普段の移動に自転車を使っていらっしゃる方は多いことと思います。
そんな自転車を、より安全に乗るためにかかせない機能の1つに「ブレーキ」があります。
今回は、ブレーキをする際に大切な部分とも言える「後輪ブレーキ」の種類や修理、交換についてご紹介していきます。
普段は意識しないブレーキについて、この機会に知っておくと良いのではないでしょうか。
自転車の後輪ブレーキ「バンドブレーキ」とは?
自転車の後輪ブレーキはおおまかに分けて3つあるのですが、まずは、その中の「バンドブレーキ」についてご説明します。
実はこの「バンドブレーキ」は、1928年に唐沢製作所という日本の会社が開発、実用した物で、開発当初は特許技術として認定されていました。
その構造としては、車輪のハブに設置された円筒形のブレーキドラムを、鋼鉄製の帯に摩擦材が貼られたバンドで囲むようにできています。
ブレーキを握ると、ブレーキのインナーワイヤーを通してブレーキバンドがドラムに撒き付き、その摩擦で制動する作りとなっています。
ブレーキバンドとバンドを締める機構は、金属製の部品で組み込まれていて、これがブレーキ全体を覆い隠すカバーとなっています。
バンドブレーキは、基本的に前進方向へのブレーキ性能は高いのですが、これはセルフサーボと呼ばれる自己増力作用があるためです。
そのかわり、後ろ方向への制動力は弱めになっています。
また、後輪ブレーキをかけた時に大きな摩擦音がする場合、このバンドブレーキの劣化が原因であるケースが多いです。
では、次はバンドブレーキの修理や交換についてご紹介します。
バンドブレーキは修理する?それとも交換する?
自転車の後輪ブレーキの故障と言えば、ブレーキング時の大きな音でお悩みの方が多いのではないでしょうか?
バンドブレーキはその構造上、ブレーキングの時に摩擦音が起きやすいです。
バンドブレーキの摩擦音の原因は、バンド状のブレーキシューの磨耗や、ゴミなどの異物の混入です。
つまり、それらを取り除いてあげれば、あの不快な音は無くなるわけです。
しかし、実はバンドブレーキのメンテナンスは、ブレーキングの機構そのものを分解する必要があるため、そこそこの手間と時間がかかってしまいます。
そこで、家庭にある物で簡単にメンテナンスできる方法をご紹介します。
用意する物は、液体クレンザーです。
このクレンザーをスポイトなどで、バンド状のブレーキシューと、ドラムの接触面に何点か流し込んでみて下さい。
その後、軽くブレーキを利かせながら車輪を回し、徐々に馴染ませていきます。
さらに、試し乗りをし、何度かブレーキを試すと、音が軽減されていると思います。
注意する点としては、多少ブレーキの利きが悪くなる可能性があるということでしょうか。
では、メンテナンスや修理ではなく、ブレーキそのものの交換はどうでしょうか?
交換そのものは、自転車屋さんでお願いするのが確実だと思いますが、ここでおすすめしたいのが、同じ「バンドブレーキ」の交換ではなく、「サーボブレーキ」への換装です。
次は、その「サーボブレーキ」に関してご紹介していきます。
自転車の後輪ブレーキ「サーボブレーキ」とは?
