シマノでは、セカンドグレードとして扱われているアルテグラ。
コンポの顔として扱われるのはクランクですが、ではそのクランクが他グレードとどれくらい重量が違うのか。
また、他メーカーのクランクと比較した場合、どれくらい重量差があるのかを見ていきましょう。
アルテグラのクランクの構造
まずは、アルテグラとはどういうものなのか、というところから触れていきましょう。
先にも書きましたが、アルテグラ(ULTEGRA)は、シマノ製コンポーネントでセカンドグレードになります。
上のグレードには、プロが好んで使用しているデュラエース(DURA-ACE)があり、基本的にアルテグラは、この技術を踏襲して変更を加え、一般人でも手が出しやすい価格に抑えて製作されています。
そして、クランクについてですが、コンポーネントの中でも最も重量があり、目立つ物になりますので注目もされます。
6700系からアウターチェーンリングが中空化され(ホローグライド)、剛性と耐久が保たれながらも、軽量化が図られました。
6700系から機構としては、BB周り含めてホローテックⅡとなっていますので、現在のシマノと同じ機構になっています。
その後発売されたのが、6800系アルテグラです。
6800系からは研究の結果、クランクアームは5本必要ないということで、クランクアームが4本になり、クランクがアーム含めて太くなっています。
ですが、中空構造になっているため、重くなっているわけではありません。
そして、今年発売されたR8000アルテグラです。
ほとんど6800系クランクから変更はありませんが、駆動剛性を高めるために、クランクアームの形状変更が行われています。
以上が、2世代前からのアルテグラクランクの構造についてです。
アルテグラクランクの種類
補足となりますが、種類についてもう少し見ていきましょう。
まず、6700系アルテグラについてですが、6700系の場合、ノーマルクランクとコンパクトクランクで型式が違います。
FC-6700がノーマルクランク(50-39T)とセミコンパクト(52-36T)で、FD-6750がコンパクトクランク(50-34T)ですね。
クランクは鍛造アルミ合金、チェーンリングはアルミ合金にて製造されています。
仕上げはアルマイト仕上げです。
次に、6800系アルテグラについてですが、材質及び仕上げは同じです。
ですが、6800系からは、全ての歯数(53-39T、52-36T、50-34T、46-36T)が、FC-6800で統一されています。
これはなぜかと言いますと、今までは歯数によってPCD(クランクとチェーンリングを固定するネジのピッチ)が違っていたのですが、FC-6800から統一されることになったからです。
これにより、チェーンリングを持っておけば、走るコースによって自分の好きなように交換することが出来るようになりました。
そして、今年発売されたR8000についてですが、大きな変更点はありません。
ただ、注意する点が一つあります。
それは、旧タイプのディレーラーとの互換性がないということです。
なぜなら、R8000クランクは見た目は変わりませんが、剛性確保のため、アウターチェーンリングが外側に0.4mmせり出しているからです。
以上が、2世代前からのアルテグラクランクの種類についてです。
次では、アルテグラクランクの重量について見てきましょう。
シマノの他グレードとアルテグラのクランク重量差は?
では、シマノ内での他グレードと、アルテグラのクランク重量について見ていきましょう。
下位グレードまで見ても仕方ないので、主にレースで使用されている現行11速までのグレードと比較していきます。
クランク長は170mmで統一します。
また、あくまで平均重量や古いグレードについては、実測値を引用しています。
まず、トップグレードである「デュラエース(DURA-ACE)」ですね。
・FC-7900(53-39T)は669g
・FC-7950(50-34T)は653g
・FC-9000(50-34T)は629g
・FC-R9100(50-34T)は609g
世代ごとに大きな差はありませんが、徐々に軽くなっていってますね。
2世代前からとなると、60gの差が出ています。
次に、セカンドグレードである「アルテグラ(ULTEGRA)」です。
・FC-6700(53-39T)は697g
・FC-6750(50-34T)は688g
・FC-6800(50-34T)は670g
・FC-R8000(50-34T)は674g
世代ごとの重量差はほとんどないですね。
最後に、11速内だと一番下位グレードである105です。
105の11速は5800系のみのため、今回はアルテグラとの比較ということもあり、FC-5800だけに焦点をあてます。
また、完成車として付属してくることの多いFC-RS500もここに組み込みます。
・FC-5800(50-34T)は752g
・FC-RS500(50-34T)は801g
この結果を見ると、デュラエースには敵いませんが、値段が倍くらいすることを考えると、アルテグラはコストパフォーマンスが高いですね。
カンパニョーロの同ランクグレードとのクランク重量差は?
