mtbをドロップハンドル化したい!予算はどのくらいだろう?

最近は、スポーツ自転車の用途が多様化されてきており、車種の垣根を超えたカスタマイズが目立ちます。

mtbのドロップハンドル化というロードバイクとの融合は、簡単ではありませんが、たくさんの例があります。

今回は、私の独断と偏見で予算なども考慮に入れながら、mtbのドロハン化を考えていきます。

mtbのドロップハンドル化はスピードアップに効果アリ

mtbに乗っている人がみんな、オフロードを泥んこになりながら、走っているわけではありません。
町を見渡せば、普段使いとしてmtbに乗っている方も、大勢いるのが分かります。

私の仕事の同僚の1人は、もう3年以上もmtbで通勤しています。

フラットバーハンドルに寝かせ気味のジオメトリは、上体が起きて視界が開けます。

また、サスペンションが衝撃を吸収し、太いタイヤで安定感もありますから、街乗りに向かないわけがないです。

そうなると、あとは、もう少しスピードが欲しいというのが、街乗りmtbオーナーの悩みどころになってきます。

さすがに、ブロックタイヤは交換している人が多いと思いますが、その先が問題になってきます。

自転車のパーツで、スピードアップの効果が最も高いのは、ホイールの交換です。

重くて頑丈なmtbのホイールから、軽量で回転性能の高いロードバイク用に交換すれば、ほぼ一発でスピードの悩みは解消されるでしょう。

しかし、ロードバイク用のホイールをmtbに装着するのは「エンド幅」の問題があり、簡単な話ではありません。

費用もかなり掛かりますので、予算的に二の足を踏んでしまう人も多いです。

そこで、次に考えるのがドロップハンドル化です。
ドロハンは、ロードバイクのスピードを左右するひとつの大きな要素なので、効果は十分です。

mtbの空気抵抗を減らすのがドロップハンドル

スポーツ自転車は、空気抵抗との戦いです。
そして、自転車の空気抵抗の90%以上は、乗り手に掛かると言われています。

面積を考えれば当然のことですが、風を全面に受けて走るのは人間ですからね。

その空気抵抗を低減する目的で作られているのが、ドロップハンドルです。

人間が身体に風を受ける面積を減らすためには、前傾姿勢になれば良いのですが、ドロハンはそうなるように設計されています。

通常はハンドルの上端部であるブラケット部分を握りますが、フラットバーハンドルよりも前に突き出ているので、身体は自然と前傾します。

また、ドロップと呼ばれるあの内側にグニッと曲がった部分を握れば、驚くほど前傾します。
上記のことから、mtbでさほど予算を掛けずスピードアップを図るとなると、ドロップハンドル化を考えるのが、一番現実的かもしれません。

