クロスバイクが街乗り仕様であることは確かですが、走行性能には、もっと多くのポテンシャルが秘められています。
ロードバイクの良さも取り入れているので、長い距離を走るいわゆるツーリング仕様にすることもできるはずです。
そこで今回は、クロスバイクのツーリング仕様について考えてみたいと思います。
ツーリング仕様とは
まず、ツーリング仕様がどんなものなのかを知るために、ツーリングバイクと呼ばれている車種についてお話します。
ツーリングバイクの走りでもある「ランドナー」は、フランス語で小旅行という意味があり、2泊3日程度の旅行を自転車で行うのをコンセプトに設計されたものでした。
ドロップハンドルにダイヤモンドフレームなので、見た目にはロードバイクです。
しかし、28C以上の太めのタイヤにカンチブレーキという組み合わせは、現代のロードバイクには見られません。
また、フレーム素材も丈夫で耐久性に優れている点から、伝統的にクロモリが使用されています。
コンポは、ロード用が6割、MTB用が4割といったところです。
ホイールは、何かトラブルがあったときの汎用性も考えられ、ロードの700CやMTBの26インチが多く採用されています。
さらには、ツーリングで長時間の走行が想定されているので、ロードバイクに比べ、アップライドな姿勢になるジオメトリになっています。
そして、旅行用ということで機能性が加味されており、前後にキャリア・泥除け・ヘッドランプ・スタンドなどが標準装備されます。
ざっと特徴を挙げましたが、クロスバイクをどうやって、これに近付けていくかが今回のテーマです。
ツーリング仕様でも現状のままで良いもの
さて、クロスバイクをツーリング仕様にする話を進めていきますが、いくつかは今のスペックのままで良いものがあります。
まず、タイヤですが、一般的なクロスバイクは700×28Cを採用しています。
32Cや35Cも見かけますが、これ以上、太くする必要もないと思います。
また、ブレーキも交換の必要はないでしょう。
クロスの主流であるVブレーキは、もともと悪路を想定していますし、ディスクブレーキなら、なおさらです。
問題はハンドルですね。
ツーリング仕様にするなら、ドロップハンドルがベターであると思うのですが、クロスバイクのドロップハンドル化は、昔から賛否両論が入り乱れる、永遠のテーマです。
とにかく、ドロップハンドル化は色々なパーツの互換性も気にする必要があるので、大いに費用も手間も掛かります。
そのため、今回は別の箇所をツーリング仕様にすることを優先したいので、あえてハンドルはドロップハンドル化しないカスタムにいたします。
クロスバイクのツーリング仕様に必要な性能①
さて、ツーリング仕様にする上で一番に大切なのは、乗り心地ということになるでしょう。
長時間走行するには、やはり疲れにくくすることが重要なので、乗り心地を良くすることが基本になります。
クロスバイクは、もともとがアップライドな姿勢で乗車する設計ですから、そこはクリアしています。
となると、乗り心地の面で考える必要があるのは、地面からの衝撃吸収ということです。
主に、ハンドル周りとサドル周りに衝撃吸収対策を施していきましょう。
まず、ハンドルから手に伝わってくる衝撃は、フロントフォークで抑えます。
ロードバイクでもクロスバイクでも、フレームはアルミでフォークだけカーボンという組み合わせが多くあるように、衝撃吸収の効果は高いです。
フォークはわりと低価格でも効果が高いので、カーボンフォークに交換しましょう。
ハンドルの握る場所に付けるグリップも、衝撃吸収の役目があります。
握る面の幅が広いと衝撃吸収性が高くなるので、そういったタイプを選ぶと良いでしょう。
次にサドルですが、ここは座面のクッション性が高いものを選びましょう。
衝撃吸収と謳ってあるものでも、薄くてペラペラしたサドルもあるので、できれば肉厚なものを選んでください。
クロスバイクのツーリング仕様に必要な性能②
ツーリングというと、個人的には信号のない平坦な直線道路を、速いスピードで走るというイメージがあります。
