デュラエース7900系が残した財産を11速化した9000系が引継ぐ

シマノのロードバイク用コンポの頂点と言えば「デュラエース」です。

完成車では、50万円以上の高級モデルに搭載されるコンポで、エンドユーザーには少し敷居の高さを感じさせます。

30年近く続いた型番7000番台の時代を経て、7900系が2012年リア11速の9000系にステップアップ、現在は9100系まで進化しています。

今回は、そんなデュラエースの歴史を振り返ります。

デュラエースの11速化はわずか5年前

デュラエースはシマノのロードバイク用コンポとしては、他のグレードと明らかに一線を画すものです。

価格はセカンドグレードのアルテグラの2倍以上、フルセットで400g以上の重量差があります。

デュラエースの「エース」は、世界で1番にという意味で名付けられたらしいので、それだけ特別感のあるものということですね。

フラッグシップモデルとして、毎回進化を期待される立場にありながら、9000番台まで品番を上げて継続してきているのはさすがの一言です。

特に転機になったのが、現在のモデルの礎を築いた7900系と、リア11速となった9000系です。

現在販売されているホイールのほとんどが、リア11速に対応しているので、もう長い歴史を誇っているのかと思われますよね。

しかし、デュラエースの11速化は2012年、まだ5年ほどの歴史しかありません。

その後、アルテグラの11速化は2013年、105は2014年ですから、まだまだ10速以下のロードバイクに乗っている人も多数いるわけです。

デュラエースの歴史を振り返る~黎明期から11速化に至るまで

デュラエースの始まりは1971年にまでさかのぼり、この年に名前の付いたクランクが発売されています。

翌年ヨーロッパでのレース参戦を視野に入れ、「Dura Ace Component with Crane model」が、フルコンポで販売されます。

1984年に現行の4ケタの品番となり、7400系として登場します。

1991年には、シマノ・トータル・インテグレーション(STI)システムの開発により、7410系からブレーキ、シフター一体型レバーが登場します。

また、それに伴って、リアの変速段数は8速となります。

1996年の7700系も、大きなモデルチェンジとなり、ホロ―テッククランクが開発されました。

2003年、7800系でリア10速となり、現在も使用が継続されているホロ―テックⅡが採用されました。

そして、2008年現在のデュラエースの礎になったと言われる、7900系へのモデルチェンジが行われます。

2012年、ついにリア11速化を果たし、最新版はディスクブレーキがラインナップされている、R9100系となっています。

デュラエースの基礎は7900系にアリ!

現在のデュラエースは、リア11速のR9100系まで進化しています。
その基礎となったと言われている7900系は、2008年の6月に販売されました。

それまでの、アルミ合金やチタンに加えて、新たにカーボンを使用したパーツが登場しています。

また今では、アルテグラにもその技術が採用されている、電動式変速機の「Di2」が誕生したのも7900系(7970)です。

その後、2010年のツール・ド・フランスでは、早くもシマノのコンポを使用しているチームのほとんどが、Di2を採用しています。

従来の機械式変速機のSTIレバーも当然健在で、このモデルより、ケーブルがフレーム内蔵型になりました。

また、シマノは元々前モデルとの互換性を意識しない物作りをしていました。
(最近のモデルは、互換性が取れていることが多いです)

その際たる例が7900系で、トリム機能の省略を行ったためにドライブトレインは、ほぼ全て前モデルとの互換性がなくなっています。

デュラエースは7900系から9000系への過程で11速化した

7900系からのステップアップは、当初8000系になると見られていました。

しかし、アルテグラのために8000系を空けておく発想と11速化のインパクト付けのため、一気に9000番台へのジャンプアップになりました。

余談ですが、現在のシマノのコンポは、ロードを表す「R」が品番の頭に付いています。

品番2400だったクラリスはR2000系に、3500だったソラはR3000系に、それぞれモデルチェンジされています。

現在、Rが付いていない105(5800系)とティアグラ(4700系)も、モデルチェンジを機に、恐らく今の品番を維持したまま頭にRが付くことになるでしょう。

話をデュラエースの9000系に戻しまして、ここから、ようやくリア11速化が図られます。

先述しましたが、まだ11速の歴史は、5年あまりしかありません。

そして、9000系はクランクセットにも、大きな改良が加えられています。

今まで、クランク側で出していた剛性をチェーンリング側で出すことにより、クランクアームを5本から4本に減らし、軽量化を図っています。

現在では、クラリスに至るまで、4アームクランクになっており、シマノの代名詞になっています。

デュラエース7900系のパーツはまだ手に入る!

さて、今現在でも通販サイトなどで、デュラエースの7900系のパーツを目にすることがあります。

10速のパーツで現在も製造を続けているのは、現行の10速コンポであるティアグラ関連だけですから、残っているのは貴重です。

値崩れしているとはいっても、そこはデュラエースですから、決してお得になっているとまでは言えません。

例えば、リアギアであるカセットスプロケットとリアディレイラ―を7900系に交換すると、4.5万円以上掛かります。

しかし、ものは考えようで、デュラエースを一部でも体感できると考えれば、悪くない選択でしょう。

また、珍しいところで、昔のランドナーなどに採用されていた、ダウンチューブシフターがあります。

シマノは7900系のあとに、ダウンチューブシフターを出していません。

そのため、昔ながらのクロモリフレームに合わせたいなどという要望に応えられるのは、7900系のシフターしかありません。

なお、こちらは10速対応なので、11速では正常に動かせない可能性があるので、お気を付けください。

デュラエースの最新版はR9100系

今回は7900系を中心にデュラエースの歴史を見てきましたが、最後に最新版であるR9100系を確認しておきましょう。

このR9100系辺りから見え始めたのが、他の11速モデルとの互換性で、一部の機能を除き、かなり互換性が確保されています。

トピックスは、このモデルから採用が始まったクランクへの「パワーメーター」の搭載です。

通常モデルに追加される形で、ラインナップされました。

パワーメーターとは1秒間の仕事量である「ワット」を計測する機械で、プロは当たり前のように使用している機能です。

高級ホイールが前後セットで買えるほどの価格なので、さすがに私などのホビーライダーには縁遠いですが…

また、リアディレイラーがロード用として、初めて「シャドータイプ」となりました。
MTBでは既に採用されていた、横への張り出しを抑えたタイプです。

落車時の破損のリスクが減りますし、わずかではありますが、空気抵抗の低減にも効果があります。

コンポと共に、ホイールもラインナップが刷新されています。

特に、ノーマルハイトリムの「WH-R9100-C24」はクラス最軽量となり、ヒルクライムなどにおすすめされているのを、よく見かけます。

シマノのホイールはデュラエースの冠が付く物以外は、ほぼ中位グレード以下なので、「最後の砦」的な存在になっています。

デュラエースの進化

今回は、デュラエースの歴史を振り返ってみました。

リーディングカンパニーのフラッグシップモデルとして、常に進化を期待される立場にあるのがデュラエースです。

その期待に応え続けている跡が、ヒシヒシと伝わってきました。

特にドライブトレインの進化は、本当に凄まじいものを感じました。

エンドユーザーまでは届きにくい高級コンポですが、一部だけでも体感してみると良いかもしれません。