今回ご紹介する「アンカー・RL8」は、レース志向が薄い、ラフな服装で乗りたい、また通勤などの普段使いもしたい、そんな方に向くロードバイクかと思います。
ロードバイクはロードレースの機材であり、市場モデルもそこから派生していくのでどうしてもレース色が濃くなります。
しかし、今はロードバイクの用途や楽しみ方が多様化されて、インプレ情報では上記のような志向の方も多く見られます。
アンカー・RL8が目指す方向
アンカーは日本が世界に誇るタイヤメーカー、「ブリヂストン」の自転車部門が独立して設立された「ブリヂストンサイクル」の競技用ブランドです。
2020年の東京オリンピックに向け、様々な活動や国内専念の体制を整えている、「チーム・ブリヂストンサイクル」の機材を製造しています。
ブリヂストン本社の研究施設との共同で「プロフォーマット」という解析技術を開発しており、自転車が前に進む力=推進力を最大限にする技術を様々な車種に投入しています。
上記のような要素だけを考えると、俗に「レース屋」などとも呼ばれる世界のトップメーカーと変わらず、レース優先のブランドというイメージが強くなります。
しかし、今回ご紹介する「RL8」はロングライド向けの「RL」シリーズの一台であり、ホームページにも記載されている製品コンセプトには、「レース」という文字はひと言も出てきません。
「200㎞超えのイベントを走っても疲れにくい」を開発のイメージとしており、インプレ情報でも長距離適正を感じさせるものが多いです。
アンカーのレースモデル「RS」の特徴
ロードバイクを選ぶ際に考えるポイントはインプレ情報でも多く指摘されていますが、大まかならレースに出るか否かで分けられます。
アンカーにもレースモデルの「RS」と、ロングライドモデルの「RL」があり、フレームの形状に違いがあります。
RSシリーズは、サドルを真ん中として、前側を大きく後ろ側は小さくという、レースモデルの基本形になっています。
前側部分を大きくするとハンドルとサドルの距離が離れる分、前傾姿勢が深くなり、身体に風が当たる面積が小さくなるので、空気抵抗が減りスピードが出ます。
また、後ろ側を小さくするのは、ペダル(クランク)から後輪までの距離を短くして、ペダルを踏む力がよりストレートに車輪に伝わりやすくするためです。
ただし、レースモデルは全長が短くなるので少し安定性を欠くところがあり、低速では安定を保てずふらついてしまったりします。
また、フレームの前部分が大きいとハンドルを前に出せないので、少しの段差や小石にまで反応して、ハンドリングが神経質になってしまいます。
しかし、これでは乗り手や用途が限られてしまうので、近年はアンカー・RL8のような「ロングライド」や「エンデュランス」などと呼ばれる、長距離志向のロードバイクも増えているのです。
グレード別にターゲットを明確にする傾向がインプレ情報にも強く出ている
最近はレースモデルのロードバイクでも、上位グレードはプロ仕様のピュアなロードレーサー、ミドルグレード以下はホビーライダー向けと、棲み分けをはっきりする傾向にあります。
プロショップがテストライダーに試乗してもらい評価をしているインプレ記事でも、その辺りを明確にしているものが増えてきているので、筆者個人的には以前に比べ読みやすくなったと感じています。
話が少しそれましたが、プロ仕様の上位モデルは、軽量のカーボン素材をガチガチに固めて反応力を高め、ロスを減らしていますが、反面当たりが強く硬い乗り心地になります。
アンカーでもレースモデルのハイエンドグレード「RS9」は、チーム・ブリヂストンサイクルの主要バイクであり、全日本選手権を制した機体でもあります。
一方、ミドルグレードからは、多少重量は嵩んでも耐久性や乗り心地のよさにも配慮して、カーボン素材を見直し、繊維のしなやかさも活かすような成形をします。
そのため、地面からの突き上げや、段差を超える際の衝撃を吸収してくれるので、当たりがソフトで柔らかい乗り心地になります。
ロングライドモデルになればさらに傾向は強まり、アンカーのRLシリーズも上位のRL9と、ミドルのRL8はその関係にあります。
アンカー・RL8の特徴を明確にするインプレ情報
前項ではロードバイクが、グレード別に棲み分けをはっきりしてきたことをお伝えしました。
そして、元からレースの想定が入っていないアンカーのRLシリーズのセカンドグレードであるRL8は、究極のホビーライダー向けと言っても過言ではないでしょう。
筆者が印象に残っているのは、あるテストライダーが試乗した際のインプレレポートで、「ホイールを硬めのものにしてもいいかもしれない」と記していたことです。
完成車の標準装備のホイールはシマノ製ですが、リムが柔らかめで衝撃吸収性に長けています。
そのため、本来であればロングライドモデルのRL8には適したホイールであり、「硬くしてもよい」などのインプレを見た方の中には疑問に感じる方もいるのではないか、と思っています。
しかし、RL8はそういったことが言えてしまうくらい、フレームが衝撃吸収性に優れ、当たりが柔らかいやさしい乗り心地ということなんですね、
したがって、快適性を最優先する方に最適なモデルですし、ロードバイクにハードルの高さを感じている方にも乗ってもらいたいです。
ラフな格好でロードバイクに乗りたいというインプレ情報も多い!
