MTBやクロスバイクは、ハンドルが一本棒のフラットバーです。
ハンドル操作がしやすく、ブレーキが掛けやすいメリットはありますが、持ち手が常に一定なので、手に疲れが溜まってしまうのがデメリットです。
そこで「バーエンドバー」を付けて、ハンドルに持ち手を増やそうというのが、今回のお話です。
バーエンドの選び方や、取り付け方などもご説明していきます。
バーエンドバーは安価で取り付け方も簡単
「バーエンドバー」は取り付けると牛の角の様に、水平なハンドルに対して前に突き出る形になります。
ロードバイクのドロップハンドルのメリットを享受する為の物であり、ハンドルを交換しなくて済むので、気軽なカスタマイズです。
後述しますが、取り付け方もさほど難しい事はありませんし、費用も2,000~3,000円で十分です。
ロードバイクがドロップハンドルを採用している理由は、大まかに2つあります。
1つは空気抵抗の低減、もう1つは持ち手の疲労を分散させるという事です。
ロードバイクはスピードに特化した自転車なので、空気抵抗との戦いになります。
自転車に掛かる空気抵抗は、全体の90%近くが乗り手に掛かる物なので、人間が風を受ける面積をなるべく小さくする必要があります。
その為には、前傾姿勢が必要になるので、ロードバイクはフレーム形状を始め全てが前傾になる様に設計されています。
ドロップハンドルは、水平部分からさらに前に突き出したブラケット部分が基本ポジションですし、ドロップ部分を握る事でさらに深い前傾になります。
バーエンドバーはドロップハンドル化する事と同じ意味
ロードバイクがドロップハンドルを採用しているもう1つの理由は、持ち手が多い事で疲労を軽減させる為です。
基本のブラケットポジションに加え、ドロップ部分、水平な部分を持つ事も出来ます。
ロードバイクはスピードと共に、長距離を走る事も想定されていますので、様々な持ち手があるのは有利に働きます。
人間の手は、何も考えずにリラックスした状態では、親指が上を向く縦方向になっています。
ドロップハンドルのブラケット部分は縦方向で握るので、自然な形になります。
しかし、水平部分は縦方向から手首を半回転させた横向きで握る事になるので、不自然な形になります。
不自然な状態を長時間続けていると当然疲れが溜まってくるので、フラットバーハンドルは長距離には向かないとされています。
となると、ハンドルの交換を考えたくなるのですが、単にハンドルを入れ替えれば終了とはいきません。
それに伴って多くのパーツを入れ替える必要がありますので、手軽なカスタマイズではありません。
その点バーエンドバーなら、先述通り安価で取り付け方も簡単、他に交換しなければならないパーツもありません。
MTBやクロスバイクがフラットバーハンドルである理由
フラットバーハンドルを採用しているMTBやクロスバイクにも、もちろんフラットバーである理由があります。
MTBやクロスバイクは、スピードよりも小回りが効くなどの操作性が重要なので、ある程度振り回せるフラットバーが良いです。
また、ロードバイクに比べれば強い制動力が必要なので、より強くブレーキを掛けられる様に横向きで握れる方がベストです。
あとは、MTBなら路面状況、街乗りのクロスバイクなら自動車や歩行者など、周囲に気を配る必要があります。
周りに誰もいない平坦の舗装路を、速いスピードで走る事を想定されているロードバイクとは、根本が違うわけです。
ですから、あまり前傾姿勢になるよりは、視界が開けた方が良いので、アップライドな姿勢で運転できるフラットバーが最適となります。
従って、こういった基本コンセプトは違う乗り方をするのであれば、バーエンドバーを取り付けてみてはどうかという話になります。
また、取り付け方によっては違ったメリットも出てきますので、次項でお話します。
バーエンドをセンタバーにする取り付け方もある
バーエンドバーは、文字通りハンドルのエンド部分=「端」に取り付けるのが基本です。
ただ最近は、別の取り付け方も目立ってきており、ハンドルの中央にセンターバーとして付けている人も多くいます。
トライアスロンバイクやTT(タイムトライアル)バイクには、中央に肘を置きながら握れるDHバーが装着されています。
これも持ち手が増える事や、さらに深い前傾姿勢になるのはバーエンドバーと同じ効果です。
しかし、センターバーにする最も大きな理由は、ブレーキの掛けやすさです。
バーエンドにするとそこを握りながらではブレーキに手が掛かりませんので、持ち替える分ブレーキングがどうしても一歩遅れます。
その点でセンターバーは、とっさのブレーキでもすぐに引く事が可能です。
さらには、端に付けるとハンドルの幅がその分広がるので、障害物や自動車に引掛けてしまう可能性があります。
その点でもセンターバーなら心配はないので、安全面を考慮するとこちらの方が優れていると言えます。
バーエンドバーにはどんな物があるか
それではバーエンドバーの取り付け方について説明しますが、まずはどんなバーがあるのかを紹介します。
バーエンドバーは大きく分ければ、バーだけの物と、グリップと一体型になっている物です。
グリップは通常時の持ち手なので、手の疲労軽減にはとても大きな意味があります。
今使っているハンドルに、幅が広くクッション性のある「コンフォートグリップ」が付いているのなら交換の必要性は低いかと思います。
しかし、ただの筒状の幅の狭いグリップなら、コンフォート付きのバーエンドバーがおすすめです。
また、角度が変えられる物もありますので、自分が取りたい姿勢が調整できます。
あとは、突き出しの長さと、ハンドルとのクランプ径に注意です。
長い分には持つ場所を自分で調節すれば良い話ですが、短いとせっかく取り付けても効果が薄いので、後悔するかもしれません。
私の経験則やインプレをからも、12㎝以上あると満足できると思います。
クランプ径はストレートハンドルの場合22.2㎜が多いですが、中には違うサイズもありますので確認してから購入する様にして下さい。
バーエンドバーの取り付け方
それではバーエンドバーの取り付け方を説明していきます。
今回はグリップ一体型では無くノーマルなバーを対象として、エンドに取り付ける方法をご紹介します。
まずはバーエンドバーを取り付けるスペースを確保しますので、グリップ、ブレーキ、シフターを中央方向へずらします。
グリップも交換するのであれば、切り裂いてしまっても構いませんが、交換しないのならずらします。
円筒形のグリップは固着している可能性があるので、石鹸水などを隙間から注入すると動く様になります。
スペースを確保したら取り付けますが、角度を決めるのに少し悩むと思います。
しかし、六角レンチ1本で脱着可能なので、走ってみて違和感があればやり直せますから、最初は握りやすい角度で構いません。
場所が決まったら固定をして、グリップやブレーキを「端側」から順番に固定し直します。
中央側から固定していくと不必要な隙間が出来てしまうので、必ず端から固定します。
バーエンドバーは手軽で気軽なカスタマイズ
今回はフラットバーハンドルに、バーエンドバーを取り付ける事を考えてみました。
前傾姿勢を深くする事と、持ち手を増やして手の疲労を軽減させる事が狙いとなります。
また、安全面を考慮するなら、ハンドル中央に取り付けるセンターバーとしての活用もおすすめです。
いずれにしても手軽なカスタマイズなので、ぜひ一度試してみて下さい。