレバー(STIレバー)を使用します。

しかし、クロスバイクは水平のフラットバーハンドルですので、ドロップハンドル用のコントロールレバーは使用できません。

ところが、クロスバイクへの搭載も多いシマノのロードバイク用コンポ「ティアグラ」「ソラ」「クラリス」には、フラットバーハンドル用のシフターとブレーキレバーが用意されています。

したがって、この3グレードはクロスバイクに、グレード一式をセットで導入することができます。

しかも、ロードバイクは前項でもお伝えした通りほとんどがフロント2速仕様ですが、上記グレードには3速の仕様もありますので、よりクロスバイク換装しやすい状況になっています。

また、フラットバーハンドルはシフターとブレーキレバーは別個ですが、クラリスにはフラットバー用の一体型レバーも用意されています。

シマノのロードバイク用コンポをクロスバイクで使用②互換性

変速はコントロールレバーを引くとディレイラーが動き、チェーンをギアに運ぶという仕組みです。

このようにコンポには連動性があるので、それぞれのパーツの相性=互換性が重要であり、シマノはリアの変速段数の違うコンポの互換性を保証していません。

例えばリア8速がベースのクロスバイクに、部分的に9速や10速のパーツを使用した際、正常に作動するかどうかの保証をしていないということです。

ネットには変速段数を超えたカスタムの成功例の情報も多数ありますし、筆者も経験がありますので不可能とは言い切れません。

しかし、試してみて動かなくても、万が一それが原因で故障したとしても、シマノは保証してくれませんので、全ては自己責任ということになります。

そのため、コンポの交換は基本的にセット一式になると考えた上で、予算を組むのが賢明ということになります。

クロスバイクのブレーキの種類

冒頭でもお話ししましたがコンポにはブレーキも含まれますので、やはり触れておくべきかと思います。

MTBではもう主力になって久しいですが、クロスバイクでもだいぶ「ディスクブレーキ」搭載車が増えつつあります。

シマノはディスクブレーキに積極的であり、以前から本体はもちろん、ホイールもかなり多くラインナップさせています。

従来クロスバイクに多かった「Vブレーキ」はリムブレーキの一種で、ホイールの外周であるリムに制動動作を掛けて回転を止める仕組みです。

舗装された平坦路を走る分には制動力に不足はなく必要十分ですが、オフロードや雨の日などは少し制動力が落ちます。

一方ディスクブレーキは、ホイール中央部に取り付けられたローターに制動を掛ける仕組みです。

自動車にも導入されているくらいのブレーキシステムですので、非常に制動力が強く、天候や路面状況に左右されない点も魅力です。

特に油圧でピストンを動かして制動する「油圧式」がメインとなってきており、リムブレーキと同じワイヤーでアームを動かす「機械式」に比べ、制動力やメンテナンス性に優れています。

クロスバイクにどのブレーキを選ぶか

前項でお伝えしたクロスバイクのブレーキはコストが違いますので、装備される完成車の価格がある程度決まっています。

8万円以上のクロスバイクになりますと油圧式ディスク、6~8万円は機械式ディスク、それ以下がVブレーキというイメージです。

また、特に油圧式のディスクブレーキの場合は、コンポ全体のコストバランスの関係で、シマノ製ではないブレーキが装備されていることも珍しくありません。

そして、どのブレーキを選ぶかですが、平地の街乗りがメインという方はVブレーキでも十分かと思いますが、長距離を走りたい方や山道などにも挑戦したいなら、油圧式ディスクブレーキがおすすめです。

ただし、ディスクブレーキは専用のフレームとホイールが必要のため、Vブレーキ仕様のクロスバイクに後付けすることはできません。

また、機械式から油圧式への交換は可能ですが、かなりの費用を要しますので、油圧式を希望される場合は最初からの方が賢明です。

用途や乗り方に合わせられる自由さがある!

今回は、クロスバイクのコンポについて考えてみました。

自由度が高いのがクロスバイクのメリットであり、ロードバイク用でもMTB用でも使用できるのが強みです。

交換の際は自分の用途や乗り方を考え、パーツの互換性に注意して、効率のよいカスタムを行ってください。