一部の自転車には、ハンドルを動かないようにする「ハンドルロック」の機能が付いているものがあります。
お子さんをシートに乗せる時や、買い物袋をかごに入れる際などにふらつかないので、とてもありがたい機能です。
しかし、多く報告されているのがハンドルロックが解除されない事例で、外し方が分からず途方に暮れたという経験のある方も多いのかと思います。
そこで今回は、ハンドルロックの外し方について考えていきます。
自転車のハンドルロック機能とは?
ハンドルロックの機能は、子供乗せ自転車では標準装備となっています。
お子さんを前に乗せている状態でハンドルがぐらついてしまったら、お子さんの重みで自転車が転倒する可能性があります。
前後にお子さんを乗せる3人乗りで、さらに電動アシスト付きともなれば30㎏近い重量にもなりますので、転倒してしまったら、お子さんに与えるダメージは計りしれません。
また、お子さんを乗せる際も、ハンドルが前を向いている状態の方が乗せやすいということもあります。
主な子供乗せ自転車のハンドルロック機能は、「テモトデロック」と「スタピタ」の2種類です。
また、他にはブリヂストンのママチャリによく見られる、後輪錠を施錠するとハンドルロックもされる「一発二錠」や、シマノの後付けタイプ「くるピタ」などもあります。
いずれにも施錠方法や外し方によって一長一短もあると聞いていますので、検証していきましょう。
「テモトデロック」はどこでもロックできて外し方も簡単
それではまず、子供乗せ自転車のハンドルロックのお話からさせて頂きます。
前項でお伝えしたように、テモトデロックとスタピタですが、メーカーによって採用しているタイプが違います。
ブリヂストンやヤマハはテモトデロック、パナソニックや丸石サイクルがスタピタになります。
テモトデロックの意味は文字通り「手元でロック」することで、レバーひとつでハンドルをロックすることができます。
一方のスタピタはスタンドを立てると同時にハンドルロックが掛かる仕組みで、「スタンドを立てるとハンドルがピタッと固定」のような意味でしょう。
テモトデロックのメリットは、いつでもロックを掛けられることです。
例えば、信号待ちなどで後ろのお子さんが気になって振り返った瞬間に、バランスを崩してハンドルがぐらつき転倒してしまうケースがあります。
その点は、テモトデロックであれば、ロックしてから後ろを振り返ればよいですし、ロックの外し方も解除レバーを押し上げるだけですので、スタートが出遅れることもありません。
しかし、スタピタは自分が一旦降りて、ぐらつかないように片手でハンドルを押さえながらスタンドを立てる必要があります。
となると、信号待ちでその都度自転車から降りるのは現実味に欠けますし、お子さんが2人乗った状態で片手でスタンドを立てるのは至難の業かもしれません。
「スタピタ」はスタンド操作だけなのでロックも外し方も単純
引き続き子供乗せ自転車のハンドルロックのお話ですが、スタピタは忘れようがないというのがメリットです。
スタンドを立てるだけでロックが掛かり、特殊な外し方などは存在せずスタンドを上げれば解除されるので、駐車時=ロック、走行時=解除は自動的です。
一方、テモトデロックは自分の意志でロックと解除を行いますので、つい忘れてしまうということがあります。
ロックしたままの状態でカーブを曲がろうとしたところ、ハンドルが動かず曲がりきれないで転倒したという例も聞いたことがあります。
こういった一長一短がお互いにあるので、どちらがよいとは一概には言えないですが、慣れてしまえばテモトデロックの方が使い勝手はよいかと思います。
完全に駐輪する場面じゃないと掛からないスタピタよりは、任意のタイミングで行えるテモトデロックの方が利便性が高いということです。
もちろんハンドルロックだけが自転車を決める要素ではありませんが、迷ったらテモトデロックの方にした方が後悔が少ないかと思います。
自転車のハンドルロック「一発二錠」とは
