メリダは今でこそロードレースでの活躍やデザインの向上によりロードバイクも伸びてきた印象ですが、ほんのひと昔前まではMTBメーカーと見られていました。
今ももちろん世界のビッグレースで活躍していますし、多くのラインナップを揃えてもいます。
その中で、今回お話しする「ビッグナイン100」は、競技や山林の散策というMTBの本分の他にも使用できそうなモデルですので、確認してみましょう。
メリダのMTBの柱「ビッグナイン」「ビッグセブン」
メリダのMTBは、クロスカントリーやマラソンなどの主要競技に使用される「BIG.NINE(ビッグナイン)」 「BIG.SEVEN(ビッグセブン)」が主力の2本柱です。
前側のみにサスペンションがついている「ハードテイル」で、どちらかというとスピード寄りのMTBです。
ビッグナインとビッグセブンの違いはホイール(タイヤ)のサイズで、ビッグナインは29インチ、ビッグセブンは27.5インチになります。
今回の主役はビッグナインですが、29インチはロードバイクやクロスバイクに採用されている「700c」と大きさ(ビード径)がほぼ同じです。
口径が大きく、ひと漕ぎで進む距離が長いので、スピード系のクロスカントリー競技で本領を発揮します。
また、29インチは進みがよいので、クロスバイクが台頭する前は街乗りスポーツバイクの筆頭格でした。
そのため、メリダでもビッグナイン100などのアルミフレーム車には、今でもそのような一面があります。
一方ビッグセブンの27.5インチは、「650B」という規格でも知られています。
MTBが登場した当初の主流であった26インチと、その後台頭してきた29インチの間を取り、スピードと小回り適性を併せ持った今のMTBの主流サイズです。
メリダ・ビッグナイン100は「29er」
今回はメリダのMTB「ビッグナイン100」のお話ですが、29インチのMTBは「29er」という呼称があるくらいMTB乗りにとっては特別な存在です。
MTBを発明した一人とも言われている「ゲイリー・フィッシャー」は、開発当初から29インチのホイールサイズを発案していました。
しかし、需要が無かったこともありスポンサーがつかず、当初は計画倒れに終わります。
ところが、2000年代に入り、クロスカントリーなどのスピード系の競技を中心に29インチが台頭し、ようやくフィッシャーの夢が実現します。
前項でもお伝えしたように走破性が高いことから、街乗り車としても愛用され、市場でも中心の座に就いた時代もありました。
その後バランス性の高い27.5インチの台頭により、今はシェアを減らしつつありますが、メリダはほぼ27.5インチと同数をラインナップさせています。
メリダ・ビッグナイン100のフレーム
それではここから、メリダのMTB「ビッグナイン100」について詳しくお話しします。
参考価格は89,532円(税込)、フレームサイズは37、43、47の3サイズです。
100はビッグナインでは下から2番目のグレードで、フレームはアルミになります。
メリダの高いアルミ成形技術により、立体的でMTBらしいボリューム感のあるフレームに仕上がっています。
フロントフォークはトラベル量(沈み幅)100㎜のサスペンションで、スピード系の競技や山の散策はもちろん、街乗りにも丁度よいバランスです。
しかも、必要のない時に、サスペンションが動かないよう固定ができる「ロックアウト」機能もついています。
また、ハンドル周りの剛性が高く、ハンドリングが安定する仕様のため、ロックアウトを掛けた状態ではスピードの維持が容易になり、長距離走行も可能でしょう。
そして、カーボンフレームに比べると、競技色を薄め、趣味というか遊びの色が濃いので、上体を起こしたより楽な姿勢で乗車できるジオメトリを採用しています。
メリダ・ビッグナイン100の付属パーツ
ここでは、メリダ・ビッグナイン100のパーツスペックを確認します。
まずディスクブレーキですが、今のMTBではよほどの低価格帯でない限り油圧式であり、100も当然ながら油圧式になります。
しかし、この価格ですとブレーキはコストダウンの対象にされがちですが、シマノ製のディスクブレーキを採用していますのでポイントが高いです。
そして、リア(後輪)のブレーキキャリパーをチェーンステーに取りつけることで、日常的に起こり得る障害物との接触を避けられますし、油圧ホースがスムーズに通りますのでトラブルが少なくなります。
また、シートステイに取りつけないので、ブレーキの力に対応する強度を出すためのブリッジ(左右のステイを繋ぐチューブ)がいらなくなります。
このことでシートステイが適度にしなり、リアの衝撃吸収性が増し、乗り心地がさらによくなります。
そして、ブレーキだけでなく、シフター、クランク、ギアなど、ドライブトレインも全てシマノ製で固められているのも心強いです。
メリダ・ビッグナイン100はこう使う!
ここまで、メリダ・ビッグナイン100をご紹介してきましたが、ここからはどんな用途向きかを考えてみましょう。
競技で言えばクロスカントリーになりますが、本格的に参戦するには重量があり過ぎますし、パーツのグレードもそれなりなので、レース目的ならもう少し上のグレードの機種がよいかと思います。
MTBの本来の用途、山や林道に入って散策する「トレイル」は、大口径のホイールで衝撃吸収性が高く、石や木の根っこなどの段差なども気にせず走れるので、全く問題なく行えます。
しかも、29erはスピードの維持に長けていますので、山に入るまでの平坦路でもスピードが楽しめます。
さらに、アップライドな姿勢で視界も開け、サスペンションをロックアウトすれば安定して巡航できるので、長距離走行にも向いています。
そして、それを応用するのであれば、通勤・通学など天候や路面の状況に関係なく、毎日でも乗るという普段使いにも向いていると言えます。
ディスクブレーキは外的要因に左右されない、安定して強い制動力が売りですし、砂利や泥道など悪路も気にせず通れるのは、道を選んでる暇がない朝の忙しい時間帯では、極めて重要なことです。
メリダ・ビッグナイン100と他グレードとの比較
メリダのビッグナインシリーズのアルミフレームは、100の他に「ビッグナイン・リミテッド」と「ビッグナイン・20-MD」があります。
リミテッド(限界)は、製品名通りアルミフレームでは限界とも思える、あらゆる技術を投入し、見た目にも表面加工が丁寧で、とても美しい仕上がりです。
そして、パーツもアルミフレームに組み合わせるものとしては、最高レベルのものばかりです。
ただし、価格が倍以上になりますので、さすがに同じ土俵で比較するものではなく、もう少し予算を多く見積もっている方が対象となります。
では20-MDの方はどうかといいますと、こちらはディスクブレーキが機械式になります。
機械式はディスクブレーキのメリットである、安定した制動力の強さはありますが、ハンドルの取り回しの軽さや、メンテナンス性では油圧式に一歩劣ります。
しかも、20-MDはハンドルの安定性が少し低いので、本格的な山林道ですと挙動が不安定になる可能性も否めません。
そのため、価格が100より約2万円安価ではありますが、筆者はあと2万円奮発して100を購入することをおすすめしたいです。
初心者の方の本命候補!
今回はメリダのMTB、ビッグナイン100をご紹介しました。
本分である山林のトレイルはもちろん、長距離走行や通勤などの普段使いにも対応できる、用途の広いMTBかと思います。
この価格帯で油圧式ディスクブレーキというのもポイントが高いので、10万円以下のMTBでは本命候補と考えてよいでしょう。