mtbなどのスポーツ自転車は、ホイールに掛かる比重が、とても大きいです。
中でも、中央に鎮座する「ハブ」は、いくつもの重要な機能が携えられています。
そんなハブですが、交換やメンテナンスによって、性能を上げていくことは可能なのでしょうか?
今回は、そんなハブに付いて検証していきます。
mtbハブの交換を考える理由
mtbのハブの交換を考えるのに至る経緯は、様々あると思います。
・ハブのレベル(グレード)を上げたい
分かりますが、それならば、ホイールごと交換という手もあります。
・表面上で破損しているのが分かる
これは何ともしがたいですので、交換ですね。
・ホイールの回転に違和感がある・変な音がする
これは交換まで至らなくても、メンテナンス次第で何とかなるかもしれません。
また、丸ごと交換しなくても、一部のパーツ交換で済む可能性があります。
こんな感じで、段階を追って説明していきます。
まず、基本的にハブの交換は、ホイールの分解が伴います。
ホイールはタイヤをはめる部分の「リム」、骨組みに当たる「スポーク」、スポークをリムに支持する「ニップル」、そして「ハブ」で構成されています。
ハブには、全てのスポークが取り付けられていますので、交換になれば、少なくともスポークは外す必要があります。
ハブを交換して、スポークを元通りにするということは、ホイールを手組することと同じです。
これを前提として、この後の話をしていきます。
mtbのホイール交換はどうか?
mtbのコンセプトは、山道や砂利道のようなオフロードを、力強く走ることにあります。
そのため、ホイールもどちらかといえば、耐久性に優れたものが多いです。
ロードバイクは、ホイールの交換が即スピードアップに直結するので、実感しやすいです。
真っ先にカスタマイズが推奨されるパーツであり、需要が高い分、種類が非常に多いです。
また、現在は、ほぼ「700c」ワンサイズなので、大量生産が可能ということもあります。
一方、mtbはワンサイズのロードに比べ、サイズも複数あるので、メーカーが参入しずらい背景があります。
そのため、種類が少ないですし、長く使って良さが分かるようなものなので、即効性がないです。
したがって、ハブのグレードアップを目的にホイールの交換をしても、劇的な変化が感じられず、残念な思いをするかもしれません。
あとは、ロードバイク用のホイールを使用するという手ですが、これは「エンド幅」の問題があって、一筋縄ではいきません。
また、現在のmtbの主流である27.5インチよりも、ロードバイクの700cの方がリム径が大きいので、フレームに適合できるかどうかも微妙です。(29erであれば、ほぼ同じ大きさです)
mtbのハブから聞こえる「ラチェット音」とは
前項の話から、ハブのレベルアップのためのホイール交換は、やや微妙という結論にさせていただきます。
mtbに限らず、自転車のハブには、大きな役割がいくつもあります。
まず、何と言っても、大きな特徴は、リアハブに付属している「フリーボディ」です。
多段化されている自転車には必要不可欠ですが、フリーボディの外側には、リアギアの歯車であるスプロケットが装着されています。
また、フリーボディの中には「ラチェット機構」という、一部を除く、多くの自転車に必須の機能があります。
これは、ペダルを正方向に回したときにしか、車輪に力が加わらないようにする機能です。
ペダルを逆回転させたときに自転車がバックしないのも、下り坂や押し歩きで漕いでいないときは、ペダルが回らないようになっているのも、この機構のおかげです。
ただ、車輪を空転させたときに出る「ラチェット音」が、人によっては不快感があるものです。
これは、構造上のことなので故障ではないのですが、ハブによって大きな音のものもあれば、静音に近いものまで様々です。
ある程度は、ハブのグリスアップなどで音を抑えることもできますが、ハブの交換の原因のひとつになっていると聞いています。
ハブはベアリングのメンテで変わる!