mtbのドロップハンドル化に最適のハンドル

ではここからは、mtbのドロップハンドル化を考えていきましょう。

ドロップハンドル化といっても、ただハンドルを交換すれば良いわけではありません。

交換に伴って、いくつかのカスタマイズが同時に発生します。

予算によっても変わってきますが、あれこれいじると費用が「ロードバイクの新車買った方が良くないか?」レベルまでいきます。

そこで今回は、極力費用を掛けないやり方と、性能重視のやり方の2通りをご紹介してみたいと思います。

まずは、どんなハンドルを選ぶかになりますが、私はアルミ素材をおすすめします。

カーボンでも良いですが、私の経験上、カーボンハンドルの恩恵は、それほど感じませんでした。

軽量にはなりますが、それほど実感がないですし、ハンドリングが「ふわふわ」「グニャグニャ」とする感じで違和感がありました。

少し剛性が低いのかも知れず、ましてmtbへの換装であれば、アルミが最適でしょう。

また、重要なのは、ハンドルの幅です。

現在のハンドル位置よりも6cm~12cmポジションが前に出ますので、その位置で握ってみて、無理のない幅のものを選んでください。

また、ドロハンでは水平部分から先端までの「リーチ」と、ハンドルの落差を表す「ドロップ」の寸法も重要です。

共に数値が大きいと、前傾姿勢がきつくなります。
最初はリーチで70mm、ドロップで120mm前後が最適とされていますので、参考にしてください。

あとは、ステムとのクランプ径に注意してください。
ハンドルのバークランプ径と合わなければ、取り付けることができません。

ただ、費用を掛けて良いのであれば、ステムと一緒に交換して、ハンドルの選択肢を増やすのも手です。

mtbのドロップハンドル化はSTIレバーを使うかどうかで予算が決まる

ハンドルを決めたら、カスタマイズに入っていきます。

まずは、必要最低限でのドロップハンドル化です。

本来であれば、ドロハンにはブレーキ・シフト一体型のデュアルコントロールレバー(STIレバー)を使うのがベストです。

また、そのレバーに交換することが、後ほど説明する性能重視のカスタマイズです。

しかし、連動して、多くのパーツに交換の可能性が出てくるので、費用が嵩みます。
そのため、低価格で収めるには、一体型レバーを使用しないことが前提になります。

ただ、さすがにブレーキレバーだけは、ブラケット部分に取り付ける必要があるので、交換になります。

mtb用のVブレーキや機械式のディスクブレーキであれば、下記のもので引くことができます。

【TEKTRO(テクトロ):RL520 SILVER BR-TK-162】
参考価格:¥3,300

この製品は、ワイヤーをロードバイク用にする必要がありますので、別途用意します。

【シマノ:ロード用ブレーキケーブルセット [Y80098019]】
参考価格:¥1,800

あとは、ドロハンにはバーテープを巻きますが、これはピンきりなので、予算は1,000円としておきます。
(1,000円なら安心です)

これで、ドロップハンドル化は理論上可能です。

予算を多めに見積もるならSTIレバーが使える!

前項では、mtbのドロップハンドル化の最大のカギは、STIレバーを使うか否かとお話しました。

ここからは、STIレバーを使用するカスタマイズをご紹介します。

まずはブレーキですが、STIレバーではmtbのVブレーキやディスクブレーキは、ワイヤーの引き量が違うので操作することができません。

STIレバーは、ロードバイク用のキャリパーブレーキか、昔のmtbでは主流だったカンチブレーキに対応しています。

そのため、このどちらかの選択になりますが、これはタイヤの太さによって決まります。

太いタイヤを、そのまま使用するのであればカンチブレーキ、ロードバイク用の細めのタイヤにするならばキャリパーブレーキです。

クリアランスが確保できるなら、32cくらいまではキャリパーで問題ないはずです。

ただ、予算上の問題もあると思いますので、タイヤを現状維持とするならば、カンチブレーキになります。

次は変速機ですが、駆動系のパーツ(ドライブトレイン)は、グレード(銘柄)を揃えるのがベストです。

今回は、現行がフロント3速・リア9速として、変速数は変えないことを前提とします。

STIレバー使用時の予算はどのくらい?

ドライブトレインの中で最も高価なのは、クランクセットです。

そのため、限られた予算でmtbのドロップハンドル化を行う場合は、現行のクランクセットを活かすことを考えます。

予算以外にもロードバイク用のクランクは、チェーンリングが大きいので、mtbのフレームだと干渉してしまう可能性が高いです。

しかも、mtbとロードバイクのクランクでは、想定されているチェーンラインが違うので、かなり面倒な調整を強いられます。

そのため、交換は控えたいところです。

しかしどうあっても、STIレバーでは、mtb用のフロントディレイラーは操作できません。

そこで考えるのは、フロントディレイラーも交換せずに、今付いているmtb用のシフターをフロント用だけ残します。

街乗りと考えれば、フロントのギアチェンジは頻繁にしないでしょうから、これでも支障ないはずです。

続いて、リアギアですが、9速までならSTIレバーで、mtb用のリアディレイラーが操作可能です。

そのため、今回はいじらないことにしますので、変速機回りは銘柄(グレード)を統一するという目的も果たせています。

これで、ドロハン化に伴う、ひと通りの作業は終了です。

最後にもう一度、流れをおさらいしておきます。

①アルミ製のドロップハンドルを用意(ステムとのクランプ径に注意)

②STIレバーはリア9速用の【シマノ:SORA(ソラ)】とする。
(今回は使用しませんが、後々のことを考えてフロント3速用が良いでしょう)

③現行のフロントシフトを流用し、片方のSTIレバーはブレーキ専用とする。

④ブレーキはタイヤの太さによって、キャリパーブレーキにするか、カンチブレーキにするか決める。

⑤クランクセット、ディレイラー(フロント・リア)とカセットスプロケットは、現行のままとする。

⑥バーテープを巻く

これでざっと費用を見積もりますと…(価格は参考価格)

ドロップハンドル(アルミ製):3,000円
STIレバー(SORA・フロント3速用、ワイヤ―類付属):12,000円
キャリパーブレーキ(SORA):2,400円
カンチブレーキ(シマノ):3,700円
バーテープ:1,000円

ブレーキはどちらかですが、2万円あれば何とか形になりますね。

仮に、タイヤを交換するとなるとピンきりですが、5,000円~9,000円程度プラスして考えておいてください。

ドロップハンドル化はやりだしたらキリがない!

今回は、mtbのドロップハンドル化を考えてみました。

カスタマイズは際限がなくなりますので、今回の提案もほんの一例にすぎません。

どこまでやるかは、自分の用途と、フレームにそれだけの価値があるかどうかの見極めによって決まると思います。

あとは月並みですが、安全第一ということですね。