ロードバイクの今の主流はカーボンフレーム車ですが、アルミフレームも入門モデルを中心に根強い人気があります。
近年はカーボン並みの自由な成形が可能になってきたこともあり、質の高いフレームも増え、カーボンに引けを取らないものまで開発されています。
アンカーのRS6もそんなアルミフレーム車ですが、カーボンとの違いも気になるところです。
アンカー・RS6はプロも使用するフレームと同じ開発コンセプト
アンカーは、あのブリヂストンが母体である「ブリヂストンサイクル」のスポーツバイクブランドです。
アンカーは、比較的用途をハッキリと打ち出した製品作りをしており、今回の主役「RS」シリーズはレースモデルです。
ハイエンドモデルは日本屈指のサイクリングチームである「チーム・ブリジストンサイクル」の主流バイクであり、日本のトッププロが扱う機体です。
そのコンセプトが息づいているのがRSシリーズであり、それはプロが使用することがないアルミフレームのRS6でも同じことです。
フレームジオメトリ(形状)が、空気抵抗を減らすために深めの前傾姿勢が取れるようになっていますし、反応が良い分、脚に負担が掛かります。
簡単に言うと、スピードのために快適性が少し犠牲になっているということです。
最適な用途は、やはり「レース」というモデルでしょう。
そのため、レースに参加する予定はない、また、スピードはそこそこでも、なるべく身体に疲労を感じる事なく、快適に長い距離を走りたいということになると、また別の選択肢も考えなくてはなりません。
アンカー・RS6はアルミフレーム~カーボンフレームとの価格差は?
お伝えしているアンカーの「RS6」はアルミフレームですが、カーボン全盛時にアルミを選ぶ理由は、価格が大きいかと思います。
アンカーのRSシリーズでは、カーボンのハイエンドモデル「RS9」がフレームセット(フレーム+フロントフォーク)で35万円ですが、アルミのRS6は9.5万円です。
全てがここまで差があるわけではありませんが、距離感はこのくらい離れていると考えてもらってよいです。
ロードバイクに限らず、大きな買い物をする時はあらかじめ予算を決めておくと思いますが、上記の例では価格が同じ予算内で収まるような差ではもちろんありません。
まして、アンカーには20万円以下で購入できるカーボンフレームの完成車はありませんので、もし予算が20万円前後であればアルミ一択になります。
そのため、フレーム素材もロードバイク購入時には最初に考えるべき要素なんですね。
そういった経緯もあるので、次項ではカーボンとアルミの違いについてお話しします。
アンカー・RS6とカーボンフレームRS9の違い
ここではカーボンとアルミフレームの違いについてお話ししますが、価格と同じくらい大きな違いは重量です。
アンカーのRS9とRS6のフレーム重量ですが、カーボンのRS9が1,350g(490サイズ)、アルミのRS6が1,920g(490サイズ)になります。
プロレーサーはわずか10gの軽量化にも気を使うほどですから、500g以上の差は明らかに別物の域です。
ロードバイクは軽さが全てではないですが、軽快さではカーボンが優位になります。
続いては、素材の特性に関する部分の違いです。
カーボンは繊維なので、振動や力の伝わり方が弱くなります。
振動が伝わりにくいということは、地面からの突き上げや段差を超える際の衝撃を感じにくいということなので、滑らかな乗り味になります。
しかし、力の伝わりも弱いので、ペダルを漕いだ力がストレートに動力になりにくく、スピードに乗るまでに時間が掛かるという側面もあります。
一方、金属であるアルミは伝導率が高くなり、地面からの情報は直接的に伝えてきますので、身体に衝撃を感じる乗り味になります。
ただし、ペダルを漕いだ力がストレートに動力になる分、一瞬の加速力やスピードの維持はカーボンよりも長けています。
カーボンフレームは取り扱いに細心の注意が必要
前項ではアンカーのRS9とRS6の重量の比較と、素材の特性の違いがフレームにした時にどう出るかというお話をしました。
