サドル大国イタリアの中でも、独特な形状で我が道を行くメーカーが「SELLE(セラ) SMP」です。
横から見ると全体的に大きくうねっており、座面が大きく隆起し、中央から前方に掛けて広く穴が開いています。
この独特な形状に加え種類が非常に多いので、基準がないと選ぶのも大変です。
そこで今回は、セラ・SMP(以下SMP)のサドルの選び方をお話ししていきます。
SMPサドルの特徴
SMPのサドルは、ロードバイク用、タイムトライアル・トライアスロン用、クロスバイクなどにも対応する街乗り用に大別できます。
今回は中で最も需要の高いロードバイク用を見ていきます。
ひと口にロードバイク用と言っても、10種類以上がラインナップされていますが、まずは形状で2種類に大別できます。
冒頭でも触れましたが、うねり、座面の隆起、穴という全体的な形状はほぼ同じですが、大別できるのは座面の幅とくぼみの有無です。
それぞれの特徴は選び方に大きく関わってきますので、のちほど詳しくお話しします。
形状を選んだら次はパッドの厚さを考えていきます。
パッドなしから3枚分程度入るものまでに分けられています。
微妙なさじ加減もあるので正確なパッドの枚数は不明ですが、段階としてはパッドなし(0)~3枚と言ったところです。
したがって、SMPのサドルの選び方は、形状を選び、その中からパッドの厚さで種類を決定するという方法がよいとされています。
SMPのサドルの選び方①自分に適した形状を選ぶ
それではSMPのサドルの選び方についてご説明していきます。
まず形状は「Forma(フォーマ)型」か、「Composit(コンポジット)型」に分けることができます。
Formaは座面の幅が広く、なだらかに隆起しているので丸みを帯びています。
一方Compositは座面の幅が狭く、僅かではありますが座面にくぼみがあるので、角ばっているように見えます。
SMPのサドルは人間の坐骨にフィットするように作られており、なるべく座面と坐骨が接する面積を増やすことによって、圧力を分散しています。
これがSMPのサドルが坐骨付近に痛みが出にくいと言われる理由です。
この座面の幅とくぼみでそれを調整していることになります。
坐骨の幅は人それぞれですし、男性と女性では形が違うので一概には言えませんが、左右の坐骨の幅に合ったサイズを選ぶのが大切になります。
坐骨の幅は測定できる店舗もありますが、自分でも調べることも可能です。
一つ例をご紹介しますと、段ボールを何枚か重ねて床に置き、その上に裸で体育座りをします。
そうすると、坐骨は出っ張っていますので段ボールにくぼみができますから、その間を測ればそれが左右の坐骨の幅になります。
そこに10㎜~20㎜足した数値が最適な座面幅と言われており、坐骨の収まりがよく、骨盤が安定すると言われています。
なお、FormaかCompositは実際に跨ってみないことには、どちらが適合するか分かりませんので、SMPのサドルを扱う店舗に出向くしかありません。
SMPのサドルの選び方②パッドの有無と厚さを選ぶ
SMPのサドルの選び方ですが、FormaかCompositかを決定したら、今度はパッドの厚さによって種類を決めていきますので、それぞれの形状別に種類をご説明します。
【Forma】
★パッドなし
フルカーボンライト(座面・レール全てカーボン製)
カーボンライト(座面はカーボン・レールはステンレス製)
Forma(座面がカーボン+ナイロンになりレザーで覆われる・レールは通常はステンレスだがカーボンレールモデルもあり)
★パッドあり
Dynamic〈ダイナミック〉(Forma+パッド1枚)
Dorakon〈ドラコン〉(Forma+パッド2枚)
Avent〈アヴェント〉(Forma+パッド3枚)
【Composit】
★パッドなし
フルカーボン(座面・レール全てカーボン製)
カーボン(座面はカーボン・レールはステンレス製)
Composit(座面がカーボン+ナイロンになりレザーで覆われる・レールは通常はステンレスだがカーボンレールモデルもあり)
★パッドあり
Blaster〈ブラスター〉(Composit+パッド1枚)
Evloution〈エボリューション〉(Composit+パッド2枚)
最終的な選び方は実際に跨った上で価格と相談しながら判断をする
前項でそれぞれの種類をご紹介しましたが、基本は座面がカーボンなのかレザーで覆われるか、そしてパッドの有無と厚さの違いということになります。
価格は座面とレールの素材によって決まっており、フルカーボンやフルカーボンライトは飛び抜けています。
パッドは価格にはあまり影響がないようで、パッドありの製品は厚さに関係なく同価格です。
さて、最終的な選び方ですが、先述通りFormaかCompositかは跨ってみての判断になります。
次にパッドですが、SMPのサドルはこれも先述しましたが、坐骨にフィットするように作られていますので、パッドの必要性を感じないという意見も多いです。
パッドは座面にクッション性を持たせ、地面からの衝撃を吸収して、お尻の痛みや疲労を軽減させる役割があります。
しかし、SMPはフィット感が抜群なので痛みが出にくく、パッドの必要がないということです。
そうは言っても、パッドがあった方がお尻の痛みが出にくいのは確かなので、特に200㎞を超えるようなロングライドにはパッドの有用性もあるでしょう。
自分に合うサドル選びは重要だが乗り方も考えなくてはならない
これはSMPに限ったことではないですが、お尻の痛みや疲労は、サドルの形状やパッドの厚さによる選び方というよりも、乗り方や乗車姿勢次第という意見もあります。
その証として、プロ選手は坐骨付近の痛みで悩んでいる人は、皆無と言われています。
これは、プロ選手はサドルに体重を掛けすぎない乗り方や、圧力の分散を上手く行っているためです。
また、選手に合った前後位置や角度をメカニックが完璧に調整しているので、ずれなく座面にフィットしているためでもあります。
実際にプロ仕様のサドルは軽量化を図るためにパッドがないものも多く、それでもお尻の痛みを訴えることがないのはこういった要素があるからです。
その意味ではSMPのようにお尻へのフィット感を重視しているサドルは、パットが不要という意見もうなずけるところです。
SMPのサドルはどこで購入するのがベストか?
ここまでSMPのサドルの選び方についてお話してきましたが、最後はどこで購入するかという話になります。
これは結論からすると断然に実店舗がおすすめです。
と言うのも、SMPのサドルは形状が独特なので、他のサドルに比べポジション出しが困難です。
「座面の前後で一番盛り上がっている頂点部分が水平になるのがよい」、「坐骨が当たるくぼんだ部分に合わせて地面からの高さを調整」するといった基本事項はあります。
しかし、これも個人差があるので、一概に全てが当てはまるわけではありません。
また、先述通りFormaかCompositは、本当に実際に試してみないとどちらが適合するのか分かりません。
その点でもSMPの取扱店にはテストサドルが置いてある店舗が多いので、跨ってみることが可能です。
ロードバイクにおいてサドルは、走行性能や快適性を大きく左右する部分であり、慎重に選ぶに越したことはないので、やはり実店舗で実物に触れてみるのが一番です。
SMPのサドルはフィッテイングが大事
今回は、「SELLE・SMP」のロードバイク用サドルの種類と選び方についてお話しました。
種類は豊富ですが、基準となる形状とパッドの有無を考えれば、あとはお財布と相談するだけです。
とは言え、形状が独特ですし、跨ってみないことには分からない部分もあるので、店舗に出向いて決めるのが賢明です。