ロードバイクのコンポと言えば、日本が世界に誇る自転車パーツメーカー「シマノ」であり、世界でもトップシェアを誇ります。
それに加えホイールもシェアが高く、インプレ情報などでは「世界四大メーカー」の一つとされています。
そんなシマノホイールの中で今回は、ミドルグレードの頂点に位置する「RS700」をご紹介します。
シマノホイールのインプレ評価
シマノは自転車部品の他に釣り具でも世界的に有名であり、東証1部上場の大企業です。
自転車部品の分野では世界最大規模であり、ロードバイクにおいてはコンポやホイールを多くのプロチームが使用するほど、確固たる信頼度があります。
その中でも今回はホイールのお話ですが、まずは全体的な特徴をお伝えします。
シマノのホイールは部分的に特化するのではなく、バランスに秀でているのが特徴であり、インプレ情報ではそれをメリット、デメリット両面で受け取り、意見の食い違いも見られます。
性能的には多くのプロチームが使用することを考えれば申し分なく、コスト面でも完成車に付属している割合から見て優秀であると言えるでしょう。
辛いインプレ評価はデザイン面で、見た目がママチャリのような普通な感じで地味という評価が多めです。
これはホイールに限りませんが、見た目より中身で勝負しています。
正に「質実剛健」といったところです。
また、他メーカーにはあまり見られない、アルミリムの上にカーボンを配置するというラミネート構造のホイールがあり、今回取り上げる「RS700」もその中の1つです。
上記のことから、シマノのホイールは見た目というよりは性能、コスパを重視される方向きと評価されています。
シマノホイールの「RS」とは?
シマノのロードバイク用コンポはグレード分けがされており、「デュラエース」や「アルテグラ」などはインプレ情報でも頻繁に登場しますので、グレード名も認知度が高いかと思います。
一方ホイールですが、こちらもグレード分けはされており、コンポに準ずる形にはなっています。
しかし、現在製品に名があるのは最上位モデルのデュラエースのみです。
その他の製品は、アルテグラ「相当」、105「相当」のグレードと位置付けられ、グループ名の記載はありません。
シマノのロードバイク用コンポには2016年より頭文字にロードバイクを表す「R」のイニシャルが入っており、その下に型番を表示する様式になっています。
また、グレードとグレードの間に位置するコスト調整用や、補助、補修目的など、グレードに属さないパーツには「RS」の冠が付きます。
ホイールは上記のようにコンポに準じているのはデュラエースだけですので、その他のホイールの冠は必然的にRSとなります。
だからと言って、RS700のように上位グレードと同じ技術が多く投入されている上質な機種もあるので、全てのホイールがコスト調整や補助的な位置付けではないのが難しいところです。
シマノ・RS700のスペック
それではここから、シマノのロードバイク用ホイール、「RS700」について詳しくお話ししていきます。
RS700はコンポのアルテグラがR8000系にモデルチェンジした2017年に同時にリリースされており、アルテグラグレードに相当すると考えられています。
上のグレードにはデュラエースしかないという状況はコンポと同じなので、その考え方でよいかと思いますが、アマチュア向けと公言していますので、ミドルグレードと位置付けられています。
まずはスペックをご紹介しますが、公表されていない部分もありますので、インプレ情報などを参考にした実測値も含まれることをご了承ください。
【WH-RS700-C30】
参考価格:¥90,163(税込)
重量:1568g(前後計)
リム素材:アルミ/カーボンラミネート
リムハイト:前・24mm 後・28mm
リム幅:20.8mm
スポーク本数:前・16本 後・21本
製品名にある「C30」はリムハイトを表していますが、上記のように前後違う高さなので、アバウトですが約30mmという意味のようです。
シマノはその他のホイールでも、35mmをC40、50mmをC60としている物がありますので、ご注意ください。
