シマノ105クランクの各年代で外し方が違う

シマノ105は、ロードバイクの入門モデルに装着されている、最も需要の多いコンポーネントです。

各年代それぞれに特徴があり、動力伝達の最初の部分を担うクランク部は、年代とともにその形状や規格も変化してきました。

今回は、各年代におけるクランクと、ボトムブラケットの形状の変化と、その外し方についてご紹介します。

シマノのクランクとBBの規格の変化と種類

昔のクランクは、クランク軸がBBと一体式になっていました。
そのため、クランクを外して交換する時は、BBも一緒に交換する必要がありました。

しかし、クランクとボトムブラケット(BB)の形状は、時の流れとともに変化し、精度や剛性が増してきました。

今では、シマノのクランクとBBの形状は3種類存在し、クランクの外し方も3種類あります。

そして、グレードも幾つか用意されてます。

・デュラエース
・アルテグラ
・105
・ティアグラ
・ソラ

こちらがロードバイクで代表されるグレードです。

今だからこそグレードがいくつも存在しますが、昔はこのように種類が豊富ではありませんでした。
試作品からスタートし、実践と経験により性能が向上し、グレードを増やしていったのです。

また、上位グレードのものが更に性能アップしたら、下のグレードに現状の型を採用することがあります。
このようにして、年々全てのグレードの性能が向上してきているのです。

話が逸れてしまいましたが、BBの形状について話を戻します。

昔は、スクエアテーパーと呼ばれているBBを採用しており、形状はBB軸が四角くでした。

その次に発表されたのが、オクタリンクというBBで、BB軸が8つのセレーション〈直線状の突起〉が付いたものです。

そして、現在使用されているのがホローテック2で、右クランク軸がクランクと一体式になり、BBの中心を貫通する形で装着されるものです。

また、BBはフレームのシェル幅が2サイズあります。
この2サイズそれぞれにネジ山のサイズが決まっています。

シェル幅が68ミリなのがISO規格です。
右側のネジ山が逆ネジで切っているため、反時計回りに回すと締まります。

シェル幅が70ミリなのがイタリアン規格です。
右側も左側も時計回りに回すと締まる、正ネジになっています。

105クランクとBBがオクタリンクの外し方

オクタリンクとは、先程もお伝えしたとおり、クランクとBB軸のの嵌合部のセレーションが8個あるタイプの事です。

105コンポーネントが9速だった頃の物です。

このオクタリングの場合のクランクとBBの外し方をご説明していきます。

まずは、下記の工具を用意します。

・8ミリアーレンキー
・コッタレス抜き工具
・BBツール

次からクランクの外し方です。

まず、クランクボルトを8ミリアーレンキーで外します。
ボルトはどちら側も正ネジなので、反時計回りに回せば外れます。

次に左クランクのBB軸のボルトの穴に、付属のアダプターを装着します。

あとは、コッタレス抜き工具をクランクに装着し、時計回りに回していくとクランクが外れてきます。

そして、チェーンをBB側に外します。
右クランク及び、チェーンリングを左クランクと同じ外し方で外します。

クランクが外せたら、BBを外します。

工具は、外側にギザギザの付いたソケット型のレンチ〈BBツール〉を使います。

最初に、左側からBBツールを左ワンにセットし、反時計回りに力を入れて回し外していきます。
右ワンは、BBシェルのサイズによって、ネジの切り方が違っているので注意が必要です。