そして、もう一つ付け加えておかなければならないのは、取り扱い上の問題です。
カーボンは横からの衝撃に弱いところがあり、傷や亀裂が入ってしまうと、そこから一気に裂けてしまうようなことがあります。
また、少しボルトが緩んだのを締めようとして力を入れ過ぎてしまい、圧に耐えられず破断したケースを筆者は多く知っています。
金属のアルミであれば傷がつくことはあっても亀裂までは入りずらいですし、裂けるということもありませんので、その意味では耐久性はアルミの方が上です。
特にキャリアが浅い内は転倒なども多くなりますし、障害物に接触してしまうこともありますので、カーボンは扱いに気を使う部分があります。
アルミフレームが入門編的な「エントリーモデル」に多いのは、価格もそうですが、こういったリスク面も考えられてのことです。
わざわざ手荒に扱うわけではないですが、バイクに慣れるまでは転倒や接触を恐れず、ガンガン乗って身体に覚え込ませたいものですから、扱いに気を使わなくてよいというのは大切な要素の一つです。
用途によって最適なフレーム素材がある
アンカーのRSシリーズには、カーボンとアルミ両方のフレームがあるので、ここまで両者の違いについてお話ししてきました。
ここからは、どちらを選んだらよいかというお話になります。
なお、先述通りRS9とRS6は価格が段違いなので、ここでは価格のことは一旦切り離して、用途や目的の面からどちらが最適なのかを考えてみます。
まず、レースですが、参戦するレースの種類によって変わってきます。
100㎞、200㎞を走るロングライドのレースでは、身体に疲労を蓄積しにくいカーボンの方が向いています。
一方、もう少し短い距離のタイムトライアルやヒルクライムであれば、加速力に長けたアルミも十分に戦えます。
ただし、コースが上り坂であるヒルクライムは、重力に逆らって進むため、軽量であることが有利に働きます。
もし、より高いレベルで戦うことを考えるのであれば、カーボンがよいでしょう。
次にレース以外の用途についてですが、上記のように100㎞以上のロングライドにはカーボンが向きますので、ツーリングなどを考えている方はカーボン車がよいでしょう。
一方でアルミは反応がよいので、信号待ちなどでストップ&ゴーが頻繁に起こる通勤などの街乗りに向いています。
街乗りではトラブルも考えられますので、耐久性の高いアルミはその点でも有利になります。
アンカー・RS6のスペック
それでは最後にアンカーのRS6について詳細をまとめておきますので、選択の際の参考にしてください。
製品はフレームセットと完成車3機種の合計4パッケージ、完成車のフレームは全て同じもので、カーボン製のフォークが組み合わされています。
完成車のスペックは以下の通りです。
【RS6 EQUIPE】
参考価格:¥199,800(税込)
リア11速、シマノ・105をメインコンポにしたハイエンドモデル。
【RS6 SPORT】
参考価格:¥172,800(税込)
リア10速、シマノ・ティアグラ搭載モデル。
【RS6 EX】
参考価格:¥140,400(税込)
リア9速、シマノ・ソラ搭載モデル。
105ならすぐにでもレースに参戦して勝利も目指せるコンポですので、レース志向が強い方は「EQUIPE」がおすすめです。
SPORTSに関しては、筆者個人的には選ぶ理由が少ないと考えています。
105とティアグラにはかなり性能面に差がありますが、ソラとティアグラにはそれほどの差は感じられません。
そのため、もう少し奮発してEQUIPEにするか、EXにしておいて差額を好きな部分のカスタムに充てるという考え方もできます。
価格以外の面も考えてみる
今回はアンカーのRS6を参考に、アルミフレームとカーボンフレームの違いについてお話ししました。
価格の差が歴然なので予算の関係もありますが、用途や目的の面から考えてみるとより満足度の高い選択になるかと思います。
今回の記事がその選択の参考になれば幸いです。