クロスバイクは、ロードバイクとMTBの中間に位置付けにはなりますが、どちらかと言えば、MTBに近いスペックです。
そのため、スピードというよりは安定感や力強さがあります。
したがって、スピード感のあるツーリングをイメージしている人には、スピード面に物足りなさがあるかもしれません。
スピードを上げるカスタマイズは、ロードバイクならフレームやホイールの交換が手っ取り早いですが、クロスバイクは現実的ではありません。
軽量化してもスピードアップになりますが、ツーリング仕様とは真逆の発想ですから、今回のカスタマイズにはそぐわないです。
となると、残るスピード化は、ギア比を変更することです。
クロスバイクのリアギアは何速であっても、トップギアは11Tか12Tが付いているので、いじる必要はないと思いますが、フロントが少し軽すぎます。
今はロードバイク並みのチェーンリング(フロントギアの歯車)を採用している車種もありますが、多いのは3速で28-38-48とか、MTB並みの22-32-42などです。
これを歯数の多い重いギアにして、スピード化を図りたいですね。
重くすることに不安があるかもしれませんが、クロスバイクはリアに28T・32Tという軽いギアを装備していることが多いので、軽さはリアに任せても大丈夫です。
ロードバイク用のコンパクトクランク50-34Tなら、スピード化も図れますし、違和感もさほどなく、スムーズに慣れていけると思います。
クロスバイクのツーリング仕様に必要なパーツ①
ここまでは、クロスバイクの性能をツーリング仕様にするためのカスタマイズを中心に考えてきました。
ここからは機能面を考えて、後付けしていくパーツに付いて説明したいと思います。
まず、ツーリングは荷物を運ぶ必要がありますから、キャリア(荷台)が必要不可欠です。
フロントキャリアは、前かごを付けるのをイメージしてもらえば分かりやすいかもしれませんが、そこにフロントバッグなどを固定します。
リアキャリアは、よくチャイルドシートを後ろに積んでいるママチャリがあると思いますが、あのように後輪に設置します。
さらに、ツーリングで絶対に見落としてはいけないのが、スタンドです。
当たり前と言われれば、それまでですが。
もし付け忘れたときは常に何かに寄り掛からせるか、自転車を寝かしておくことになるわけですから、その必要性は明らかです。
ほとんどのクロスバイクには標準装備されていませんので、後付けします。
クロスバイクのツーリング仕様に必要なパーツ②
さらに、ツーリング仕様には泥除けも必要です。
クロスバイクなどのスポーツ自転車には、最初から付いている車種はほとんどありません。
ツーリングとなれば、突然の雨は十分に想定できますし、路面状況が悪い場所も当然あるので、泥除けは必需品とも言えるでしょう。
輪行を考えると、ワンタッチで脱着が可能なタイプにしたいところですが、タイヤを広範囲で覆うタイプは固定方式が多いです。
ヘッドライトやベルは装備せずに公道を走ると、道路交通法違反なので付いていると思いますが、特にライトはツーリングの場合は、長めに点灯するものにしなければなりません。
ハブダイナモでオールライト化する手もありますが、これは手間と費用が掛かり過ぎますので、とてもおすすめできません。
充電式のREDライトで十分な明るさ(200~300ルーメン)で5~6時間連続で点灯が可能であれば、ツーリングに使えると思います。
しかし、常に充電が可能な場所に宿泊できるとは限らないので、できれば乾電池式のものと併用したいところです。
クロスバイクのポテンシャルを引き出せるかも!
今回は、クロスバイクをツーリング仕様にすることを考えてみました。
個人的には、あまり考えたことがなかったテーマだったので、新鮮な驚きもありました。
また、カスタマイズを考える内に、クロスバイクの潜在能力を、もっと引き出せるのではないかと思うようになりました。
用途は人それぞれ違うので、その用途にあったカスタマイズをしたいものです。