「ブロンプトン」は、イギリスのブロンプトン・バイシクル社が製造、販売している折り畳み自転車です。
そして、ブロンプトンの自転車が語られる時に、結構な頻度で出てくるのは、サドルのカスタムです。
その際に、定番のおすすめとまでされているのが、同じイギリスの「ブルックス」製の革サドルです。
そこで今回はその理由も考えながら、ブロンプトンについてお話しします。
ブロンプトンの特徴
ブロンプトンはまず、何と言っても「折り畳みやすい」のが大きな特徴です。
メーカー曰くの話ですが、最初は30秒から1分、慣れれば15秒で折り畳めるとしています。
折り畳みにはいくつか段階があり、「少しコンパクトにして駐輪時に幅を取らない」のが第一段階。
「ベビーカーのように手押しで車輪を転がして持ち運ぶ」のが第二段階で、完全に折り畳んで最終段階となります。
開発のコンセプトが、どちらかというとママチャリなどと近いので、生活に根付いた使用が想定されています。
そのため、重量増になっても、重視されるのは耐久性や機能性であり、正しく手入れさえすれば長く使えるブルックスのサドルがおすすめされるのも、こういった特徴のためかもしれません。
スポーツバイクでは少なくなったクロモリフレームが基本で、故障が少ない内装式変速を採用しています。
また、泥除けやキャリアが標準装備されているものが多く、リアキャリアは最大10㎏の荷物を積むことも可能です。
したがって、ブロンプトンは生活の足として使用しながら、趣味でサイクリングやツーリングをスピードにこだわらずゆっくり行う、という志向になります。
ブロンプトンの製品表記!純正パーツ以外はおすすめしにくい
ブロンプトンは基本的には一種類で、そこからハンドル形状、ギア数、キャリアや泥除けの有無、という仕様で分けられています。
製品は「M3L」のような表記がされており、頭文字がハンドル形状、真ん中の数字がギア数、最後が装備の有無です。
まず、ハンドル形状は以下の通りです。
M=MTBのライザーバーのようにグリップ部分が持ち上がっており、サドル側から見るとひらがなの「ひ」に見える形。
S=MTBやクロスバイクのフラットバーハンドル
P=ロードバイクのドロップハンドルを上下反対に取り付けたような形状で、持ち手を自由に選べるタイプ。
次にギア数ですが、2速、3速、6速とあり、先述通り内装式変速です。
そして、最後の記号はキャリアや泥除けが装備されていれば「L」、装備されていなければ「R」となります。
すなわち、「M3L」はひの字型ハンドルの内装3速、キャリア、泥除けが標準装備されたモデルという意味です。
ブロンプトンはハンドルにこだわっていますが、折り畳み機能に弊害なく、最適なポジションを出すのは極めて難しいので、最適なものを提供してくれているという意味ではありがたいことです。
その他のパーツに関しても、仕様が一般的なスポーツバイクと違うので、純正パーツ以外に選択肢がないのも事実です。
その中で唯一サドルだけは、シートポストの仕様さえ合えばカスタム可能ということで、おすすめされているケースが多いです。
ブロンプトンにブルックスの革サドルがおすすめの理由
前項でお伝えしましたが、サドルにはカスタムに対して選択肢が多くなります。
ブロンプトンの標準サドルは、重量が350g前後、座面幅150㎜、見た目にも座面に溝が切ってあり、割とオーソドックスなスポーツタイプです。
パッドの厚さや形状などの詳しい情報は分かりませんが、乗り方によってはカスタムの余地を残しているという印象です。
また、見た目という点でもブロンプトンは創業以来のクラシカルなスタイルを守っていますので、ブルックスの革製サドルがおすすめされているのかと思われます。
筆者は写真で見ただけですが、ハンドルのグリップと色を合わせると、とても洗練されたイメージになって、印象が変わります。
さらに、先述しましたがブルックスの革サドルはしかるべき手入れをしていれば長年使用できますので、ブロンプトンのコンセプトと一致する部分が多くあります。
