クロモリのMTBはいかが?アンカーXNC7のインプレ評価を確認

今回ご紹介するアンカーの「XNC7」は、クロモリをフレーム素材に使用したMTBです。

スポーツバイク全体に言えることですが、カーボンやアルミに比べクロモリは扱っているメーカーも機種も少なく、かなりレアな存在になっています。

その中でアンカーは昔からクロモリにこだわりを持ち、今でも製造を続けています。

そこで今回は、実際のユーザーさんの使用感や評価などのインプレも参考に、XNC7を確認していきます。

アンカー・XNC7はクロモリフレーム!クロモリってどんな素材?

冒頭でもお伝えしましたが、今回はクロモリフレームのアンカー・XNC7をご紹介しますので、まずはクロモリについて触れておきます。

クロモリは鉄をベースに、クロムやモリブデンといった元素を加えた合金で、鋼の一種になります。

ステンレスなどに比べてクロムの量が少ないので錆びには注意が必要ですが、衝撃に強く頑丈で、耐久性にも非常に優れています。

また、衝撃吸収性に優れ、クッション性があるので、柔らかい乗り心地のフレームを作ることができます。

そして、クロモリ車のインプレ情報に多く見られるフレーズに「バネ感」というものがありますが、これもクロモリの特性である「しなり」が影響しているものです。

ポンポンと弾むような独特な乗り心地のため、好き嫌いがはっきりと出る傾向もあります。

耐久性がある点から、世界各地を転戦するレースに向く素材として注目され、MTBでも1990年代半ばまで主流の素材でした。

ただ、スポーツバイクはレース用の機材という側面が強いので、軽量でなくてはならず、その点では鉄ベースのクロモリがカーボンやアルミに太刀打ちするのは難しく、今ではマイナーな存在になりつつあります。

ブリヂストンの歴史!アンカーのMTBの特徴

XNC7を製造している「アンカー」は世界的タイヤメーカー「ブリヂストン」の系列会社である、ブリヂストンサイクルの競技用ブランドです。

ブリヂストンサイクルは、1964年に自転車競技部を創設しているように、自転車競技との関わりには古い歴史があります。

その競技部に供給するバイクを制作していた部門を、アンカーとしてブランド化したということで、現在も「チーム・ブリヂストンサイクル」がアンカーを使用しています。

ロードバイクを始め、MTB、トラックレーサー、シクロクロスなど、競技全般に渡って製造を行っており、現在は2020年の東京オリンピックに向かって様々なプロジェクトが進行中です。

日本ブランドだけあり日本人向けの製品作りがコンセプトなので、インプレ情報ではサイズ合わせのしやすさが高評価されています。

MTBはカーボンフレームの「XR9」、アルミの「XG6」、そしてクロモリの「XNC7」の3シリーズで展開されています。

フレームはどのシリーズも単一グレードで、完成車は付属パーツでグレード分けがされています。

さらにホイールは、全車650B(27.5インチ)で、これはXC(クロスカントリー)レースがテクニックを要するようになってきている点に着目し、扱いやすさをメインコンセプトとしているためです。

