ロードバイクにとって、タイヤは唯一地面と接触している部分ですから、走りに大きな影響があります。
ロードバイクのタイヤはピンきりですから、完成車に付属しているタイヤのグレードはとても気になるところです。
イタリアの老舗ブランドビアンキは、完成車のタイヤにどんなこだわりを持っているのでしょうか?
同じイタリアのヴィットリアのタイヤを多く採用していると聞きますが、実際のところを調べてみましょう。
ロードバイクのタイヤサイズ規格
まず、ロードバイクのタイヤについての基本をおさらいしておきましょう。
ロードバイクのタイヤの大きさは、ホイールの大きさによって決まりますが、今は大半が700cというサイズになります。
自転車全体ですと、タイヤのサイズについて一記事書けるくらい規格が乱立していますが、ロードバイクは700cと見てほぼ大丈夫です。
ただし、大きさは統一されていますが、太さ(幅)はまちまちです。
ひと昔前までは23c(23ミリ)が主流でしたが、現在は25cに移っています。
のちほど紹介しますが、ビアンキの完成車付属タイヤもほとんどが25cですし、中には28cもあるほどです。
なぜ太めのタイヤにシフトしているのかは諸説ありますが、23cよりも25cのタイヤの方が変形率が低くパワーロスが少ないというのが有力です。
だからと言って、23c以下の太さのタイヤが市場から消えたわけではないので、細めのタイヤを好む人もまだまだ大勢います。
また、タイヤは太くなると中に入れられる空気量が増えますので、クッション性が出て乗り心地が良くなります。
ロードバイクは、普及が進みレース以外の用途で使うケースも多くなっていますので、乗り心地を重視して太めのタイヤにするという事もあります。
ロードバイクの完成車に付属しているタイヤのレベル
ロードバイクのタイヤは需要が多い事もあり、多くのメーカーが様々な種類のタイヤを販売しています。
また、完成車においても多くのメーカーは市販品を採用しますので、最初からどの程度のレベルのタイヤが付属しているのかは大体分かります。
まず、初心者向けとされているエントリーモデルの完成車に付属している物は、タイヤもエントリーグレードです。
ピンきりですし、個々の性能の違いもあるので一概には言えませんが、コストを考えても上位グレードのタイヤが装備されている事はまずありません。
エントリーグレードのタイヤは、バランスに欠けるものが多くなります。
大抵の場合は、耐久性にのみ優れている様なタイヤが多く、転がりやグリップ力が犠牲になっている物です。
タイヤはロードバイクのパーツの中では、どちらかと言えば安価な部類に入ります。
1本5,000円も出せば、各メーカーの上級グレードに手が届きます。
しかし、なぜかタイヤはコストダウンの対象にされがちで「このレベルのロードバイクにこのタイヤ?」と疑問に思う事がしばしばあります。
その辺りを確認する意味でも、今回は「ビアンキ」の完成車付属タイヤを見ていきます。
ビアンキのロードバイクには「ヴィットリア」のタイヤ
ビアンキはイタリアのバイクブランドですが、完成車には同じイタリアのメーカーである「Vittoria(ヴィットリア)」製のタイヤが多く使用されています。
ヴィットリアは、それこそ「ピンきり」という言葉を使いたくなるメーカーですが、世界的な老舗です。
非常に安価な物から、こだわりのハンドメイドタイヤまで取り扱っているメーカーです。
ヴィットリアの代表的なフラッグシップモデルは、「ヴィットリア・コルサ(corsa)」です。
大量生産をしないハンドメイド製法で、乗り心地が素晴らしいという評価を受けているタイヤです。
ビアンキの完成車には、「スペシャリッシマ」や「オルトレXR4」など、完成車で100万円を超えるレースモデルに採用されています。
市場価格では1本8,000円前後しますので、高級タイヤの部類です。
しかし、100万円以上するロードバイクに8,000円のタイヤというのは、少しアンバランスな印象を受けるかもしれません。
ちなみにビアンキのフラッグシップモデル「スペシャリッシマ」のホイールは、1本約20万円します。
同じ車輪を形成するホイールとタイヤにここまでの価格差があり、完成車とタイヤの関係は、最高級のロードバイクでも、このくらいのバランスという事です。
ビアンキのロードバイクに多く採用されているタイヤは?
ビアンキの完成車に付属しているタイヤを確認しています。
上級グレードには「ヴィットリア・コルサ」が多く採用されていますが、ミドルからエントリーグレードでは「ザフィーロ(zaffiro )」が多くなります。
これは私が調べた限りでは、ヴィットリアのロードバイク用タイヤの中で最も低いグレードです。
定価はホームページによると1本2,300円、市場価格は通販サイトで1,800円~2,000円というところです。
ヴィットリアは昔からコルサを筆頭に上位モデルの評判が良いメーカーなので、下位モデルが必要以上に酷評される傾向にあります。
ザフィーロも作りに若干荒さがあるのと、25cで300gのヘビー級の為、以前はあまり評価されていませんでした。
しかし、最近購入した人の中では、必要十分な性能に満足している声も目立ち、それほど悲観的な声は聞かれません。
私も最初の完成車のタイヤがザフィーロでしたが、慣れるまでは何の違和感もありませんでした。
少しスピードが欲しいと思い始めた時点で交換しましたが、エントリーグレードに付属しているタイヤとしては十分な物と思って良いでしょう。
ビアンキのタイヤ選びは好感が持てる
ビアンキのロードバイクの完成車には、ほぼヴィットリア製のタイヤが付属しています。
ここまで紹介したタイヤ以外にも、1本約5,000円の「ルビノプロ」や、ザフィーロの上位モデル「ザフィーロ・プロ」なども採用されています。
タイヤ単体のレベルを考えると、ビアンキの完成車とタイヤの組み合わせは良心的と言えるでしょう。
ヴィットリアへのこだわりは別としても、ビアンキのタイヤ選びは、個人的には高評価です。
また、太さについてですがやはりトレンドもあるのか、ビアンキもほとんどが25cになっています。
23cを装備しているのは、スカンジウム合金を配合したスペシャルなフレームである「フェニーチェ・プロ」くらいです。
ホイールのタイヤをはめる部分である「リム」の内幅が広がってきていますので、細いタイヤの肩身が狭くなる一方です。
ビアンキのイメージカラーをタイヤにも
ここまで、ビアンキの完成車付属のタイヤについて考えてきましたが、最後は少し視点を変えてお話します。
ビアンキユーザーの方にはお馴染みですが、ビアンキはイメージカラーである「チェレステ」を大切にしています。
エメラルドグリーンに近い水色で、イタリアはミラノの青空をイメージしていると言われています。
その為、チェレステを基調にしたボディーカラーの機種が圧倒的に多いです。
また、別の色を基調にしていても、必ずどこかには挿し色でチェレステを入れるこだわり様です。
そういった事がユーザーにも根付いているのか、チェレステに近い色のカラータイヤを履いているビアンキのロードバイクをしばしば見かけます。
カラータイヤについては、安全性に問題があるとされているので賛否両論分かれます。
ただ表面のトレッド部分では無く、サイドのみに色が付いた物は機能面にも問題はありません。
トータルコーディネイトという意味からも、おもしろい選択かもしれません。
ロードバイクはタイヤにこだわりたい!
今回はビアンキの完成車に付属しているタイヤについて確認しました。
同じイタリアを拠点とするヴィットリアへのこだわりと、良心的な組み合わせが垣間見れました。
ロードバイクにおいてタイヤは、走りの質を左右する重要な部分です。
こだわればそれだけ自分の理想の走りに近づけますので、ぜひ注目して欲しいパーツです。