次にお話しする自転車のハンドルロックは、一般のママチャリにも採用されている後輪錠とハンドルがロックが連動されているものです。
ブリヂストンやヤマハが搭載している「一発二錠」が有名で、防犯システムのひとつでもあります。
後輪に取り付けられた馬蹄型のリングでカギを掛けると、同時にワイヤーが引っ張られてハンドルにもカギが掛かる仕組みです。
外し方も後輪錠のシリンダーにキーを差し込み開錠すると、ハンドルロックも自動的に解除されるという、実に簡単な仕組みです。
従来通りのテモトデロックやスタピタはあくまでも駐輪時にハンドルを固定して落ち着かせる機能ですが、一発二錠はカギなので、ハンドルにもカギが掛かるイメージです。
そのため、例えば後輪のカギを壊されて盗まれたとしても、ハンドルを開錠できないので乗ることは困難です。
そのため、すぐに乗り捨てられることもあり、盗難後に発見される確率も高いといいます。
このように、一発二錠は同じハンドルロックでも、テモトデロックやスタピタとは用途が違うということです。
自転車の一発二錠における凍結時のハンドルロックの外し方
前項でお伝えした一発二錠は、冬場に凍結してしまうという事例が報告されています。
先ほどハンドルロックの外し方をお話ししましたが、カギの開け閉めによってハンドルロックのワイヤーが動きますが、そのワイヤー内の結露や雨水の侵入で凍結してしまうようです。
寒冷地にお住まいの方などは頻繁に起こり得ることなので、確認をしておいてください。
ブリヂストンの取り扱い説明書には、施錠と開錠の作業を交互に何回か繰り返すと解除されると書かれています。
凍結してしまう水の量から考えればこれでよいのでしょうが、急を要す場合は皆さんそれぞれに苦労されているようです。
自宅であればドライヤーで溶かしている人もいれば、出先であたたかい飲み物を買ってそれをかけているという報告もあります。
しかし、ドライヤーはまだしも、ワイヤーもインナーは金属ですから頻繁に水をかければ当然さびてしまうので、飲料をかけるのは避けた方がよいでしょう。
凍結防止の方法としては、雨を避けられるガレージなどに駐輪しておく、また、自転車にカバーを掛ける方法もあります。
それでも頻繁に起こるようであれば、市販されている「解氷スプレー」を使用する手もあります。
【KURE(呉工業):アイスオフ 2155 [HTRC2.1]】
こちらは自動車のフロントガラスの解氷に使用されることも多いですが、メーカーはカギ穴への使用も推奨していますので、金属類へのダメージはないでしょう。
自転車にハンドルロックは必要か?
自転車のハンドルロックですが、掛け方や外し方も様々ですし、メーカーの独自性もあってどう選ぶかも難しいところです。
また、比較的高価な自転車に搭載されており、ママチャリだからといって標準装備されているわけでもありません。
そして、不要ではないかという考えをお持ちの方も多く、お子さんを自転車から降ろす場合、ハンドルを自分が降り立った方に向けてからスタンドを立てればぐらつく心配はないという意見も多いです。
そして、最初は機能を使っていたが、お子さん自身がバランスを取ってくれるようになり、ぐらつく心配がなくなったのでいつの間にか使わなくなったという報告もあります。
このような慣れれば不要という考えがあるのは否定しませんが、お子さんを乗せたまま自転車ごと倒れてしまうという事故が毎年数件報告されているのもまた事実です。
その事例を見ると、中にはハンドルロックで防げた可能性のあるものも見受けられます。
したがって、ハドルロックが付くと少し値が張りますが、大切なお子さんの安全とは引き換えになりませんので、ハンドルロックをおすすめします。
ハンドルロックは大切なお子さんの身を守るもの!
今回は、自転車のハンドルロック機能についてお話ししました。
操作方法がまちまちだったり凍結の危険性などもあるので、しっかりと取扱い説明書を読んで対処して頂きたいと思います。
また、特に自転車にお子さんを乗せる場合はハンドルロックの必要性が高くなりますので、少し値が張っても機能付きをおすすめします。