ママチャリしか乗ったことのない方が、初めてロードバイクに跨った際にまず驚くのが、サドルについてではないかと思います。
硬くて薄くて、取り付け位置も高く、同じ自転車のものとは思えないかもしれません。
そして、しばらくの間乗っていると、多くの方がお尻の痛みに悩むことになり、果てしないサドル選びの旅が始まることになります。
そこで今回は、その中でも乗り心地に定評のある「ゲル」入りサドルを中心に考えてみます。
ロードバイクのサドルに採用されている「ゲル」とは何?
今回はサドルの乗り心地を考えてみますが、まず冒頭でも触れました「ゲル」とは何かご説明します。
ゲルの定義は、「コロイド溶液(ゾル)が強く粘り気を持ち流動性を失い固体状になったもの」とあります。
何か難しいですが、寒天やゼラチンなどのゼリー状のものや、こんにゃくもゲルの一種です。
サドルの中に入っているゲルは、これらの食品と原料は違いますが、液体が固まってゼリー状になったものと考えてください。
寒天やコンニャクは、歯で簡単にかみ切れるほどの柔らかさですが、弾力があるので歯ごたえはあります。
この性質がゲル入りサドルそのものであり、座面を触ってみると弾力があって、押したら少し跳ね返ってくるくらいの反発力があります。
これが、抜群の衝撃吸収性を生み出すので、ゲル入りのサドルは乗り心地がよくなります。
ロードバイクのサドルは、パッドが薄く硬い印象を受けるものが確かに多いですが、ゲルを入れることでそれを解消することができます。
ロードバイクのサドルはなぜ座面が硬めなの?
ロードバイクのサドルは前項でもお話ししたように、座面が硬いものが多いです。
これには理由があり、ロードバイクがレース機材であることに大きく関係しています。
ロードバイクは、いかにして速く走るかを考えられている自転車なので、ペダルを効率よく力強く漕ぐことに重きが置かれています。
ペダルを効率よく力強く漕ぐには、脚に体重を乗せることが必要であり、そのためにロードバイクは基本が前傾姿勢になっています。
ここで、もしサドルの座面が柔らかいと身体が沈み込んでしまうので、前傾姿勢が取りにくくなります。
また、体重が後ろに掛かってしまう分、体重をペダルに乗せづらくなるので、ますますパワーをロスしてしまいます。
あとは、軽量化を図る上でパッドを薄くしたり、弾力性のない素材を使用することも、硬くなる原因の一つです。
ゲルを内包すればその分、厚みは出ますし重さも加わるので、レースモデルではゲルを採用しているものは少なくなります。
ゲルが入っているのはサドルだけではない!
前項では、「なぜロードバイクのサドルが硬めなのか」をご説明しましたが、レースをしない人にとっては、もう少し柔らかみがあってもいいかと思います。
ただし、前項でもお話ししたように、柔らか過ぎるサドルはメリットが少ないので、弾力のあるゲル入りをおすすめします。
そして、ゲルはサドル以外にも、サドルカバーやパッド入りのレーシングパンツにも使用されています。
サドルは自分に合ったものに出会うことが難しく、例えば、お尻の痛みを解消したくて選んだものが、他の部分に不具合を及ぼすこともあります。
そこで考えられるのがサドルカバーであり、「元のサドルをクッション」で覆うという発想です。
のちほどご紹介しますが、肉厚のゲル入りのカバーは、長時間の走行にはとてもありがたいものです。
また、レーシングパンツも以前と違い、今はあのピチッとした競輪選手用のものだけではなく、カジュアルなものにもパッドが入っているパンツがあります。
これもサドルの硬さを解消できるので、使用をおすすめします。
ここまでの内容からレースを求める方には、ゲル入りのサドルは向かないとも言えますが、乗り心地をよくしたい方にはゲル入りのサドルはおすすめできます。
そこで、次からはゲル入りサドルのおすすめ商品をご紹介していきます。
おすすめのロードバイク用ゲル入りサドル
それではここで、ゲルを内包したおすすめのロードバイク用サドルを紹介します。
【SELLE ITALIA(セライタリア): MAX FLITE GEL FLOW】
参考価格:¥15,120(税込)