前述のバンドブレーキ使用時の摩擦音ですが、対処をすれば、ある程度の軽減が可能ではありますが、結局のところ一時凌ぎの域を出ないのが現実です。
そこで、根本的な解決方法の1つとして、「サーボブレーキ」への交換という方法があります。
「サーボブレーキ」とは、バンドブレーキの欠点を改良した物で、ブレーキドラムの内側からブレーキシューが広がり、ドラムを押さえてブレーキングする機構となっています。
内格式のドラムブレーキに属し、最大の特徴として、バンドブレーキのような摩擦音が鳴り難い作りとなっています。
また、バンドブレーキとの互換性があり、そのため、バンドブレーキからの交換がそのまま可能となっています。
自転車の後輪ブレーキとしては、バンドブレーキよりも高性能であるため、修理以外の選択肢として、上ではサーボブレーキへの交換をおすすめしました。
ドラムブレーキにはいくつかの種類がありますが、自転車用のサーボブレーキはユニサーボ方式となっており、これがそのまま名称の由来となっています。
では、次はサーボブレーキの調子が悪い場合の対処や、微調整についてご紹介します。
何もしてないのに急ブレーキ!?サーボブレーキの故障を修理
サーボブレーキは、自転車の後輪ブレーキとしてはバンドブレーキと違い、摩擦音に関する故障はほとんどありません。
しかし、サーボブレーキも使い続けていると、やはり故障と思われる症状は出てくるのです。
では、その症状の1つをご紹介します。
自転車で走行している途中、何もしていないのに、急にブレーキングがかかるというケースがあります。
走行中に突然「後ろに引っ張られる」、もしくは「後ろに人が乗る」ような感覚がします。
これは、サーボブレーキのブレーキシューが、長期間の使用による磨耗で起こる現象です。
ドラムとの摩擦で減った部分と、ドラムと摩擦しない部分で段差が出てくるため、段差が原因となって、ブレーキング時のブレーキシューの戻りが悪くなり、起こってしまいます。
これを解消するには、サーボブレーキを分解し、中のブレーキシューの段差を無くすように削るという方法があります。
しかし、これらの修理はブレーキの分解などが必要となるため、慣れない方は自転車屋さんなどでお願いした方が確実です。
次からは、「バンドブレーキ」「サーボブレーキ」から続く、最後の3つ目のブレーキについてご紹介します。
自転車の後輪ブレーキ「ローラーブレーキ」とは?
ここまで、「バンドブレーキ」と「サーボブレーキ」についてご紹介してきましたが、いよいよ第3のブレーキ「ローラーブレーキ」のご紹介です。
ローラーブレーキは、ブレーキドラムの内側からブレーキシューを押し付けて、ブレーキングする機構になっています。
一見サーボブレーキと同じように思えるかもしれませんが、ローラーブレーキはサーボブレーキと違い、専用グリスが詰まった密閉されたケースの中で、3個のブレーキシューで制動する仕組みとなっています。
また、バンドブレーキは、バンドの磨耗で摩擦音が鳴るようになりますが、ローラーブレーキには磨耗部品が無いため、10年経っても使えるブレーキです。
ただ、急制動には向いておらず、急ブレーキ操作の際は、他のブレーキに比べ、効きが弱いという意見もあります。
ですが、普通に使う分には特に問題の無い、高性能のブレーキと言えるでしょう。
近年では、主にシティサイクル、つまりママチャリなどで、従来のサーボブレーキの代わりとして、上級モデルでの採用が広がっています。
自転車の後輪ブレーキとして、申し分の無い性能のローラーブレーキではありますが、それでも修理やメンテナンスが必要な場面はあります。
次は、それらのご紹介をしていきます。
高性能でも修理は必要!ローラーブレーキの場合の対処とは?
実は、ローラーブレーキも、経年劣化での音鳴りが発生するケースがあります。
構造としては、バンドブレーキのような摩擦音は鳴らない仕組みではありますが、ブレーキケースの中のグリスが無くなると、異音が鳴るようになってきます。
これは、雨の中での走行や、ブレーキ時の熱などが重なり、徐々にグリスが減っていくためです。
ブレーキの商品によっては、放熱ディスクが付属しているもありますが、ごく1部と考えて良いでしょう。
では、このローラーブレーキの修理には、どんな技術が必要となるのでしょうか?
実は、専用グリスを補充するだけです。
このメンテナンスの手軽さも、ローラーブレーキの魅力の1つとなっています。
専用のグリスは、主に100g入りと10g入りがあり、自転車1台分であれば、10gの購入で事足りるでしょう。
将来的に、ローラーブレーキのメンテナンスを自分で継続して行うのであれば、100g入りの購入を検討するのも良いと思います。
こまめなメンテナンスは、後輪ブレーキのみならず、自転車全体をより長く快適に使用するために、非常に有効なので是非おすすめいたします。
結果、故障も少なくなり、修理の回数も減っていくことにも繋がります。
こまめな修理と適切な交換!後輪ブレーキと長く付き合おう
3つの後輪ブレーキについてご紹介してきましたが、今現在ご使用の自転車の後輪ブレーキに合わせて、長く使うための修理や交換の参考となったでしょうか?
故障したブレーキを新しくしたり、種類の違う別のブレーキに交換するのも良いですし、より長く使うために、ご自分で修理やメンテナンスするのも、自転車への愛着が増して良いものですよね。