カンパニョーロのグレードは上から、スーパーレコード・レコード・コーラス・アテナ・ケンタウル・ベローチェ・コンプとあります。
この中で、11速が採用されているのは、スーパーレコード・レコード・コーラス・アテナの4種類です。
スーパーレコードは、値段も立ち位置も同メーカー内最高なので、シマノでいうとデュラエース的存在と言えるため、比較対象から外します。
また、アテナは11速下位グレードということで、105的存在ということでこれも外します。
ということで中間の「レコード」「コーラス」と、「アルテグラ」を比べていきましょう。
アルテグラとの比較ですので、どちらも最新モデルの4アームクランクになってからの重量です。
レコードは665g、コーラスは707gとなっております。
最新の4アーム同士で比較するとレコードは-9g、コーラスは+33gとなっております。
同じ4アームですがデザインは全く違いますし、先ほど少し話にあがりましたPCDが全く違いますので、チェーンリングの流用等は出来ません。
BBは含めていませんが、シマノのBBは重めなので、BBも含めるともう少し重量差が出ますが、そこまで大きな重量差があるわけではないことが分かります。
スラムの同ランクグレードとのクランク重量差は?
スラムのグレードは上から、レッド・フォース・リヴァル・アペックスとあります。
最近では、フロントシングルのフォース1・リヴァル1というものもあります。
この中で、11速は採用されているのは、レッド・フォース・リヴァルの3種類です。
レッドは値段も立ち位置も同メーカー内で最も高いので、デュラエース的存在のため、比較対象から外します。
リヴァルも同様に、105的存在のため比較対象から外します。
ということで中間グレードの「フォース」を比較対象とします。
スラムはBB30用とGXP用と2種類のBB用にクランクを出していますので、どちらも記載します。
BB30用Forceは、685g(50-34T、170mm)
GXP用Forceは、702g(50-34T、170mm)
となっております。
アルテグラと比べるとBB30用で+11g、GXP用で+28gとなっております。
BB30はBB自体が軽量なため、BBを含めると、アルテグラとの重量差は逆転するでしょう。
また、カンパニョーロとスラムのこのグレードのクランクはカーボンクランクになっていますし、チェーンリング含め、見た目が全然違いますので一度見てみてください。
その他メーカーのクランクの重量
最後は、アルテグラではなく、その他のメーカーや、完成車に付属してくることの多いクランクの重量を見ていきましょう。
まずは、軽いクランクということで有名なLOOKの完成車に付属してくるZEDクランクです。
ここでは、ZED2をご紹介します。
ZED2クランクが、チェーンリングなしの状態で320gです。
例えば、これに、ストロングライトのチェーンリング(53-39T)をつけるとすると+120g程度なので440gです。
シマノのデュラエースのチェーンリングが50-34Tで+130gなので450g程度になります。
次に、キャノンデールの完成車に付属してくるHollowgram SiSL2ですが、これも軽いと有名ですね。
こちらは、チェーンリングも含めて556gとなります。
次は、使用している方が増えてきているRotor3DクランクとQリングの組み合わせです。
こちらがクランクセットとしての重量で714gとなります。
最後に、BB30完成車用クランクとしておなじみのFSA Gossamaです。
こちらは767gとなります。
4種類ほど並べてみましたが、軽量を謳っている2種類にはさすがに敵いませんが、決してアルテグラが重くないということは照明出来たのではないでしょうか。
アルテグラクランクの重量は決して重いわけではない
様々なクランクと重量を比べてみましたが、いかがでしたでしょうか。
重いと言われることの多いシマノクランクですが、実際に比べるとそうでもないことが分かります。
それにクランクは重量だけではなく、見た目・駆動剛性・変速性能など、人によってこだわる点が変わります。
重量差は小さなものですので、自分が気に入った一点を見つけていきましょう。