アンカー・RL8のお話をしていますが、長距離を快適に走るというコンセプト通り、レーシー感の少ない安定性のあるモデルです。
そのため、冒頭でもお話ししたように、カジュアルな服装で乗りたい、またロードバイクを普段使いしたいという方にもおすすめです。
ロードバイクに乗る際の服装として思い浮かべられるのは、ピチッと肌に密着したサイクルジャージや、レーシングパンツ(レーパン)ではないでしょうか?
もちろん極力空気抵抗を減らすという大原則があるロードバイクでは、ピチッと肌に密着させるのが基本であり、否定するところは一つもないです。
しかし、若干の照れも感じる格好なので、もう少しラフな格好で乗りたいという要望も、インプレ情報などからは感じ取れます。
その点でRL8は、空気を切り裂いて進むようなスピード重視な乗り方にはならないですし、衝撃吸収性が高いのでレーパンを履かなくてもお尻への衝撃は緩和されます。
その意味では、「ロードバイクに乗るぞ!」という強い意気込みもいらないので、気楽に普段使いもできるはずです。
ただし、カジュアルないしラフな服装だとしても、ヘルメットだけは着用する方が賢明です。
ロングライドモデルとは言え、ママチャリとは次元の違うスピードが出ますので、転倒などのトラブル時のリスクマネージメントは当然ながら重要になります。
アンカー・RL8の仕様まとめ~完成車どちらを選ぶ?
それではここで、アンカー・RL8の2019モデルを詳しくご紹介します。
2019モデルは、フレームセットと完成車2機種の合計3パッケージで展開されます。
価格は以下の通りです。
★フレームセット
参考価格:¥194,400(税込)
★完成車
【RL8 ELITE】
参考価格:¥361,800(税込)
シマノ・アルテグラをメインコンポに、ヘッド周りやシートポストに高性能で有名なメーカー製の物を使用している贅沢仕様になっています。
【RL8 EQUIPE】
参考価格:¥275,400(税込)
新シマノ・105【R7000】のフルコンポという、2019モデルの注目株です。
フレームと付属パーツのバランスがよく、コスパの高い一台と言えます。
完成車は以上2機種ですが、選択はコンポをどちらにするかという判断になるかと思います。
両者の違いが一番大きいのは変速に表れており、比較したインプレ評価ではアルテグラの方が1速づつ正確に決まるということです。
筆者は結構長く105を使用していますが、試乗などでアルテグラの搭載車に乗ると、特にフロント変速に関しては105よりも性能の高さを感じます。
ただし、105もモデルチェンジをして変速性能が向上していると聞いていますので、引けを取らない可能性もあります。
そのため、あくまでも筆者の独断になりますが、約9万円の価格差がありますので、EQUIPEにして差額をホイールなどのカスタムに当てるのがよいかと思います。
長く付き合っていきたくなる一台!
今回は、アンカーのロードバイク「RL8」をご紹介しました。
レース志向が薄い方に必見と言える仕様になっており、快適に距離を伸ばしていける一台です。
また、耐久性にも優れているので、長く付き合えるパートナーとして活躍してくれそうです。
気軽に乗れるロードバイクとしてはおすすめの一台です。