シェル幅が68ミリの場合は、逆ネジになっているので、時計回りに回すと外れます。
シェル幅が70ミリの場合は、正ネジなので反時計回りに回すと外れます。

現行の105クランク、ホローテック2の外し方

ホローテック2は、現行の105クランクに採用しています。

ここでは、この現行モデルであるホローテック2の外し方をご説明していきます。

必要な工具は、下記になります。

・5ミリアーレンキー
・専用工具のTL-FC16クランクボルト取り外し工具
・マイナスドライバー
・ゴムハンマー

それでは、外し方に入ります。

まずは、左クランクのクランクボルトを5ミリアーレンキーで緩めます。
ここで、脱落防止爪をマイナスドライバーで起こします。

次にTL-FC16でクランクボルトを反時計回りに緩め、外します。

左クランクは、根元に力が入るようにして引っ張ると抜けます。
右クランクは、チェーンリングにチェーンが掛かっているので、まずチェーンをBB側に落とします。

右クランクとチェーンリングセットは、クランク軸がBBを貫通する形で装着されています。
左側からクランク軸をゴムハンマーで軽くたたくと、引き抜きやすくなります。

これで右側のクランクも外れます。

次はホローテック2のBBのことについて話していきます。

105のBB、ホローテック2の外し方と装着方法

BBがすでに、ホローテック2対応になっている時は、外す必要がないのでそのまま使うか、またはクランクとBBを上位のグレードにするのなら外すことになります。

ホローテック2対応のBBは、固定しているワンの外径サイズが、グレードによって3種類存在します。

一番上位のデュラエースは一番小さいサイズで、アルテグラと105が中間のサイズ、それ以下のコンポのBBは一番大きいサイズになります。

そのため、工具のサイズも3種類あります。
外すBBと交換するBBが違うサイズだと、2種類のBB工具が必要ですが、外し方は共通です。

105は、アルテグラとBB固定部のワンが同じサイズです。
工具は、下記を組み合わせて使います。

・付属アダプターTL-FC25
・ホローテック2用の工具

デュラエースに変える場合は、下記の工具を組み合わせて使います。

・付属アダプターTL-FC24
・通常のホローテック2用の工具

いずれのサイズも専用のサイズの工具があるので、アダプターを使わないで専用サイズを使った方が、力が入れやすく、より確実に付け外しができます。

また、BBシェルサイズによって2種類のねじサイズがあるので、右ワンを付け外す時は、回転方向に注意が必要です。

クランクとBBがスクエアテーパーのときの外し方

これまでの話で、105のクランクの外し方がわかったかと思います。

そこで105以外で採用していることのあるスクエアテーパータイプの外し方をご説明していきます。
このタイプには、2種類のBBがありますが、クランクの外し方は一緒です。

始めに、クランク軸の外側にあるキャップを外します。
ネジ式のものと、プラスチックのはめるだけのキャップが付いているものとがあるようです。

はめるだけのものは、マイナスドライバーで引っ掛けて外します。

ネジ式の物は、「TL-FC21」という専用工具で、キャップ表面の2つの小さい穴に、工具の2つの爪を挿し込んで反時計回りで外します。

外れたら14ミリのボックスレンチを使って、両側のクランク固定ボルトを反時計回りに緩め外します。

緩めたら今度は、クランクコッタレス抜き工具「TL-FC10」、という工具を使い抜いていきます。

左クランクにコッタレス抜きのネジが切ってある方を、キャップがはまっていた所に時計回りに捻じ込みセットします。

外側の押し出しボルトをモンキーレンチで時計回りに回していくと、中の軸がBBの軸を押し出してクランクが外れます。

外したら、コッタレス抜きをクランクから外します。
右クランクも左と同様に、時計回りに回すと外せます。

また、スクエアテーパーのBBは、2種類存在します。

1つはカップアンドコーンタイプで、もう1つはカートリッジタイプです。
いずれも過去のBBで、それぞれ工具も違います。

カップアンドコーンタイプは、「フックレンチ」や「ピンスパナ」、「右ワン回し」など、新しいものに変えてしまったら、使う頻度の少ない工具が必要になります。

工具を購入すると工具が無駄になるので、このタイプのBBを外す時は、ショップにお願いすることをおすすめします。

また、カートリッジタイプのBBは、BBツールという外側にギザギザの付いたソケットタイプの工具を使って外します。

右ワンを外す時は、前述のBBシェルのタイプを見分けて、気を付けて外して下さい。

105クランクをグレードアップして交換

様々な種類のクランクの外し方をご説明してきました。

そこで折角交換するのであれば、より良いものにクランクをグレードアップしてみるのもおすすめです。
グレードアップすることで、サイズの種類も豊富になるので、サイズに悩んでいる方にもおすすめできます。

ここでは、105クランクをグレードアップさせるときに焦点を当てて話をしていきましょう。

105のクランクは、4種類のサイズから選択できます。

サイズは165ミリ、170ミリ、172.5ミリ、175ミリの4種類です。
また、この4種類以外のクランクサイズがあるグレードは、デュラエースになります。

そして、ここでデュラエースに交換する場合、注意があります。

クランクとBBの付け方と外し方は、105と一緒ですが、BBの外径が小さいです。
そのため、それに合った工具が必要になってきます。

しかし、この工具があれば交換することができるでしょう。

また、デュラエースには上述の4種類の他、167.5と177.5と180という全部で7種類のクランクサイズが揃っています。

加えて、今話題のパワーメーター一体式の、クランクセットまであります。

パワーメーター一体式の場合、クランク単体の7種類と、チェーリングとセットの物があります。

セット物は、50×34Tと52×36T、加えて53×39Tに、170ミリと172.5ミリ、さらに175ミリの組み合わせを選べます。

このように選べる幅が広がります。

さらに105クランクに比べて、素材の剛性が高く、軽量で耐久性も上がります。
そのため、走りの違いが分かる人には分かります。

グレードアップすることで、確実に速くなるとは言い切れませんが、試してみるのも面白いでしょう。

105クランクは3種類の外し方がある

105クランクを外す場合に、まず年式が何かによって形状が3種類あることが理解できたと思います。

また、それに従って、使用工具と外し方も大きく3種類、いや4種類あることが分かりました。

外す目的が整備なのか、グレードアップなのか、または、同じグレードでサイズ変更なのかを確実に決めて失敗しないようにしましょう。

そして、今付いているクランク、さらに、これから付けるクランクとBBに合った工具を使用して下さい。

どの機種のBBを外す時も、工場組み立ての完成車の場合、緩まないように接着剤をつけて固定している場合があります。

部品を壊してしまい、外せなくなる恐れもあります。

どうしても自分で外せない場合はショップにお願いしましょう。