同じイギリスメーカー同士、という意味合いも強いのですが、長きに渡って一つのものを使い続けるという意味でも、この組み合わせはおすすめと言えます。
ブルックスの革サドルは馴染むまでに時間が掛かる
ブルックスの革サドルについては、「硬い」「乗り心地がよくない」「お尻が痛くなる」という声が多く聞かれます。
革サドルは時間を掛けてお尻にフィットさせていくものであり、馴染むまでの段階では他のサドルに比べ、はるかに厳しい状況です。
馴染むまでの期間は個人差がありますが、そこで諦めてしまうと、上記のようなネガティブな感想しか出なくなってしまいます。
しかし、定期的にオイルを塗って、雨に気を付け、型崩れをしないように革の張りを調整しながら育てていけば、極上のフィット感が得られるものです。
そして、お尻にフィットすれば半年に1回程度オイルを塗るだけで維持ができますので、イメージほどメンテナンスに苦労することもありません。
ただし、革サドルは水に弱いので、ブロンプトンにカスタムする場合は、室内保管が望ましいでしょう。
また、サドルバッグの使用もおすすめしたいところです。
ブロンプトンに組み合わせたいブルックスのおすすめサドル!
それでは、ブロンプトンにカスタムしたい、おすすめのブルックスのサドルをご紹介します。
【B17 STANDARD】
参考価格:¥14,600(税抜き)
100年以上、基本仕様が変更されていない、定番中の定番モデルです。
小さめの鋲や黒いスチール製のフレームはとてもクラシカルで、歴史の長さを感じます。
ブロンプトンはどちらかというと、上体を起こしてサドルに腰を落ちつける姿勢で乗りますので、座面幅が175㎜あるのもおすすめの点です。
また、革サドルとしては珍しくカラーが豊富なので、同じくカラーバリエーションの多いブロンプトンに合わせやすいです。
【B17 AGED】
参考価格:¥14,600
ベースは上記と同じですが、最初からある程度オイルで革を馴染ませているモデルです。
その分、スタンダードよりも早くお尻に馴染むので、身体にフィットさせやすくなります。
ただし、最初から型崩れを注意しなくてはなりませんので、よりメンテナンスに気を使わなければいけません。
ブロンプトンにはスポーツタイプのサドルも合う
前項に引き続き、ブロンプトンにおすすめのブルックスの革サドルをご紹介します。
【TEAM PRO CHROME】
参考価格:¥18,600
ブロンプトンでもSタイプやPタイプのハンドルは、スポーツバイクとしての趣もありますので、走りを楽しむというタイプでもあります。
また、ペダルが回しやすいようにサドルの側面がえぐれているので、ブルックスもロードバイクやMTB用と位置付けています。
かつては、ツール・ド・フランスでも多くの選手が使用していたサドルですので、ビジュアル的にも大きな鋲、クロームメッキと洗練されています。
【B17 IMPERIAL】
参考価格:¥16,000
B17がベースですが、座面に大きく穴が開いているモデルです。
人間工学に基づいた股間の圧迫を軽減するための加工ですが、ブルックスでは1890年代に穴あきサドルを開発しており、こちらはその復刻版です。
ブロンプトンでもフラットバーハンドルのSタイプは、やや前傾気味の姿勢になりますので、股間の圧迫対策は必要です。
特に革サドルは馴染むまでは座面が硬いので、余計に穴あき加工の必要性を感じるはずです。
ブロンプトンもブルックスも耐久性が売り!
ロンドンでは、ラッシュアワーに見かける自転車の10~20台に1台がブロンプトンとも言われているほど、普及しているそうです。
そこまでの普及率ですと、こちらもイギリス本国で絶大な支持があるブルックスの革サドルが組み合わされているのも、当然の流れかと思います。
革サドルは馴染むのに時間は掛かりますが、適度なメンテナンスさえ行っていればかなり長持ちします。
ブロンプトンも耐久性が一つの売りですから、長い付き合いができる組み合わせになりますよ。