フルクラムは、カンパニョーロの子会社で、ホイール専業メーカーです。
最近は、カンパにとらわれず、独自路線を歩み始め、確固たる地位を築いています。
また、カンパやフルクラムの長所のひとつに、高級ホイールから安価なエントリーグレードまで、幅広く揃っていることが挙げられます。
フルクラムの【レーシング7】は、正にエントリーグレードですが、評価や評判はどうなのか検証してみましょう。
フルクラム・レーシング7の評価が低い理由
フルクラム・レーシング7はロードバイク用ホイールで、アルミリムのクリンチャータイヤ用モデルです。
フルクラムのアルミリムホイールはグレードの上位から、『レーシングゼロ』『レーシング3』『レーシングクワトロ』『レーシング5』『レーシング7』です。
位置付けとしては、これより上のグレードに、カーボンリムが続きます。
アルミリムホイールはフルクラムに限らず、上位グレードになるにつれて、軽量になっていきます。
ちなみに、レーシングゼロはレーシング7よりも230g以上軽量で、価格は10万円以上高いです。
リム素材であったり、ハブのベアリングやスポークなど、色々な要素が絡み合っての価格差ですが、軽いほど高価と思っておいて間違いありません。
上記のように、レーシング7は、フルクラムのホイールの中で、一番低いグレードのホイールです。
そのため、インプレで高い評価を受けることは少ないですし、そもそも完成車の付属品としか考えられていない向きもあります。
また、フルクラムの場合は、中位レベル以上のホイールが高評価過ぎるので、レーシング7がかすんでしまうということもあります。
フルクラム・レーシング7のスペック
フルクラム・レーシング7のスペックを、ご紹介します。
参考価格:25,000円~32,000円(前後セット)
重量:1,750g(公表ではなく実測値です)
リムハイト:フロント24mm、リア27.5mm
スポーク:スチールスポークでフロント18本、リア20本
ハブ:スチールボールのシールドベアリング
2015年モデルから、ワイドリム化されています。
まず、重量は軽いとは言えませんが、エントリークラスの完成車には、2,000gを軽く超える通称「鉄下駄」が付属していることも多いです。
そのため、鉄下駄とは一線を画していますが、評価するほどの軽量感はありません。
リムハイトやスポーク本数は平均的ですが、フルクラムは全体的に剛性が高く、やや硬めの乗り心地ではあります。
ハブのベアリングは、可もなく不可もなくで、特筆すべきことは何もないです。
しかし、シールドベアリングは基本ノーメンテなので、最初のうちは助かります。
ワイドリム化されていますので、25cや28cといった太めのタイヤに対応しているのも、エントリーグレードではメリットでしょう。
あとは、見た目が評価されていますね。
シマノなどは正直地味ですからね、それに比べるとカッコいいと私も思います。
フルクラム・レーシング7のインプレ評価
フルクラム・レーシング7のスペックを確認していただきましたので、今度は使用感のインプレをご紹介します。
上位グレードと比較しているインプレですと、どうしても低評価が並んでしまいますが、他社製の同グレードとの比較では、そん色ない評価と感じます。
漕ぎ出しや、坂の上りでは、このくらいの重量のホイールは、重さを感じてしまいます。
反対に、平地の巡航なら重さがかえって心地良いと思えるはずで、以前私もレーシング7を使用していたときは、全く同じ感覚でした。
私は、クロスバイクからロードバイクに乗り換えた最初の完成車に、レーシング7が付属していました。
そのとき感じたのは「良く回るな」ということでした。
また、重さなども気にならなかったと記憶しています。
クロスからの乗り換えでしたので、多少の硬さは覚悟していましたが、それも想定内の範囲で、乗り心地が悪いという感覚はありませんでした。
その後、上には上がいることを知るのですが、当時は全く不満に思っていませんでした。
私の個人的な感覚になってしまいますが、レーシング7は、このグレードのホイールとしては、何ら問題のない良品だと言っておきます。
グレードアップ用として評価されないのはなぜ?
