プロも愛用するシマノ・デュラエースとはどんなコンポ?

シマノのデュラエースと言えば、ツール・ド・フランスなどの世界のビッグレースを走るプロも愛用する、コンポのフラッグシップモデルです。

また、クランク1本だけでリア10速以下のセット価格を上回るほどの値段のため、アマチュアライダーにはハードルの高さを感じるものでもあります。

今回は、そんなシマノのデュラエースをご紹介していきます。

シマノ・デュラエースのメインターゲットはプロ!

デュラエースは、冒頭でもお話ししたように、多くのプロレーサーが愛用するコンポです。

これはシマノが「プロレーサーを意識して開発、製造している」と公言しており、レースでの勝利を前提にしていることが大きいかと思います。

そのため、コストを度外視している部分もあり、カーボンやチタンなど他のグレードにはない素材が使用されています。

また、細かい部分まで精巧に作られており、金属のバリのなさや塗装の丁寧さなどにもこだわりが見えます。

一般市場でもフレームメーカーは完成車にデュラエースを搭載していることを売りとし、ステータスシンボル的な扱いをしています。

そして、他のコンポメーカーはシマノのデュラエースの動向に追随しますし、一歩先に出ようともします。

カンパニョーロのリア12速化や、SRAM(スラム)の電動コンポの無線化などがその代表例です。

シマノ内でもまずはデュラエースが先陣を切って革新的な技術やデザインをまとい、それを基礎として、1年ごとに他のグレードのコンポに踏襲されていきます。

シマノ・デュラエースコンポセットの価格

それではここから、シマノ・デュラエースを詳しく確認していきます。

デュラエースには従来型のワイヤーケーブルを使用した機械式変速と、電動式変速の「Di2」があります。

また、それぞれにディスクブレーキモデルがありますので、計4種類の仕様となります。

まずは価格ですが、コンポセット一式で以下の通りとなります。(価格は概算で税抜)

●機械式変速・キャリパーブレーキモデル:22万円

●機械式変速・ディスクブレーキモデル:24万円

●Di2・キャリパーブレーキモデル:35万円

●Di2・ディスクブレーキモデル:40万円

さすがに「生産コスト度外視」と言われるだけあり、ロードバイクが1台買えてしまうような価格が並んでいます。

セカンドグレード「アルテグラ」の2倍以上、サードグレード「105」の約3倍にもなり、シマノでも別格なのが分かります。

先ほども少し触れましたが、クランクだけで約6万円、コンポの中では比較的安価な部類に入るカセットスプロケットでも2万円を超えます。

しかし、他のコンポメーカーのハイエンドモデルと比較するとデュラエースの方が割安ですし、耐久性があるので長期的なコスパは高いと言えます。

デュラエースがハイエンドモデルである象徴の性能

続いてコンポの性能面のお話になりますが、絶賛されているのはフロント変速の正確さ、快適性の部分です。

ロードバイクのフロントギアは基本的には2速であり、アウターとインナーで歯数の差が大きくなっています。

そのため、特にインナーからアウターに変速するためにチェーンを持ち上げる際に、非常に強い力が必要になります。

強い力が掛かりますとギアの歯車が変形してしまうので、チェーンを受け止めきれずタイムロスが生じますし、大きな音がすることもあります。

しかし、デュラエースはアウターリングを中空構造にすることで剛性を高め、チェーンをしっかりと受け止める仕様になっています。

この技術は「ホローグライド」といって、変速がスパッと一発で決まりますし、音も非常に静かです。

ロードバイクは構造上車輪が回っている間しか変速できませんので、走行中に一発で正確に決まるのはこの上ない爽快感があります。

シマノではセカンドグレードのアルテグラにもホローグライドの技術が導入されていますが、ギアに使用されている素材などの違いから、デュラエースの方が上回るという声が多いです。

シマノ・デュラエースは剛性に長けたコンポ!

前項でお伝えしたフロントギアもそうですが、デュラエースはプロ選手の脚力や馬力を考慮して、コンポ全体的に非常に剛性が高くなっています。

まずクランクですが、プロのロードレーサーともなると、レース中にアームを折ってしまうこともあるくらいですから、相当な強度が必要になります。

そのため、当然ながらアームの強化をする必要がありますが、素材を多くしたり太くしてしまうと重量が嵩みますので、1分1秒を争うレースには相応しくないものになります。

そこでシマノは、アーム全体の剛性にそれほど関与しない中心部をくり抜くことで軽量化を図り、他の部分の密度を上げることで、全体の剛性を強化しました。

実際デュラエースのクランクはアームが太いですし、漕いでみると慣れない内はクランクが硬く、違和感を覚えるライダーも多くいます。

しかし、それがパワーロスを抑え、抜群の加速力と巡航性に繋がっています。

また、剛性面ではキャリパーブレーキにも特徴があり、ブレーキの掛け方によっては車輪がロックする可能性もあるほど、強い制動力があります。

これは、より直線的にブレーキアームに力が掛かるような構造と、アーム同志を繋ぐブースターを付け、強いブレーキングでも振動が起こらないように剛性を高めているためでもあります。

デュラエースの電動式コンポ「Di2」の特徴

現在のシマノ・デュラエースを語る上で欠かせないのが、電動式コンポ「Di2」です。

機械式変速は、シフトレバーとディレイラー(変速機)をワイヤーで繫ぎ、ワイヤーを引っ張ったり解放したりすることで変速を行っています。

一方の電動式は、ディレイラーにモーターを内蔵し、シフトレバーからケーブルを通じて送られた電子信号を基に変速を行います。

ワイヤーを動かすのはそれなりの抵抗力を生みますので、変速の際に機械式はシフトレバーを強く押し込む必要があります。

しかし、ワイヤーのないDi2は変速動作に掛かる抵抗が皆無なので、レバースイッチを軽く押すだけで変速が可能です。

そのため、手が届きさえすれば変速できるということで、下ハンを握っている際のフロントギアの操作なども容易になっています。

また、1回の操作で前後のディレイラーが、最適なギア比になるように動いてくれる「シンクロシフト」や、上ハンからの変速が可能になる「サテライトスイッチ」など、Di2にしかない機能もあります。

先述した通り、価格は厳しいものがあるかもしれませんが、走行の質アップは確実なので一考の価値ありです。

デュラエースをピンポイント導入してコストを抑える手もある!

シマノは近年、リアの変速数が同じコンポの互換性を保証する傾向が強くなってきており、特に型番の頭にロードを意味する「R」が付くモデルは完全互換となっています。

そのため、同じアルテグラ(R8000)や105(R7000)をメインコンポとしている完成車であれば、ピンポイントでデュラエースの換装も可能です。

また、アルテグラはデュラエースと同じパッケージで開発、製造されており、使用素材や作りの精巧さでは一歩譲りますが、性能は価格ほどの差ではないと言われています。

そのため、コンポセット一式では20万円を超えてしまうデュラエースをピンポイントで導入し、ベースはアルテグラという組み合わせでコストを抑える方法も十分ありかと思います。

特にDi2はアルテグラにもありますので、デュラエースのセット一式に比べ、半値以下に抑えられる可能性もあります。

別格だからこそ上手く付き合いたい

今回は、シマノのロードバイク用コンポ「デュラエース」をご紹介しました。

シマノの中でも特別な存在であり、別格であることが改めて分かった感じがします。

ただ、いかんせんコストの問題だけは簡単にクリアできることではないので、他グレードと上手く組み合わせながら導入していくのがおすすめです。