クランクとチェーンリングとボトムブラケットはコンポ3大メーカーだけでなく、いろいろなメーカーで発売されています。
現行のものだけでも相当な種類があります。
それに加えて過去の物となると、かなりの種類になります。
今回はチェーンリングを交換すときに絞って、必要な工具は何かを検証します。
チェーンリングを交換しようと考える様々な理由
チェーンリングを交換しようと考える理由は様々です。
まず第一に、チェーンリングが摩耗して交換しなければならない場合とチェーンリングのサイズを変えたい場合です。
この場合は、チェーンリングを交換する工具のみ用意すれば良いです。
第二に、チェーンリングと一緒にクランクも変えたい場合です。
この場合は、チェーンリング交換の工具に加え、クランクを外す工具も必要になります。
第三に、使っているコンポーネントをグレードアップしたり、メーカーを変えたい場合です。
この場合、年式やメーカーによってシステムが違うコンポを使うときもあるので、チェーンリング交換の工具とクランク交換の工具、さらにコンポ全体を交換する工具も必要になってきます。
第四に、チェーンリングを別のメーカーに交換したい場合です。
こちらは、第一のときに同一メーカーか、または別のメーカーか、の違いです。
取付けボルトがそのまま使える場合と、交換するメーカー専用のボルトがある場合とがあるので、注意が必要です。
いずれの場合もスプロケットの段数にチェーンリングの段数を合わせること、クランクアームの数と取付ボルト位置の直径〈PCD)が同一の物を使用することに注意してください。
チェーンリングの交換は年式別にも注意しよう
先程の項で、チェーンリングの交換をするにも、そのときそのときで使用する工具が違うことが分かりました。
しかし、ロードバイク用のクランクアームとチェーンリングは、「年式」によっての結合部のサイズや形式が変化していることがあります。
そのため、工具だけではなく、チェーンリングにも注意しましょう。
シマノの場合、5本クランクアームから4本クランクアームへと年を経て変化しています。
そのため、チェーンリング取付ボルトの位置と数に違いがあります。
また、同じ5本アームクランクでも、PCDが110と130の2種類が存在します。
この違いにも気をつける必要があるでしょう。
そして、この他にも、5本アームのときはクランクをBBから外さずにチェーンリングを交換できました。
しかし、4本アームは取付ボルトがチェーンリングの裏側にあるため、クランクアームを外さないとチェーンリングの交換が難しくなっています。
このようにシマノのクランクアームは、年式によっても形状が異なっていることがあるのです。
また、カンパの場合もサイズが各種存在し、5アームにはPCDが135と110が存在します。
ここで、シマノとカンパのPCDが「110」と同じ数値のものが出てきましたね。
しかし、シマノの110とは取付ボルトの位置が合いません。
このように数値が一緒だからと、必ずしも取り付けられるわけではないのです。
ここでご説明したとおり、交換する際は工具だけでなく、チェーンリング自体にも気をつける必要があります。
チェーンリングのみ交換するときの工具
まず、シマノの5本アームクランクのチェーンリング交換ですが、取付ボルトが表面に露出しているのでBBから外さなくてもチェーンリングは交換できます。
PCDが2種類あるのでそれぞれに合った物を交換してください。
取付ボルトは雄雌合せてチェーンリングの両側から締めるものになっています。
年式によってボルトの穴が6角形の物と星形の物があり、それぞれ工具も別の物が必要です。
6角穴のときは表側は「5ミリ6角レンチ」、裏側は「ペグスパナ」、星形の穴のときは表側が「T30トルクスレンチ」で裏側は「ペグスパナ」が必要です。
次にシマノのホローテック2/4本アームクランクのチェーリングの交換です。
取付ボルトがチェーンリングの裏側に隠れているので、クランクアームをBBから外す必要があります。
工具は、「5ミリ6角レンチ」、「T30トルクスレンチ」、「専用工具TL-FC16クランクボルト取り外し工具」が必要です。
カンパの5アームの場合も、シマノと基本構造は同じなので使用工具は一緒です。
しかし、取付ネジの位置が一本だけクランクの裏に隠れているモデルもあるので、そのときは裏側からの作業が必要になります。
この場合の工具は、「5ミリ6角レンチ」か「トルクスレンチ」と「ペグスパナ」、場合により「ボックス型空転止めスパナ」が必要です。
そして、カンパの4本アームは、シマノ同様チェーンリングの裏側に取付ボルトがあるので、BBからクランクを外さないと交換が難しくなります。
使用工具もチェーンリングを外すだけなら「トルクレンチ」のみでできますが、クランクをBBから外したいのでクランクを外す工具も必要になります。
また、グレードによってクランク軸のBBへの取り付け方法が異なるため、それぞれ違う工具を用意しなければなりません。