セライタリアはレーサーモデルが多いですが、こちらは快適性重視の仕様になっています。
穴が大きいサドルは、エッジがレーシングパンツやズボンに引っ掛かりがちですが、このサドルは開口部付近に厚みの違うゲルを配して、不快感を与えないようにしています。
また、サドルの後部、レールとベースの間にエラストマーを配してありますし、レールがチタン製なので、非常に衝撃吸収性に優れています。
座面幅が146㎜ありますので、坐骨幅の広い方にも対応しますので、お尻の痛みで悩んでいる方は試す価値があるサドルです。
【SELLE SMP(セラSMP):TRK メンズ ゲル サドル 】
参考価格:¥10,584
独特のうねりのある形状で名が通っている、セラSMPのゲル入りサドルです。
こちらのモデルは、座面後方が異様とも思えるほどに盛り上がっており、非常に厚みのあるゲルパッドを使用しています。
また、座面中央から先端まで大胆に穴が開いていますので、股間への圧迫を大幅に軽減してくれる仕様になっています。
さらに、座面の幅が160㎜ありますので、一般的に骨盤が広いとされている女性にも対応するサドルです。
特にソフトな乗り心地が評価されているゲル入りサドル
引き続き、ロードバイク用のゲル入りサドルをご紹介します。
【TIOGA(タイオガ):ACENTIA(アセンシア) パックス オーラ】
参考価格:¥3,546
スパイダーサドルが人気の「タイオガ」の、快適性を重視したコンフォートサドルです。
座面に圧力が掛かると変形して衝撃を分散させるシリコンゲルが内蔵されており、お尻や股間への圧迫を大幅に軽減しています。
そして、レール後端にエラストマースプリングを配して、さらにソフトな乗り心地になっています。
座面幅が220㎜あり、座面中央に穴が開いていることから、少し上体を起こし気味に乗るタイプのバイクに向くサドルです。
【VELO(ベロ):Voam ボアム [Swan O] V-foamシリーズ VL-4290】
参考価格:¥2,808
コンフォートサドルと言えば「ベロ」と言われるほど、ゲルパッド入りのサドルに力を注いでいるメーカーです。
こちらのサドルも厚めのゲルパッドで圧力を分散してくれますし、レールとベースの接続部が柔軟性を引き出す作りになっているので、衝撃吸収性に優れています。
また、ベロの素晴らしいところは、厚めのパッドを使用しているサドルでも、見た目がやぼったく映らないデザインの洗練さです。
このサドルはクロスバイク向けとされているものですが、ロードバイクでも全く違和感は感じないのでおすすめとさせて頂きます。
ゲルをサドルの上に「乗せる」という発想
ここまではゲルパッド入りのサドルをご紹介しましたが、サドルの上からゲルパッドを貼りつけるという、逆の発想のものがあります。
【G-FORM:サドル用ジェルパッド】
参考価格:¥2,495
G-FORMは、アメリカのアスリート用プロテクターの専門メーカーなので、衝撃吸収に関してはエキスパートと言えます。
このジェルパッドは大小2枚づつのセットで、必要に応じて重ね貼りもできますので、自分で厚さの調整が可能です。
何度はがしてもまた貼ることができますので、場所を変えることも可能ですし、サドルを交換しても継続して使用できます。
しかし注意事項もあり、パッドを貼ることでサドルの高さが変わりますので、ポジション出しをしている場合は微調整が必要です。
また、色が黒なので、黒以外のサドルですと見た目に違和感があるかもしれません。
ロードバイクのサドルは自分に合うものに辿り着くのが難しいので、お尻の痛みに悩んでいるようであれば、交換前に試してみる手はあります。
ロードバイクのサドルには弾力が必要!ゲル入りという選択を
今回は、「ロードバイクのサドルにゲルは必要なのか」というテーマでお話ししました。
ロードバイクのサドルには、適度な弾力が有利に働くシーンが多くなります。
ゲルはその適度な弾力がありつつ、衝撃吸収性にも優れているので、ソフトな乗り心地にもしてくれます。
まずは一度、ゲル入りのサドルに跨ってみて、その感触を確かめて頂きたいと思います。