アンカー・XNC7のインプレ評価を高めているのは「ネオコット」

アンカーはXNC7などのクロモリフレームに強いこだわりを持っており、高い技術が施されているからこそ、今も変わらずインプレ情報でも高評価のものが多くなっています。

アンカーは約25年前に、現在も続く「NEO-COT(ネオコット)」という、クロモリフレームの成形技術を確立させています。

今では基本となっている「バルジ成形(ハイドロフォーミング)」や「バテッド」という技術を、いち早く導入したのがアンカーです。

ネオコットは「新形状最適化理論」とも呼ばれるもので、これは自転車のチューブは部分ごとに最適な形にするべきだという考え方です。

ネオコットが開発された当時の自転車用のチューブは丸形断面の一択で、違う形に成型する技術も発達していませんでした。

丸形はチューブ同志の接合部分などに力が集中してしまうので、パワーロスをしやすいという欠点がありました。

そこに目を付けたのがブリヂストンの技術者であり、応力が集中しないチューブの形状にすれば、厚ぼったく重いフレームにならないという発想が出発点でした。

アンカー・XNC7は複雑なチューブの形状もインプレ評価が高い

バテッドは「1本のチューブ内に厚さの違う部分を設ける」という技術で、力が掛かる部分は厚くして強度を出しますが、その他の部分は薄くします。

これによりチューブの軽量化が図れますし、薄くした部分は適度にしなりますので、クロモリ本来のバネ感が活かされ、さらに乗り心地の良いものになります。

また、この結果として単純な丸形ではない、アンカーらしさとも言えるネオコットのチューブ形状も、XNC7のインプレでは高い評価を受けています。

そして、この独特のチューブ形状を生み出すのがバルジ成形という技術で、チューブの中に高圧のオイルで満たし、その油圧で型に押し付けて成形していく方法です。

これにより、六角形やスポーツバイクでは定番のカムテール形状への成形が可能になっています。

また、XNC7は「ネオコット・プロ」というワンランク上の技術が投入されています。

バルジ成形によりチューブの端をラッパ状に膨らませることで、チューブが継手の役目も果たし、接着剤である「ロウ」が最低限で済みます。

これにより接合部の強度が上がりますし、ロウが少ないことで軽量化も図れます。

アンカーXNC7のスペック

それではここで、アンカーXNC7のスペックをご紹介します。

製品はフレームセットと2種類の完成車になります。

フレームは前項までお話ししてきたネオコット・プロの技術を用いて、しなやかで軽い仕上がりになっています。

クロモリは素材自体が強固なため、チューブを細くできるのですが、「さすがネオコット!」と言いたくなるほど、さらに細身でしなやかさが増している印象です。

フロントフォークのストローク量は120㎜、クロスカントリーのレースも山道のトレイル(散策)もこなしますし、機能を止められるリモートロック付きなので、平坦の巡航性も高いです。

完成車はシマノ・XTをメインコンポとする「ELITE」と、SLXをメインとする「EQUIPE」の2機種になります。

共にレースでの使用も可能なグレードであり、操作性に優れた快適度の高いコンポです。

ELITEのホイールが、ロードバイク用も得意としているメーカーのものなので、山でも平坦でもスピードを求める方はELITEを選んでいることが、インプレ情報から見て取れます。

アンカー・XNC7のインプレ情報まとめ

それでは、最後にアンカー・XNC7のインプレ情報をまとめておきます。

見た目の重量感とは裏腹に、進みのよいバイクという評価が目立ちます。

加速力という点では少し物足りないものの、クロモリ特有のタメの利いた走りが巡航性に繋がり、そういった評価になると思われます。

あとは、独特のバネ感やサスペンションのストローク量が多いので、どうしてもフワフワして、コーナリングでは後ろ側がバタ付いてしまうということがあるようです。

ただそれも、「バイクを倒し気味にすれば乗り切れる」という情報もありますので、少しその点を意識するとよいかもしれません。

そして、ストローク量からすると少し重心が高い印象があり、安定感に欠けると思わせるのですが、インプレ情報では真逆で、坂の上りや漕ぎ出しなど低速域でも安定性があるという評価です。

そのため、街乗りに使用している方も目立ち、実用性も高いMTBのようです。

XNC7の優秀さ!MTBに必要な要素は兼ね備えている

今回は、アンカーのMTB「XNC7」をご紹介しました。

クロモリとなると時代遅れ感があり避けられてしまいがちですが、MTBに必要な衝撃吸収性や頑丈さ、耐久性などは全て兼ね備えています。

サスペンションがロックできるので平坦路の走行も問題なく、その分用途も広がるので、ぜひ一考して頂きたいと思います。