このように工具は、工程によって扱うものが変わってくるのです。
クランクをチェーンリングと一緒に交換するときの工具
それでは、コンポを変えずにチェーンリングと一緒にクランクも交換したい場合の工具についてお話しをしていきます。
この場合、別途でクランクをBBから外す工具が必要です。
クランクを外すには、BBとの取り付け方によって工具が違います。
まず、シマノのBBの軸が、
・スクエアテーパー(軸が四角いもの)
・オクタリンク(軸が星形で出っ張りが8個の物)
・ISIS(軸が星形で出っ張りが10個または12個の物)
これらについては、共通して「コッタレスクランク抜き工具」を使用します。
また、スクエアテーパーについては、別途クランクボルトカバーを外す「ペグスパナ」か「カニ目スパナ」、クランクボルトを外す「14ミリボックスレンチ」が必要です。
そして、シマノのオクタリンクについては、クランクボルトを外す「8ミリか10ミリ6角レンチ」と「コッタレスクランク抜き工具のアダプター」が必要です。
さらに、シマノのホローテック2については、前項にも書きましたが、「5ミリ6角レンチ」と「T30トルクスレンチ」、そして「専用工具TL-FC16クランクボルト取り外し工具」が必要です。
また、カンパについてはいろいろな情報があり、止めネジの種類だけでも3、4種類が存在し、それに合わせて工具の選定も必要になります。
国内の需要があまりないため交換するときには、カンパを扱っているショップのサポートが必要です。
いずれの場合もチェーンリングのサイズを変えた場合は、フロントディレイラーの位置調整とチェーン交換が必要になるので、そのための工具も用意しましょう。
チェーンリングと一緒にコンポも交換するときの工具
チェーンリングだけでなく、コンポのグレードやクランクのメーカーを変えたい場合、BBも一緒に交換しなければならない場合が多々あります。
その場合、チェーンリング交換工具とクランク交換工具に加えて、コンポ交換工具が必要になり、また、古い部品を外す工具と新しい部品を組み付ける工具、両方が必要になります。
シマノのBB交換用工具として、スクエアテーパーのカップアンドコーン式BBの場合、「フックレンチ」と「カニ目レンチ」か「ピンスパナ」、及び「右ワン回しレンチ」が必要です。
また、同じスクエアテーパーBBでもカートリッジBBでは、「カートリッジBBツール」というボックスレンチ型の外側にギザギザの付いた工具が必要です。
そして、オクタリンクBBでは、カートリッジBBと同じ「カートリッジBBツール」が必要です。
また、ホローテック2では、コンポのグレードによってBB取付工具のサイズが3種類存在します。
注意が必要してください。
いずれも「ホローテック2BBツール」と「BB付属のアダプター」で対応可能です。
さらに、カンパのウルトラトルクとパワートルクは、それぞれ専用工具が必要で、ウルトラトルクは「UT-BB101」、パワートルクは「UT-130」が必要です。
これらの工具がない場合は、カンパ取扱店にお願いしましょう。
また、フレームによってBBの種類が多数存在し、それに合うクランクが各社から販売されています。
そして、チェーンリングについても選択の自由度が上がりました。
しかし、その反面で間違え易くもなっているので注意が必要です。
チェーンリングを他のメーカーに交換するときの工具
最後にチェーンリングのみを他のメーカーに変えたい場合についてもご説明していきましょう。
まず、今流行りの楕円チェーンリングですが、大手コンポメーカーのPCDに合せて作られています。
この場合は、取り外し・取り付けの両方とも同じ工具で大丈夫です。
また、クランクとチェーンリングの大手3大メーカー以外の代表的メーカーと言えば、スギノ、ローター、FSAなどが挙げられます。
これらのメーカーも、チェーンリングボルト単体の取扱があります。
まれに、チェーンリングメーカー独自の取付ボルトが付いてくる場合がありますが、しっかりとチェーンリングメーカーの指定した工具で取付けましょう。
メーカーによってシマノ用のチェーンリングクランクセット、カンパ用チェーンリングなどのクランクやBBの仕様に合せて作られているメーカーもあります。
チェーンリングを交換する際には、規格の合った工具が必要なるということを覚えておきましょう。
チェーンリング交換にはメーカー別年式別に工具を準備
これまでご説明したように、クランクとチェーンリングをつなぐチェーンリングボルトはメーカーによっても違いますし、年代によっても変化しています。
チェーンリングだけを交換すれば終わるのか、クランクも変えなければならないのか、BBまで変えなければならないのか、また、フロントディレイラーやチェーンも調整が必要なのか事前に調べる必要があります。
チェーンリングの交換の作業を始める前には、適切な部品と工具を選定し、よく準備してから作業を始めましょう。