シマノのアルテグラは最上位グレードのデュラエースよりも安価でありながら十分な性能を持ち合わせていることから使っている人も多いでしょう。
そして、数年ごとにシマノが改良型を発表しているので、進化が続いているコンポーネントでもあります。
特にアルテグラ6800と6700の変化は大きく、10速から11速になりました。
それは大きな変化であるため互換性が複雑になりました。
同じアルテグラなのに6800と6700でパーツの性質が大きく異なり、実践的な知識をつけておかなければならなくなったのです。
アルテグラ6800と6700は公式では互換性なしとされている
アルテグラ6800は6700から大きく進化しました。
6700の各パーツは曲線が少なく比べればゴツゴツした印象を受けますが、6800になると曲線が増えてシャーブな印象になります。
その違いは重量に現れていて、各部が軽量化されています。
クランクは15g軽くなっていますし、STIレバーは一回り小さくなったことで22g軽量化されています。
STIレバーが小さくなったことは手が小さい人でも扱いやすくなったと言えて、アルテグラの利用者が増える要因となることでしょう。
そして、一番の大きな違いとしては10速から11速になったことを挙げられます。
それでもスプロケットの段数が1段増えるような大きな変化でありながら、リアディレイラーは6g重くなりスプロケットは3g重くなるものの、ほとんど重量を変えることなく、多段化に成功しています。
大きな変化がありながら重量が増加していない素晴らしい進化を遂げたのですが、仕様変更の影響は大きく、シマノの公式な発言としては6800と6700との間に互換性は完全にないことになっています。
つまり6800と6700のパーツを組み合わせて自転車に装着することかできないとされているのです。
6700のクランクなら互換性がなくてもアルテグラ6800に装着可能
アルテグラ6800と6700の間には公式的に互換性がないことになっているのですが、パーツを流用できないわけではありません。
アルテグラが11速化することでスプロケットの枚数が増加、そのことからチェーンを細くしなければならなかったのですが、どうやらチェーンの内幅はほとんど変わっていないようなのです。
そのため、クランクやチェーンリングは6700のものを使うことが可能です。
公式に互換性があるとはされていないので変速性能は落ちるかもしれませんが、変速性能が低下していると感じるく走行できるのではないでしょうか。
ホビーユーザーなら間違いなく満足のいく走行ができるはずです。
アルテグラ6800と6700についてクランクを流用できることは、レースに出場している人ならばよく知られている話になっています。
実際のレースで、コンポーネントが6700でありながらクランクの軽量化のために6800を利用している人はいますし、逆にコンポーネントが6800でクランクが6700という人もいます。
アルテグラ6800と6700の左クランクの互換性はある!
パワーメーターの中でも「Stages」を使っている人も結構いるのではないでしょうか。
ケイデンスや走行速度を測定することができて、誤差が上下2%というパワーメーターなのですが、左クランクだけで測定することができるのが特徴です。
そこで気になるのがアルテグラ6800と6700の左クランクの互換性です。
6800と6700にそれぞれの「Stages」があるわけですが、互換性があるなら2つ買う必要がなくなるわけで、「Stages」を持っている人は左クランクだけ付けるということを考えたことがあると思います。
そこで実際に試してみれば分かることですが、互換性はあります。
クランクが6700であっても、6800に対応した「Stages」を取り付けることができます。
つまり左クランクの互換性があって、「Stages」を2つ購入する必要はないのです。
難なく通常どおり装着できるはずです。
また「Stages」は6700向けと6800向けがあって、シルバーとダークグレイというように色が別なので、互換性があることから色を選択できると考えても良いでしょう。
アルテグラ6800に6700のブレーキもつけられる
ブレーキの互換性を考える上で重要になるのがブレーキの引き量ですが、アルテグラ6800と6700ではブレーキの引き量は同じです。
つまり、ブレーキだけ交換したとしてもブレーキの性能を十分に発揮することができます。
そのため、6800を導入するときにブレーキだけ導入しないことも可能です。
しかし、6800になったことでブレーキも改善しました。
SLR-EVという新しいキャリパーブレーキが採用されているのです。
それによって、6700より36%も高い制動力を実現しています。
ブレーキの調整も良くなっており、ブレーキは体感できるくらい変わっています。
制動力が効率的になったことで、ブレーキレバーを引く力を少なくて済むことも大きなメリットです。
それはレバーが軽くなったことが理由でしょう。
レバーが軽くなることで長時間の走行でも疲れ難く、走行中に握力がなくなってきたと思うことを減らせるはずです。
そのように6800になることで、ブレーキも大きく進化しているのです。
そのため、6800に6700のブレーキが使えるとしても、ブレーキを交換することで得られるメリットはそこまでないでしょう。
6800のほうがブレーキの性能は確実に高いです。
アルテグラ6800の11速化に伴ってホイールの互換性はない
アルテグラ6800になったことで11速化しました。
それでホイールの仕様が大きく変わっています。
6700の10速から6800の11速になったことでスプロケットの装着する軸(フリーハブ)の長さが変わったのです。
11速化したことでスプロケットが厚くなり軸が延長されました。
スプロケットは、10速が一番細く、8速や9速は中くらいで、11速が一番厚いので、10速から11速の変化は大きかったのです。
そのため、6700のホイールのままでは6800のスプロケットを装着することができません。
軸の長さが足りないので、11速用のホイールを用意しなければなりません。
アルテグラ6800と6700はコンポーネントであり、コンポーネントだけに意識を向けてしまうので、ホイールまで気が回らなかい方もいるでしょう。
そのため、6800と6700の互換性を考える上ではホイールは盲点だと言えるでしょう。
ちなみに11速ホイールであれば軸の長さが十分なのでスペーサーを用いることで10速スプロケットを装着することができます。
つまり、6700から6800にする場合に11速ホイールを用意しなければならず、逆はあまりないでしょうが6800から6700にする場合はスペーサーを用意すれば良いということです。
アルテグラ6800と6700で互換性がないもの
チェーンは、互換性がありません。
アルテグラ6800が11速化したことで確実に細いチェーンが必要とされます。
しかし、6700の10速チェーンで走行できてしまうことも事実です。
設計上確実にチェーンを細くしないといけないので、走行できたとしてもチェーンとスプロケットがこすれたりして寿命を減らすことも考えられるのでおすすめはできません。
また、フロントディレイラーのワイヤー取り付け位置が異なっており、引き量も異なっているのでフロントディレイラーの互換性もありません。
リアディレイラーは大きな変更点がないように見えるのですが、11速化という大きな変化があったことから流用しないほうが良いでしょう。
そのため、チェーン、フロントディレイラー、リアディレイラーに互換性がありません。
それに変速機の性能は6800になったことで大幅に向上しています。
上手く調整すればチェーンがたわむことなく変速させることが可能になります。
チャチャと音が鳴らなくなってヌルヌル変速する性能は、変速をする楽しみを感じさせてくれることでしょう。
このように6800は変速性能向上もおこなっているので、6700のコンポーネントを搭載しているバイクを乗っている方は、この機会に6800のバイクに交換してみてはいかがでしょうか。
最終的には自己責任!
アルテグラは6800になることで11速になり大きく仕様が変わりました。
10速の6700の一部のパーツが流用できたとしてもシマノは公式的に認めていません。
そのため、保障の対象外になると思われます。
自転車屋さんに行っても、公式に互換性がないから対応できないと言われることがあります。
そのため、6800と6700のパーツを混ぜて使う場合には自己責任で行わなければなりません。
また、自分で交換しなければならないので自転車を組み立てる場合は、しっかりと知識を身につけて取り組みましょう。