フルクラムのレーシング7ですが、もし完成車に付属していたら、「ラッキー!」と思って良いでしょう。
エントリグレードとしては、重量も評価できるレベルです。
また、エントリーにありがちな、こんにゃくみたいなグニャグニャな剛性でもないので、ロードバイクに乗ってる感はしっかりと体感できます。
ですから、レーシング7が付属しているからといって、すぐに交換を考えるようなことはないと思われます。
しかし、他のホイールから換装を考えたときに、選択肢に入れるホイールかどうかは微妙です。
あくまでも、完成車に付属していれば「ラッキー」と思えるレベルであり、ホイールのグレードアップ目的で採用するかと言われれば、私は「ノー」と答えます。
おすすめしない理由のひとつには、性能が無難すぎるので、仮にもっと重量の重いホイールから換装したとしても、劇的な変化が感じられないという点です。
もうひとつは、せっかくフルクラムのホイールにするならば、「2:1スポークパターン」を体験したいからです。
フルクラム独自のスポークの組み方で、リアのドライブ側に倍のスポークを配することで、テンションのバランスを図っています。
ホイールのたわみを押さえ、動力の伝達力に優れていると評価されている技術です。
しかし、この技術が残念ながら、レーシング7とレーシング5には採用されていません。
これだけでも、レーシング7を選択する意味が、ひとつ消えるということです。
ホイールのグレードアップならこれ!
レーシング7は、ホイールのグレードアップ目的にはそぐわない。
では、どのホイールが良いのかという話になります。
予算との兼ね合いもあるのですが、ホイールは走行性能が如実に表れるところなので、できるだけ妥協しないほうが良いです。
まず、同じフルクラムならば「レーシング3」です。
ここから、先ほども触れた「2:1スポークパターン」になってきます。
重量1,555g(実測)は、このグレードとしては、まずまずです。
また、ハブのベアリングがカップ&コーンになりますので、メンテナンスがしやすくなります。
さらに、カップ&コーンのカップに特殊な加工がしてありますので、セラミック製のベアリングも使用可能です。
ユーザーさんの評価も非常に高いホイールですが、問題は価格です。
安い通販サイトでも、セットで6万円以上します。
しかし、今後本格的にロードバイクを趣味にしていくという方なら、ぜひ視野に入れたいホイールです。
他のメーカーですと、カンパニョーロの「ゾンダ」・シマノの「アルテグラ」・マビックの「キシリウム・エリート」あたりが、レーシング3と同程度のグレードです。
レーシング7をmtbやクロスバイクに換装する
さて、フルクラムのレーシング7ですが、グレードアップ用のホイールとしては、評価されていないとお話しました。
しかし、クロスバイクやmtbのロード化に使用してはどうでしょうか?
スポーツ自転車の多様化が進み、昨今では、自転車の機種の枠を超えたカスタマイズが目立ちます。
mtbのホイールは、耐久性や安定感重視ですから、重くて頑丈です。
その分、スピードは犠牲にされているので、ロード用のホイールを換装すれば、かなりのスピードアップが望めます。
また、クロスバイクも含めて、車体がロードバイクよりも重いので、レーシング7くらいの重量でも全く気にならないです。
正直に言えば、軽量で高性能なホイールは、車体が重いmtbやクロスでは、性能を活かし切れません。
そのため、レーシング7くらいが、失礼な言い方ですが、妥当な線です。
エンド幅の問題で、そのままでは使用できませんので、ちょっとした工夫が必要ではありますが、選択肢のひとつとして考えてみてください。
レーシング7は決して使えないホイールではない
今回はフルクラムのレーシング7についてお話しました。
エントリーグレードとしては完成度が高く、ロードバイク最初の一台に付属していたら「ラッキー」と言えるレベルです。
急いで交換せずに、じっくりと付き合ってみて、そのうち、グレードアップを考えてみてはいかがでしょうか。