「自転車の鍵をなくしてしまった」
「余分な長さのワイヤーを切りたい」
そんな時、自分で切断できる工具を持っていれば、自転車屋に持っていく必要もなく、工賃も掛からず便利ですよね。
今回は鉄などの金属を、どんな工具でどんな風に切断できるのか、自転車の修理でよく使われる物から、ご紹介していきますので参考にしてください。
くれぐれも、悪用しないようお願いします。
鉄などの細いワイヤーを切断する工具
最初に、ブレーキワイヤーやシフトワイヤーのような、紐状の鉄やステンレスといった金属を切断する工具をご紹介します。
針金のような糸状の細い金属の切断は、ニッパーやラジオペンチのカッター部分でも行うことはできますよね。
ですが、ブレーキワイヤーやシフトワイヤーのように、より合わされたワイヤー状の金属の場合は、細くても意外と切断ができません。
そこで切断に使う工具は、「ワイヤーカッター」です。
これは、ホームセンターなどでも簡単に手に入る工具で、2,000円程度で購入が可能です。
多くのワイヤーカッターの場合は、直径が2㎜程度のものまでを切断可能です。
そのため、この工具は直径が1.6㎜程度である、ブレーキワイヤーの切断などに用いるのが最適と言えます。
一方、ブレーキワイヤー以上の太さであるワイヤー式の鍵などは、別の工具が必要になってきますので、後程、ご紹介します。
ワイヤーカッターでブレーキワイヤーなどを切断する場合、ほつれたワイヤーなどで手を傷つけてしまう可能性があります。
ですから、作業時は作業しやすい薄手の手袋などを着用すると共に、切断後のワイヤーにはワイヤーエンドキャップという、ほつれを防ぐキャップを取り付けることをお勧めします。
鉄などの太いワイヤーを切断する工具
ここでは、先にお話ししたブレーキワイヤーやシフトワイヤーよりもさらに太い、ワイヤー式の鍵などの鉄を切断する工具をご紹介します。
ワイヤー式の鍵程度の太さであれば、その繊維である鉄線を少しづつ切っていく方法をとれば、小型のニッパーなどでも切断することができます。
しかし、繊維である鉄線そのものにある程度の太さがある場合は、この方法を使ってもニッパーなどでは歯が立ちません。
また、細い鎖状の鍵などの場合も、ニッパーなどでは切断することができません。
そのような時に切断に使用するのは、「クリッパー」もしくは「ボルトカッター」と言われる工具です。
これは、柄の部分がとても長い形をしたハサミ状のカッターであり、「てこの力」でかなりの太さのものまで切断することが可能です。
ここでお話しするような、ワイヤー錠や鎖状の鍵程度の太さに対応したものであれば、大きさはだいたい長さ50㎝程度、重さは1㎏から2㎏程度で、おおよそ2,000円前後でホームセンターなどで購入することができます。
使い方も簡単で、切断する対象を刃の部分でくわえ、柄に体重をかけて閉じると、ある程度の太さがあるものでも簡単に切断できます。
一方で、この工具は大きさや重さもかなりあり、使い方を誤ると大怪我に繋がりかねないものと言えます。
こちらも、ご使用に際しては、手袋などを身に着けることをお勧めします。
鉄などのパイプを切断する工具
シートポストなどのパイプ状の金属を切断する場合に、ご自宅でも簡単に使用できる工具は「パイプカッター」という工具です。
チタン製のシートポストなどの切断にはやや難がありますが、鉄やアルミニウムのフォークコラムやシートポストといったパイプであれば、弱い力でもきれいに切断することができます。
この「パイプカッター」、ホームセンターなどでおおよそ2,000円前後で購入することができます。
形としてはあまり切断工具のような見た目ではなく、カラビナや万力のような形をしています。
その使い方は簡単で、切断したいものを工具に固定し、クルクルと回し続けるだけでパイプを切断することができます。
ほとんど力を加えずにパイプを切断することができる工具です。
また、この工具を使う際のコツとして、きれいな切断面にするにはあまり刃をゴリゴリと押し当てず、弱い力でクルクルと回し続けることがポイントです。
