Panaracer(パナレーサー)と聞いてピンとくる方は、かなりのロードバイク通ですね。
それはさておき、国産の自転車タイヤの製造・販売では、他の追随を許さない人気メーカーです。
市場のシェア率も高いですが、しっかりとした技術があるので、レーサーにも愛用者が多いようです。
今回は、そんなパナレーサーのロードバイクタイヤを確認します。
タイヤメーカー「パナレーサー」とは
「Panaracer」というロゴを見ると、何か同じようなロゴを思い出しませんか?
そうです。
パナレーサーは、大手家電メーカーのPanasonic(パナソニック)が、自転車のタイヤとチューブを販売するために立ち上げたメーカーです。
パナソニックの創始者である、かの有名な松下幸之助氏が、最初に丁稚奉公していたのが、自転車屋さんだったそうです。
その関係で、自転車にとても強い思い入れを持っており、自転車業界に参入したと言われています。
1980年にはパナレーサーのチューブラータイヤを使用していた中野浩一選手が、世界選手権で優勝するなど、レースの世界でも、その技術の高さが証明されています。
なお、現在パナレーサーは、パナソニックグループを脱退しています。
スポーツ自転車のほとんどのタイヤの製造を手掛けており、特にロードバイク用のタイヤにおいては、世界でもトップクラスの実力があります。
若干、デザイン性に欠けるところがありますが、コンパウンド技術においては、さすが日本産と言える素晴らしさです。
パナレーサーのロードバイク用タイヤのフラッグシップモデル
それでは、パナレーサーのロードバイク用タイヤをご紹介していきます。
まずは、フラッグシップモデルになる【RACE】シリーズです。
用途によって3タイプから選べ、そのどれも特色がはっきりしています。
シリーズ全体の強みは、グリップ力の強さと、耐パンク性の高さです。
グランツールでも、ウェットコンディションでのグリップ力は、お墨付きをもらっています。
私も経験が浅かった時代に、RACEの前身モデルに履き替えましたが、素人の私でも分かるくらいに、路面に吸い付く感覚がありました。
グリップ力が強すぎて、転がりが今ひとつと評されることもありましたが、EVO3にモデルチェンジしてからは、軽さも十分出てきているようです。
耐パンク性に関しては、超高強度の補強材を地面との接地面であるトレッドの下に配し、タイヤ本体に当たるケーシングに耐パンクベルトを入れています。
このことで、突起物が刺さってチューブに届いてしまう「貫通パンク」や、側面がカットされる可能性が大幅に減っています。
パナレーサー【RACE】シリーズ
ここからは、パナレーサーのRACEシリーズを、タイプ別にご紹介します。
【RACE D】はDUROの意味で、ヨーロッパの石畳レースのような、タフな路面を長距離走行することを想定しています。
ケーシングの上部と内面にの耐パンクベルトを配し、あらゆるパンクに対応するモデルになっています。
3タイプの中では重量が重めですが、強力なグリップ力を誇りますので、普段使いで多少の悪路も通るような場合におすすめになります。
【RACE A】は、ALL AROUNNDを表す「A」で、文字通り、バランスを重視したオールラウンドタイプです。
突出した特徴がないわけではなく、耐パンクベルトや転がり抵抗を軽減する仕様を、全て盛り込んでいる贅沢な1本です。
【RACE L】は、LIGHTの「L」で、3タイプの中では最も軽量です。
転がり抵抗を究極にまで抑えていますが、中央部分に耐パンクベルトを集中させて、貫通パンク対策は万全です。
タイムトライアルやヒルクライムに最適のモデルです。
共に1本5000~6000円と高級な部類になりますし、レース仕様なので、サイズは20c・23c・25cが中心ですが、最近は28cも品揃えされています。
ロードバイクでレースを目指すなら、ぜひ検討したいタイヤです。
街乗り仕様のロードバイクならこのタイヤ
パナレーサーのRACEシリーズは、フラッグシップモデルですから、少々高価です。
また、レースでも使用されるようなモデルですので、決戦用タイヤとしての趣もあります。
次にご紹介したいのは、もう少し手軽にパナレーサーの性能を体感したい人におすすめの、普段使いに向くタイプのタイヤです。
【パセラ ブラックス】
パナレーサーのロードバイクタイヤの入門編的な存在で、特殊なコンパウンドなどは採用されていません。
それなりに重量もありますので、レース仕様ではなく、ホビーライダー向けのタイヤです。
その分、ホームセンターなどにも置いてありますので汎用性が高く、手に入りやすいのも大きなメリットです。
耐パンク性を高める肉厚なトレッドを採用しており、耐久性は定評があります。
通勤に使用している人が目立ち、3000km前後を目安に交換すると良いでしょう。
また、これからレースを目指そうという人には、練習用としても重量があるので、十分な負荷が掛けられます。
幅広い用途に使えるタイヤ
次は、やや特殊な性格のタイヤをご紹介します。
【グラベルキング】
ロードバイクのひとつのカテゴリ―に「グラベルロード」があります。
ロードバイクでありながら、未舗装路も走れる仕様になっています。
その専用タイヤという位置付けですが、もちろん一般的なロードバイクに装着しても、何ら問題はありません。
耐パンク性は性格上、強化されているのは当然のことですが、RACEシリーズに採用されている、転がり抵抗低減の技術も盛り込まれています。
グラベルロードはMTBに採用される、ゴツゴツとしたブロックタイヤが装着されていることも多いです。
しかし、グラベルキングは、28cまではセミスリック程度のトレッドパターンであり、舗装路でのスピードも十分期待できます。
27.5インチもラインナップされているので、街乗りのMTBにも最適です。
【リブモPT】
とにかく頑丈で、長持ちするタイヤを希望されるなら、こちらがおすすめです。
肉厚のトレッドに、最高級の耐パンクベルトをケーシング全面に配しており、パナレーサーの耐パンク対策の全てを注いだ1本です。
ロードバイク用のタイヤは細いものほど貴重になってゆく
パナレーサーのタイヤは太さのバリエーションが豊富なので、多少選択を迷うこともありそうです。
現在、ロードバイクのタイヤは25cが主流で、ホイールメーカーもこぞってワイドリム化しています。
28cを標準装備する完成車や、32cまで対応するようなクリアランスを持つフレームもあり、この風潮はしばらく続きそうです。
太めにシフトしていく中で、先ほどご紹介した【RACE L】などは軽量ということもあり、20cがラインナップに残っています。
ホイールのワイドリム化で、23cですら今後肩身の狭い思いをしそうなご時世に、ハイエンドモデルに20cを残しているのはさすがです。
主にレースでの使用になると思いますが、タイムトライアルステージやヒルクライムでは、まだまだ十分に有用性がありますから、ありがたいところです。
RACEシリーズ以外では、28c以上の太めのサイズも充実しているので、太め志向の人にも十分満足いくラインナップでしょう。
パナレーサーは実用性に優れたメーカー
今回は、パナレーサーのタイヤを確認しました。
レーシー仕様の【RACE】から、汎用性の高い【パセラブラックス】まで、様々ニーズに応えられるラインナップが目を引きます。
また、日本製らしい高いコンパウンドの技術が盛り込まれており、安心感があります。
実用性重視なら、真っ先に検討したいメーカーですね。