シマノ・RS700のスペックに対するインプレ評価
ここでは、前項でお伝えしたスペックに沿ってお話を進めていきます。
まず価格ですが、カーボンラミネートリムということで、他のミドルグレードよりも少し高めではあります。
しかし、このリムは上位のデュラエースグレードの技術を受け継いでいますので、それを考慮すればコスパは高いと判断できます。
次に重量ですが、構造上重くならざるを得ないチューブレスリムなので、そこまで優位性はなく、他メーカーのアルミオンリーのリムでもこれより軽いものはいくらでもあります。
しかし、シマノはハブの性能に優れており、回転力にも秀でているため、走りの軽さは引けを取りません。
実際に何より軽量が有利とされるヒルクライムにおすすめ、というインプレ評価も多数あります。
また、RS700はレーシングモデルなので、レースに最適化するような仕様にもなっています。
前後で高さの違うリムになっているのは、横からの空気抵抗を受けやすい前輪は扱いやすさも加味して低くする一方、空気抵抗を受けにくい後輪は高くして、高速走行時のエアロ効果を高めるためです。
そして、次項で詳しくご説明しますが、後輪のスポークの組み方が力の伝達力を高める仕様になっているので、加速力や高速巡航に長けています。
RS700がカーボンラミネートリムである意味
シマノ・RS700の大きな特徴は先ほど少し触れた、カーボンラミネートのアルミリムと、「オプトバルスポークシステム」です。
まずはリムのお話ですが、アルミは金属なので伝導率が高く、何でもストレートに伝えてしまいます。
ペダルを漕ぐ力をストレートにホイールに伝えてくれるのはメリットですが、地面からの振動や衝撃も積極的に拾い、フレームやホイールに伝えてしまうのは大きなデメリットです。
そこでロードバイクには、振動を減衰して衝撃を吸収することに長けているカーボンが使用されるわけです。
フルカーボンフレームはもちろん、多くのアルミフレームでフロントフォークがカーボン製になっているのも、衝撃吸収性の高さからです。
それを応用したのがRS700のカーボンラミネートリムであり、アルミオンリーよりはマイルドな乗り心地になりますし、カーボンオンリーよりも力の伝達力が高くなるという優れ物です。
バイクの乗り心地に関してはホイールだけで決まるものではないのですが、快適性が向上しているというインプレ評価は、少なくともこのリムが関係していることは確かでしょう。
シマノ・RS700がレース向きのインプレ評価を受ける理由
前項では、シマノ特有のカーボンラミネートのアルミリムについてお話ししました。
そしてここでは、これもRS700の大きな特徴であるとお伝えしたオプトバルスポークシステムについてお伝えします。
このシステムは、走行時にドライブ側(ギアのある側)のスポークに約2倍の圧力が掛かることを考慮して、そこに反対側の倍のスポークを配しテンションのバランスを正常化するという仕組みです。
また、ドライブ側に多くのスポークが配されることで力の伝導率が上がりますので、加速力や巡航性に長けたレース向きのホイールになります。
シマノではリアのスポーク本数を、2:1の配置にできない従来の20本から21本にしてまで、このホイールのオプトバルにこだわりました。
そこにはコンポのアルテグラがレース仕様であるならば、グレードに相当するRS700もレース用の対応が必要だという考えが垣間見えます。
これはインプレ情報でも伝えられていますが、筆者もこのホイールに試乗させてもらった際に、スピードの伸びを強く感じました。
テストライダーさんの試乗インプレにも「レースの使用も視野に」という文言が見られたように、シマノの意図は十分に伝わっているかと思います。
走りのレベルを上げたいなら選択肢に入れたい!
今回は、シマノのホイール「RS700」を取り上げました。
上位モデルの技術を踏襲したカーボンラミネートリムに、独自のオプトバルシステムを加味し、バランスのよいレーシングモデルに仕上がっています。
一段高いレベルの加速力や巡航性を体感できますので、レース志向が無くても満足できるはずです。