刃が露出していないと同時に、使用する際にほとんど力のいらない工具ですので、今回ご紹介する工具の中でも安全な工具と言えます。
とはいえ、物を切断する工具である点に他の工具と違いはないので、この工具を使用するに際しても、手袋などで手を保護することをお勧めします。
鉄などの金属製の棒を切断する工具
自転車にフェンダーやキャリアを取り付けるにあたって、太さが5㎜から7㎜程度の鉄製の棒などを切断する必要に迫られる場合があります。
この程度の太さの金属の棒であれば、先ほどご紹介した「ボルトカッター」という工具で、簡単に切断できます。
しかし「ボルトカッター」は、切り口があまりきれいではない、細かな長さへの調節が難しいなど、やや大雑把な作業に用いることに適した工具です。
そのため、上に挙げたような、見た目のきれいさ、長さの微調整が必要な切断に際しては、「金切鋸」と言われる、金属切断用の、のこぎりを使うことをお勧めします。
「金切鋸」はその名の通り、のこぎり状の工具で、切断対象に当てて前後に動かすことで、徐々に金属を切断することができます。
幅が「金切鋸」の長さに収まりさえすれば、基本的にどのような太さでも切断することができるので、とても使い勝手の良い工具と言えます。
しかし、刃の露出部分が多いこと、前後に動かす動作にある程度の力と時間がいることなど、ご使用に際しては気を付けなければならない点の多い工具でもあります。
自転車のチェーンを切断する工具
自転車にまつわる切断を行う工具として、最も独特と言えるのが「チェーンカッター」かもしれません。
「チェーンカッター」は自転車のチェーンを切断する工具なのですが、今までご紹介したような鉄などを「切る」工具とは異なり、チェーンを「外す」工具です。
具体的な使い方としては、まず工具をチェーンにあてがい、チェーンカッターのハンドルを回して、棒状の突起をチェーンのコマとコマをつなぐピンに押し込んでいきます。
ハンドルを回し続けると、どんどん突起が押し込まれ、最終的にピンが抜け落ち、チェーンを切断することができます。
様々な価格帯、規格の製品がありますが、一般的な製品の値段は3,000円程度です。
チェーンが厚歯か薄歯か、何速なのかなどによって、チェーンカッターの規格も異なるので、ご購入に際してはこの点に注意が必要です。
この工具はホームセンターなどには置いていないことが多いですが、大型自転車店、もしくは、インターネットでの購入が可能です。
出先でのディレイラーのトラブルへの対応などに必要となる工具ですので、本格的に自転車を始めたい方の場合は、持っていても損のない工具です。
工具を使う時に気を付けること
今回、ご紹介した鉄などを切断する工具に限らず、工具全般は重く、尖っているものが多いです。
自転車のパーツ自体にも尖った部分や駆動部分が多いため、素手で作業を行うと怪我をしてしまう場合があります。
薄手の作業用手袋などは身に着けても作業を邪魔せず、むしろ、滑り止めの効果もあって作業が行いやすくなります。
安全、そして、作業の効率のためにも、手袋を着けて作業されることをお勧めします。
また、自転車のメンテナンスなどに際しては、切断したワイヤーの切れ端、鉄棒の切断面、チェーンや工具の汚れなど、手以外の部分を傷つけたり汚したりする可能性のあるものがたくさん発生します。
そのため、サンダルではなく甲部分も覆ったスニーカー、汚れても良い服装など、手以外の部分への防護もある程度必要な備えと言えます。
また、工具の使用に際しては、各工具の取扱説明書に必ず従ってください。
工具の許容範囲を超えた作業は、工具をダメにしてしまうばかりではなく、工具や切断対象の破損による怪我にも繋がります。
工具を使う時は正しい使い方で安全に!
鉄などの金属を切断する工具をご紹介しました。
ご紹介した物はどれも強力な切断力を持った工具ですので、使い方を1つ間違えると、指の切断などの大きな怪我に繋がりかねません。
正しい工具の使い方を知って、安全に作業をしましょう。