ボスフリーは後輪のギアの歯車のことで、カセットスプロケットが主流になる前のパーツです。
カセットはハブのフリーボディにスプロケットを取り付けますが、ボスフリーはハブの軸に、そのままねじ込みます。
現在ボスフリーは、ほぼ7速までしか見かけませんが、海外の通販サイトなどで、8速用を販売しているという話もあります。
そこで今回は、少し懐かしい感じもある、ボスフリーについてお話したいと思います。
リアギアはボスフリーからカセット式にシフト
日本でスプロケットと言えば、シマノということになると思いますが、現状では8速以上は全てカセット式です。
7速にもカセットは存在しますが、8速以上のボスフリーは、少なくともシマノにはありません。
以前は変速機の構造上、あまり大きな歯数のものが付けられませんでした。
少し調べてみました。
1970年代後半から1980年代の初頭に出回っていた初期のシマノ・デュラエースのボスフリーは、13-14-15-16-17-18Tの6段変速で、現在ではありえない、超クロスレシオな構成になっています。
フロントギアの構成は分かりませんが、重いギアを力づくで回すのが、かっこいいという風潮もあったようです。
最近では軽量化と多段化が進んでいるので、カセット式も分解が難しくなったりしていて、以前ほどのメリットはないです。
しかし、代替え品もないので、ほとんどのスポーツ自転車のリアギアは、カセットスプロケットです。
ボスフリーは今でも、安価なシティサイクルなどには見られるようですが、ハブの構造が違うので、フリーハブのホイールに取り付けることはできません。
ボスフリーとカセット式の違い
全てとまでは言えませんが、リア8速以上の自転車は、基本的にカセットスプロケットを使用していますので、6速・7速はボスフリーということになります。
両者の違いはハブの違いがあるだけで、スプロケット自体は同じなので、グレードが違わなければ、変速性能に差はありません。
ただ、現状では、8速以上のボスフリーがないので、比較のしようがありません。
ホイールをフリーボディのものに交換したいという需要はあると思うので、ハブの違いは説明しておきましょう。
スプロケットとフリーボディが一体化しているのがボスフリーですが、全盛時にシマノが、ハブにフリーボディを取り付ける方式を生み出しました。
フリーハブにスプロケットを取り付ける方法が、フリーボディに設けられた溝にスプロケットの溝を合わせて入れることが、カセットテープに似ていたことから、カセットと呼ばれるようになりました。
ボスフリーでも8速までは対応できる
ハブにフリーボディが取り付けてあることのメリットは、フリーボディの先端にべアリングを持ってこれるので、左右のベアリングの幅が広がり、ホイールのバランスが良くなることが挙げられます。
また、シャフトの剛性を高めることができるので、ハブの性能だけを見れば、現在のホイールの方が上とは言えそうです。
ただ、簡単にホイールの交換とは言っても、ホイールは高価です。
6速や7速の現状に満足しているのなら、交換の必要はないと思います。
また、6速のボスフリーの自転車を、8速に換装したという人もいますので、8速まではギアを増やすことはできそうです。
ただ、その場合はシフターの交換が必要ですし、チェーンラインが出ない可能性があるので、BB(ボトムブラケット)も確認が必要だと思います。
さて8速用のボスフリーですが、冒頭でもお話しました通り、シマノには取り扱いがありません。
そして、日本の通販サイトには、8速用のもの自体が見当たりません。
しかし、何とか8速のボスフリーを探してみましたので、次項でご紹介します。
8速用のボスフリースプロケット
8速用のボスフリースプロケットは、本当に希少のようで、中々見つかりませんでした。
ようやく、台湾のDNPというメーカーに8速用のボスフリーが見つかりました。
必要かどうかは別ですが、9速用もあります。
どんなものにでも先駆者はいるので、すでに使ってみた方がインプレをしていますが、変速性能やフリーのラチェット機構を酷評するものばかりでした。
また、シマノ互換と謳ってあるので取り付けは問題ないですが、リアディレイラーやチェーンとの互換性までは分からないです。
細かい調整や、最悪、使えないことも覚悟しておいた方が良いでしょう。
ギア構成は11-32Tと11-34Tがあり、共に3,000円前後となっています。
台湾のサイクルショップのホームページで販売されているものなので、割引率が分かりませんが、この値段だとシマノのロード用の8速カセットの方が安いので、なんか腑に落ちない感じです。
カセット化はホイール交換を伴うので、気軽に推奨することができないのは分かっていますが、本気でリアの多段化を考えるなら、ホイール交換も視野に入れた方が良さそうです。
ボスフリーでのリア8速化
さて、6速や7速の自転車はボスフリー式のスプロケットである可能性が高いですが、これをボスフリーのままで8速用に交換するカスタマイズを考えてみましょう。
先述した8速用のボスフリーを使用しますが、まずは現状のスプロケットを外すための工具が必要です。
これは「ボス抜き工具」で検索すれば、すぐに出てきます。
また、DNPのスプロケットはワイドレシオなので、ロングゲージのリアディレイラーを使用する必要があります。
そのため、現在のスプロケットがクロスレシオの場合は、リアディレイラーも交換になります。
また、シフターも8速用に交換する必要があります。
おすすめはラピットファイヤー式のもので、カチッと正確にシフトチェンジできるようになると思います。
チェーンはシマノの場合、6・7・8速用が一緒なので、交換の必要はないと思います。
ですが、さらに細い9速用を使ったほうが、DNPのボスフリーは上手く作動させられたとの報告もあります。
ただ、チェーンは一般的に変速段数が上がると耐久性が下がるので、かなり距離を乗るような人は、6・7・8速用が良いでしょう。
とりあえず、これだけ交換すれば、リアの8速化は果たせます。
カスタマイズは広がるもの
現状の自転車をボスフリーで8速するカスタマイズをご紹介しました。
仮に、スプロケット・ディレイラー・シフターだけの交換で済めば、ボス抜き工具も含めて、費用は約9,000円~10,000円になると思います。
リア8速化というだけで良ければ、驚くほどの予算ではないということですね。
ところが、これに伴って、ギア比を上げてスピードを出したいと思えば、クランクセットやフロントディレイラーを交換することになります。
さらにドロップハンドルにするとなれば、ブレーキシフト一体型のデュアルコントロールレバーの導入まで視野に入ってきます。
あとは、カセットスプロケットを使用したいとなれば、ホイールの交換まで必要になります。
そして、ホイールを換えたんだから、ついでにタイヤもなんてことにもなるでしょう。
自転車は、いじり出したらキリがなくなる乗り物です。
最初に買ったときの本体価格を改造費が上回るなんてことは、ざらにありますので、その辺りをどう折り合わせていくかが大切です。
愛着なども湧いてきますので、単純な問題ではないですが、厳しく言ってしまうと、その自転車に改造費に見合うだけの価値があるかどうかを見極めるということになります。
完成車はスプロケットにも注意しましょう
今回は、ボスフリーについてお話してきましたが、自分のイメージよりは過去の遺物というわけでもなく、活躍の場がまだあるなという感じでした。
ただ、いかんせん取扱いが少ないので、選択の余地があまりありません。
特に小径車にはボスフリーが多いようなので、完成車を購入するときに、スプロケットも気にしてみると良いと思います。