ブルックスと言えば「革サドル」ですが、皆さんのイメージの中に革サドルはメンテナンスや調整が難しいということがあるかと思います。
しかし、確かにメンテナンスフリーというわけにはいきませんが、手順を追えばそこまで難しくはないという声も聞きます。
そこで今回は、ブルックスのサドルの調整やメンテナンスについてお話しします。
ブルックスの革サドルはメンテナンスや調整をしてお尻に馴染ませる
ブルックスに限らず革サドルには、メンテナンスや調整の難しいというイメージに加え、硬くてお尻が痛くなるというイメージが依然として根強く残っています。
確かに革は最初は硬いですし、サドルにクッション性があるパッドが入っているわけでもないので、すぐにお尻に痛みが出ることでしょう。
まして、ブルックスは簡単にはへたらない上質の素材を使用していますので、最初は余計に硬さを感じるはずです。
しかし、革は馴染むのに時間が掛かるものであり、個人差はありますがサドルも相応の時間を掛けて身体(お尻)にフィットさせていくものです。
のちほど詳しくお話ししますが、表面にオイルを塗って馴染ませ、雨に気を付け、革のテンション(張り具合)を調整しながら、じっくり育てる必要があります。
ただ、スポーツバイクのサドルというのは、「底なし沼」に例えられるほど自分に合うものに巡り合うのが難しいです。
しかも、直接身体に触れる部分ですから、すぐに結果が出ますし、また結果を求めがちです。
そのため、時間を掛けて馴染ませるという革サドルの特徴を知らないと、結果として「硬くて痛い」と判断されるので、そういったイメージが固着してしまうのです。
ブルックスの革サドルには同じものを10年以上使用している人もいる
ブルックスの革サドルのラインナップには、初めからオイルで座面を馴染ませてあるサドルがあります。(B17 AGEDという製品)
筆者は使用したことがないので他のサドルに比べどれだけ早く馴染むのかは不明ですが、これはもうブルックスの方から「うちのサドルは馴染むのに時間が掛かります」と宣言しているようなものです。
ですから、使用する我々は、長く付き合う覚悟を持って購入しなければならないということです。
ブルックスの革サドルのユーザーさんは、長年同じサドルを使用している人が目立ちます。
これだけでも耐久性には信頼が置けると言えますし、お尻の形に沿ってフィットしていくという特徴もあるので唯一無二の存在になっていくのでしょう。
筆者の知人に10年以上ブルックス製の同じサドルを使い続けている男がいますが、先日サドルを見たところ、ところどころが黒光りして使用感はありましたが、ヘたった感じは一切ありませんでした。
3~4か月に一度オイルを塗って、テンションの調整もしていると言ってましたが、苦労しているという姿には見えなかったです。
ブルックス革サドルの調整方法①座面へのオイル塗布
それではここで、ブルックスの革サドルのメンテナンスと調整についてお話しします。
必要になるのは、座面に塗るオイルと馴染ませるための布、そして革の張りを調整するためのレンチです。
これがセットになったものが純正品として販売されているので、下記のものをサドルと一緒に最初に購入しておくことをおすすめします。
【MAINTENANCE KIT(サドルメンテナンスキット):オイル・調整用スパナ・ウエスセット】
参考価格:¥1,944(税込)
基本的な手順は、購入当初も馴染んでからもほぼ同じで、時期と共にメンテナンスの頻度が変わってきます。
まずはオイルですが、出来るだけ少量を伸ばして全体に塗り込むようにしてください。
一度塗ったら12時間程度は乗らずに放置して、時間経過後に余計なオイルを拭き取ってから使用してください。
お尻に馴染むまでの間はこの作業を「頻繁」にとブルックスは言ってますが、明確な頻度は示していません。
そこで先出の知人に聞いてみたところ、最初は2~3週間に一度オイルを塗っていたとのことでした。
現在は半年に一度くらいということなので、これを参考にしましょう。
ブルックス革サドルのメンテナンスと調整方法②水よけ対策
前項ではブルックスの革サドルの調整について、まずは座面へのオイル塗りをご説明しました。
次にサドルの裏側ですが、ここは水よけ目的にオイルを塗ることが、ブルックスから推奨されています。
ただし、頻繁に塗り過ぎてしまうと、テンションが損なわれて型崩れを起こすそうです。
そのため、先ほどの知人の話ですと、雨の日や水に濡れるような場所を走らない、またバイクは室内保管という環境ならば、突然のにわか雨への対策として1年に1回程度でよいそうです。
この知人は過去に型崩れを経験しているため、参考になるかと思います。
また、革サドルは水に弱いという弱点があり、ブルックスの革は上質で少しくらいの雨ですぐにへたるようなものではないですが、やはりケアは必要です。
特に室外に保管される場合や、通勤などで雨の日も乗る方はサドルカバーは必須かと思います。
そして、やむを得ず濡れてしまった場合はすぐに水分をふき取り、十分に乾くまでサドルの使用は避けてください。
ブルックス革サドルのメンテナンスと調整方法③テンションの調整
ブルックスの革サドルのメンテナンスですが、次は革の張り具合(テンション)の調整です。
革は馴染んでくると共に伸びてきますので、横から見ると座面にカーブが付いて垂れ下がってきます。
見た目にも悪いですし、そのまま垂れ下がり続けると太ももに擦れるようになりますので、寿命が短くなってしまいます。
そのため、垂れてきたら座面が水平になるようにテンションを調節してあげなくてはいけません。
サドル裏側の先端部分に調整用のボルトがありますので、これをメンテナンスキットにあるレンチで回します。
1回に90度程回して座面が水平になったかを確認しながら調整していきますが、あまり張り詰めすぎますと革が破断してしまうので、水平になったら止めてください。
また、濡れた状態で革を引っ張ると伸び切って戻らなくなってしまうことがあるので、テンション調整は十分に乾いた状態で行ってください。
ブルックスの革サドルの角度調整と座る位置について
ブルックスの革サドルは全体的に前に傾斜している形状のものが多いので、地面と水平に取り付けると走行中に滑って前に出ていってしまうという報告をよく目にします。
その場合ですが、サドルは高さや前後位置を調整すると走りに大きく影響が出てしまうので、ポジション出しができているようなら極力いじらない方が賢明です。
そこでご提案したいのはサドルの角度で、基本は水平なのですがわずかに前上がりにするとお尻の収まりがよくなるはずです。
極端に前上がりにすると後ろ重心になって、お尻に過度な負担が掛かりますので、滑らない程度の角度に留めておいてください。
最初はお尻に馴染んでいないため、滑ってしまうこともあるので、少し前上がりにしておくとよいでしょう。
また、お尻に馴染んでいくということは、よく座る部分から革がなめされていきますので、最初からしっかりと一番幅が広い部分に座る必要があります。
幅が狭い部分から馴染んでしまうと、いつまでたってもお尻の痛さは解消されないので、一番広い部分にお尻の坐骨を当てるイメージを持ってください。
ブルックスの革サドルは長い目で見て大切に育てていく
今回は、ブルックスの革サドルの調整についてお話ししました。
最初は硬い印象を受けるはずですが、メンテナンスや調整をしながら時間を掛けてお尻に馴染ませていくものなので、硬いというイメージだけで諦めてはいけません。
ブルックスの革サドルは何年、何十年と使用できるものですので、大切に育てていって頂きたいですね。