ラチェット音の操作も含めて、ハブの交換を考える前にメンテナンスをしてみましょう。
ハブは回転体ですから、中に軸と軸受けが内蔵されています。
これをメンテナンスすることで、結構使われるフレーズですが「ギア1枚分回転が良くなった」という、劇的な変化がもたらされることがあります。
ハブの分解手順は割愛しますが、メンテはパーツの清掃とグリスアップ(潤滑油)です。
軸受けは「べアリング」と呼ばれますが、ベアリングには種類があります。
自転車に使われているのは「ボールベアリング」といって、スチールやセラミック製の小さなボールが、いくつか並べられて、軸の受けになっています。
このボールを金属製の受けに入れて、上から樹脂や金属製のシールで覆ったものを、ハブの中に圧入するのが「シールドベアリング」です。
一方、ハブの内部にあらかじめ挿入されている、カップの淵にボールベアリングを敷き詰め、上からフタをするような感じで取り付けられるのが「カップ&コーン」です。
シールドベアリングは、シールで覆われているので、基本はノーメンテです。
そのため、メンテナンスはパーツの清掃や、周辺のグリスアップ程度で済みます。
しかし、圧入してしまうので再利用できず、何かあれば交換です。
カップ&コーンはベアリング自体をグリスアップできますし、ベアリングと軸の当たり具合を調整できるので、自分好みの回転にすることができます。
mtbは、水や泥が侵入しにくいシールドベアリングが主流と言います。
どちらが優れているかは賛否両論分かれるところですが、この部分のメンテナンスが、ハブの性能のカギであることは間違いありません。
ハブの交換は誰がやる?
mtbのハブのメンテナンスをしてみたけど、回転に納得がいかないこともあるかと思います。
そこで、いよいよ、ハブの交換を考えることになります。
先述しましたが、ハブの交換はホイールの分解を意味します。
市販されているものや、完成車に付属しているホイールは「完組みホイール」と呼ばれています。
これは、設計の段階で最適なホイールになるように、リム・スポーク・ハブが選ばれて組まれています。
レベルの差があるにせよ、トータル的に考えられているということです。
これを、ハブだけ別物に交換しようということなので、否定はできませんが、はっきりと「おすすめ」ですとは言えないです。
また、交換にはスポークを組み直す技術が要ります。
専用工具や、最後まで自力でやるなら「振れ取り台」という、ホイールのバランスを測る台も必要です。
専用の工具は安価ですが、振れ取り台は平均1万円はします。
ただ、振れ取り台を購入するのと、ショップにハブの交換とスポークの組み直しを依頼するのと、同じくらいの料金ですから考えどころですね。
手組みホイールの可能性
引き続きハブの交換の話をしますが、今後、本格的に自転車を趣味にしていくと思ったら、振れ取り台を購入しておくのも損ではありません。
ホイールは、スポークのテンションが緩んでしまう「振れ」が走っているだけで起こるので、定期的に点検が必要です。
今回はハブの交換がテーマなので、ここまでにしますが、振れについては、別記事を参照いただきたいと思います。
ハブの交換を自力でやるにしても、プロにお願いするにしても、そこまで考えるなら、もう一歩進んで手組みのホイールを作成するという選択肢もあります。
リム・スポーク・ハブを自力で選んで組むも良し、予算だけ伝えて、後はプロにお任せでも良いでしょう。
mtbの完組みホイールのレベルを考えると、オリジナルも悪くない選択だと思います。
もし、スピードアップをしたいなら、ロードバイク用のリムを使用することもできます。
mtb用のハブを使用すれば、エンド幅問題もクリアです。
費用はどちらにしても、それなりに掛かります。
ですが、プロに頼む際の工賃や、自力で行う際の工具代を入れても3~4万円で、そこそこ良いものが手に入るはずです。
今乗っているmtbに、どれだけの愛着を感じているかにもよりますが、一考してみる価値はあります。
ハブの交換の先に手組みホイールまで考えよう
今回は、mtbのハブを交換することを考えてみました。
ハブの交換=ホイールの分解ということだけは、覚えておいていただきたいです。
また、完組みホイールの選択肢が少なめのmtbでは、オリジナルのホイールを組むことも視野に入れて欲しいと思います。