自転車のブレーキは乗り手の命を預かっているもので、いざという時に効かないでは済まされません。
そのため、定期的なメンテナンスはもちろん、ブレーキワイヤーやブレーキシューの交換なども必要になります。
そこで今回は日常的に行うメンテナンスの方法や、ブレーキワイヤーの交換時期についてお話していきます。
自転車のブレーキワイヤーは酷使されている
自転車のブレーキは油圧で動くディスクブレーキ以外は、ブレーキ本体とレバーがブレーキワイヤーで繋がれています。
ブレーキレバーを引くとワイヤーが引っ張られて本体のアームを動かし、アームの先に付いているゴム製のシュー(パッド)が車輪やローターを挟み付けて回転を止める仕組みです。
そのため、ブレーキワイヤーはブレーキを掛けるたびに、引っ張られて戻るを繰り返しています。
ワイヤーは金属線が束ねられているインナーケーブルを、樹脂製のアウターが覆っています。
負荷が掛かるのはインナーケーブルの方で、いくら金属線とはいえ伸縮を繰り返せばいずれは伸びてしまいます。
さらには、束ねられている金属線は伸びによって一本づつほつれていきますので、放っておくといずれ全体が切れてしまいます。
また、アウターもインナーケーブルと擦れますし、風雨にさらされているので経年劣化は避けられません。
このようにブレーキワイヤーは酷使されており、明らかに消耗品なので、メンテナンスや交換が不可欠なのです。
次項からは、メンテナンスや交換時期について詳しくお話していきます。
自転車のブレーキワイヤーは破損していたら交換時期
前項では自転車のブレーキワイヤーについて概要をお話しましたが、ここからはメンテナンスについてお話していきます。
まずは目視でアウターの状態を確認し、樹脂が切れていたり、剥がれてしまっている箇所がある場合は危険信号です。
アウターが破損してしまっていればそこから水分や汚れが入り込み、金属製のインナーは錆びてしまいます。
錆び付けばワイヤーがスムーズに動かなくなりますから、当然のごとくブレーキの効きは悪くなります。
そのため、アウターが破損していればメンテナンスというよりも、もう交換時期と考えてもよいでしょう。
また、ブレーキのアームと繋がっている部分はインナーが剝きだしになっていますので、切れたり錆びたりしていないかも確認してください。
走行中ブレーキを掛けた瞬間にワイヤーが切れるという事例は珍しくありませんが、こういった状況を放置せずに交換していれば防げることです。
したがって、アウターワイヤーが破損している場合は、速やかに自転車屋さんに修理をお願いしてください。
自転車のブレーキワイヤーの「伸び」はレバーの引き代で分かることがある
ブレーキワイヤーは目視で見て分かることもありますが、外見上は異変がなくても交換時期が近い場合もあります。
ブレーキワイヤーはレバーを引くことで動きますので、引きに違和感が出ることがあります。
インナーケーブルが伸びていると、レバーを強く引かないとケーブルを引っ張れないので、引き代が大きくなります。
筆者も以前に経験がありますが、ブレーキレバーがハンドルにくっ付いてしまうくらいまで引き代が大きくなることもあります。
ただし、これは購入して間もない自転車でも起きる「初期伸び」の可能性もありますので、特にスポーツバイクは応急処置を試してみる必要があります。
応急処置としては、ブレーキレバーに付いているネジで、ワイヤーの張りを調整することができます。
これに関してはいくつか注意事項がありますので、次項で詳しくお話いたします。
ブレーキワイヤーの張りを調整しても引き代が改善されなければ交換時期
前項でお話したブレーキレバーでブレーキワイヤーの張りを調節するネジは、ママチャリにはほぼ付いていません。
そのため、ママチャリは目視で分かるアウターの破損も含めて、レバーの引き代が大きくなってきた場合も、自転車屋さんに見てもらいましょう。
さて、スポーツバイクですが、調整用のネジはアウターワイヤーとブレーキレバーの接続部分に付いています。
一般的にはネジが二つ付いており、ワイヤー側が調整用、ブレーキレバー側は調整用ネジが動かないように固定するものです。
ですから、調整を行う際はまず固定してあるネジを緩めてから、調整用を手で回していきます。
ワイヤーの伸びはネジを反時計回りに回すことで解消されますが、あまり回し過ぎると今度は逆にブレーキの効きが強すぎてかえって危険です。
それなので、レバーを握って引き代を確認しながら回していきましょう。
この調整でレバーの引き代が正常に戻れば調整は成功ですが、解消されない場合はワイヤーの交換時期と考えるべきです。
自転車のブレーキ本体とレバーの組み合わせに注意!
自転車のブレーキワイヤーの調整でも交換でも注意しなければいけないのは、ブレーキレバーの左右と、ブレーキ本体の前後の組み合わせを間違えないことです。
ママチャリなどは進行方向に向かって右側のレバーが前ブレーキ用、左側が後ろブレーキ用です。
一方、ロードバイクなどは、反対で右が後ろで左が前の場合が多いです。
理由に関しては諸説があり、長くなりますので今回は割愛します。
前項でご紹介した調整用のネジは、左右どちらのブレーキレバーにも付いていますが、片方だけを調整することが多いはずです。
そのため、間違えてしっかりと効いている側のワイヤーの張りをさらに強めてしまい、効きが強くなりすぎることがあります。
特に前ブレーキは効き過ぎると車輪がロックしてしまい、下り坂などでは前転してしまう可能性があるので、十分に注意してください。
また、ワイヤーの交換時期が来ると自力で交換される方もいますが、これも反対の組み合わせで繋いでしまうことがあります。
笑い話のようですが、ミスに気付かず交換後にいつもと同じ感覚でブレーキを掛け、反対側のブレーキが反応して事故になったケースもあります。
したがって、まずレバーを握って、どちらのブレーキに対応しているかを確かめてから調整や交換を行うようにしてください。
自転車の「ブレーキシュー」の交換時期は?
ここまでは、自転車のブレーキワイヤーの調整や交換時期の判断についてお話してきました。
あとは、ブレーキワイヤーと共にメンテナンスが必要な「ブレーキシュー」も合わせて確認していただければと思います。
ブレーキシューはアームの先端に付いているゴムのことで、常に車輪に挟み付けられているので、消耗が激しい部分です。
すり減ってきますと、ワイヤーの伸びと同じくレバーの引き代が大きくなってきますし、最悪ブレーキが効かない状態に陥ることもあります。
引き代の大きさもそうですが、見た目でも表面に刻まれた溝が1㎜程度まで減ったら交換時期です。
スポーツバイクのブレーキシューはカードリッジ式の場合が多く、ゴムの部分だけの交換で済むので簡単にしかも安価に行うことができます。
ママチャリの場合は台座ごと交換になりますので、微妙な角度の調整をしなければならず素人仕事では厳しいので、自転車さんに任せましょう。
今回筆者はママチャリには、終始一貫して自転車屋さんでのメンテナンスを推奨しました。
これは、ママチャリは基本的にメンテナンスをしなくていいという見解があるためで、ぜひ一度点検して頂きたいという願望を込めてのことです。
自転車のブレーキは定期的なメンテナンスが必要
今回は自転車のブレーキワイヤーについて、メンテナンスや交換機時期などを確認してきました。
アウターワイヤーの破損やインナーケーブルのほつれ、錆びはもちろんですが、ブレーキレバーの引き代でもワイヤーの不具合を感じ取ることができます。
また、ブレーキシューも合わせて確認する必要もありますので、定期的に確認をしてください。